お知らせ。

2009-11-03

kuro様より拍手コメントへの返信方法を教えていただきましたので、今日から拍手コメントへの返信(記事内にて)を始めたいと思います。

お気軽にどうぞ〜。
よろこんでお返事させていただきます(´∇`)

こうの史代 『長い道』

2009-11-03

長い道 (双葉文庫 こ 18-4 名作シリーズ)長い道 (双葉文庫 こ 18-4 名作シリーズ)
(2009/06/16)
こうの 史代

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わたしもシアワセになってもいいのですよね?

アクションコミックの、コミック文庫版。

酔うと何でも人にあげる癖がある父に、同じく酔うと何でも盗ってくる癖があるおとん。
そんなふたりが意気投合し、カイショなし女好き無職のどら息子荘介のもとへやってきた、天然っぽい「ヨメ」の道。
甘い言葉も、それどころか愛情もないかもしれない、おかしな夫婦の物語。

前半は無職のうえ女の影が絶えず(しかもあからさまに)ちらつく荘介に、けれどどこまでなのかノー天気で、あははうふふの体で気づかぬふうの道の、平穏なんだけどかなり歪な物語が続く。
「一℃たりとも勃つかあ!」と言いながら自分の「姉上」の名前ばかり寝言でつぶやくようなやつ、どんだけだよ・・・・・・と心中ぐやぐやしながら読んでたけれど。

だからうちに来たんだろ?え?

・・・・・・ そうよ


たまに見せる道の貌。
いくらお調子者で小馬鹿な荘介でもこわいと思わせる、ふとした瞬間。
車が通ってこなければ、あのまま心臓射抜かれたようにすくんで、たぶん動けなかっただろうね荘介。

このときに、あ、これは道が荘介を赦す赦さないの物語なんだなと直感思った。
けれどじつは・・・・・・というのがわかって、あ、と思ったのが冒頭の道の一言。
この物語の中身は、この一言にこもってると思っていいかも。

にしてもどうなるどうなる、たまに離婚届も出てくるけど(それにしたっていつのまにかうやむやしてる)、ほんとにどうなるんだこのふたり?

最後の最後で荘介がつぶやく意地悪に答えがあるようだけど、それはここでは書きません。

人を選ぶようでいて、人を選ばない物語なんじゃないかなとふと思う。
そして荘介と道のような歪も繋がりも重なりも併せ飲むことが、
「夫婦」として成立することなのかもしれないと、そんなことも思うのです。

こうの史代 『長い道』 双葉文庫 名作シリーズ

宇仁田ゆみ 『マニマニ』

2009-10-26

マニマニ (Feelコミックス)マニマニ (Feelコミックス)
(2003/04/08)
宇仁田 ゆみ

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あたしにはとっても大切な人がいるから なんとかやってるよ
(「ラージスモールワールド」より)

じつは高校生のころからずっと気になってて、やっと今になって買った本。。
なーにを躊躇してたんだか。。早く読んどきゃよかった。。

都会→田舎に帰って幼なじみと再会する、ヤンキーの友だちと仲良くしたら周りにハブられた、どーしようもねえ馬鹿男の子どもを身ごもった、今さらだけど無理すぎる願望に打ちひしがれる、えんどもあ。

大小のない、それぞれの人生での超難関に直面した女子たちの、連作短編。
前半は困難にぶちあたり、後半は素敵(か、晴れやか。でも『マニマニ』だけちっと切ない。。)なエンディング。わりと安心して読める。

どーしようもない目の前まっくらになりそな困難は、油断をすればたやすく自分をからめとってがんじがらめにするし、油断してなくても理不尽にふりかかってきたりする。
そーゆーもんだ、って達観できるならまあサンドバックにでもなればいいけど、抗って抗って、でも傷つきまくってとまってしまうってときが、読んでてすんごく覚えがある。
そのとき見える自分の無力もよるべなさ。支えがほしくて、けどそれを自分で律する手厳しさ、とかいろんなものが。

ああ・・・・・・なんか・・・
こーゆーときにたすけてもらえるのって


いいもんだね、といっしょに思う。そうだから心底。
読後感じることはみんなちがうんだろーけど、なんか「助けてもらうことはわるくないよー」って言ってもらえた気がする(でも求めないよ。強情なのさ)。
ほかにもいろいろ、詰まってる。探してきたくて、何度でもページをめくれる本は、きっと一生もの。

にしても、北守くん。あんたはなんつーいい男なんだあ。。
あんたのせいであっしはびょーびょー泣けました。。こんな男子をめぐり合わせる、宇仁田さんは最高すぎるっすまじで。。

これはもう、宇仁田さんの他のコミック買いあさらなければ、でないと気がすまない・・・。
あーどうしてくれんだよーと、困りながらのうれしい悲鳴をあげる今日。

宇仁田ゆみ 『マニマニ』 祥伝社 Feelコミック

本上まなみ 『めがね日和』

2009-10-25

めがね日和 (集英社文庫)めがね日和 (集英社文庫)
(2009/10/20)
本上 まなみ

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なんだかちまちました例ばかり出てきますが、私はちっこいものを発見するのが得意なのです。 (「くねくねつづく」より)

バイトの子たちと遊んで寄った、深夜の本屋で大発見。

思うことがいろいろあって、『君が降る日』、『星に落ちる』(再々読)、『二十歳の原点』(読みかけ)、『ヘブン』、『アンモナイトドリーム』といったものを多く読んでいたので、ちょっと頭が疲弊してたんかも。。(今見返したらすげーチョイスだな・・・)

いい感じにリラックスして読めましたー。こういう本が手元にあるんは大事ですねえ。そう実感。

女優、文筆家の本上まなみさん(この前、はなまるマーケットに出ててちょい驚いた)のエッセイ。
『虫干し』、『鉛筆日和』もじつは既読なので、エッセイ読むのは3度目。

子どものころの思い出、感覚、おかんのたくましさと強かさ、はぐれたもの、どうぶつたちのこと、たべもののこと、本のこと(良かった!久しぶりに、また山本文緒さんの本をたっぷり読みたくなった)。
お茶のことが書いてあったので、朝から急須にお茶を沸かしてほっこりとっくり飲みました。(「あんたが酒じゃなくて朝からお茶飲むなんて・・・」と、親は仰天。失礼な。・・・中ってるだけに。。)

メンチカツが好きさ。
かりっとしたきつね色の衣。噛めばジューシーな肉汁が口いっぱいに広がります。
ちょっとカレーみたいな香りがするのはどうしてかな。
 (「大好きメンチ」)

この街をゆっくり歩いていると、生活している人とすれ違います。通りに水を撒くおばさんや、びっしり並べた植木鉢の手入れをしているおじいさん。
ぴかぴかに磨き上げられたガラスの向こうで、昔ながらのアイロンを自由自在に操ってぴしっとした白シャツを仕上げているクリーニング屋のおじさん。その真剣なまなざしに、信頼、という文字が私の頭をよぎります。
 (同じく、「くねくねつづく」より)

自分のこと。周囲のこと。
そこにあるちっこいものを、ふにゃっとかるく、けれど丁寧につづる。職人さんではないけれど、おっとりしながら自分の目線を持つひとの文章が魅力。
きりっとしてないけど、いい感じのよさがしみる。まるくふわんとした焼き菓子に、中身は色とりどりのベリー、といった感じ(ベリー系好き。ベリータルトなんか、卒倒しそうなくらい好きです)。

ここまで書いてて、そういえばこれ読んでると思い出すことが多いなーと気づく。
子どものころにろくな思い出はないし、高校といえば本ばかりだったので、ほんとのところはそこになんの感慨もないけれど(と、すましてみるふりでもしてみるのかい?なんて。どうもいけないね)、そんなふとした不穏に流されないゆるぎなさもしっかりと根付いていて、なんだかすこし心強い。

「心がやわらかくなるエッセイ集!」(帯より)は、けれどしんの強い、そんな心のやわらかさをもつひとにしか書けないんかも。
読んでるとつくづくそう思うし、だからこんな本に出会えることはとてもとてもうれしいことだと思う。
次があれば、本上さんか天野月さんみたいなひとに生まれたいと思う昔からと今日この頃(なぜここで書く!)。

ゆるめの時間をお楽しみください (「まえがき」より)

今日はとっくりちゃっかりと、楽しませてもらいましたー(^^)。

本上まなみ 『めがね日和』 集英社文庫

北城真琴 『アンモナイトドリーム』

2009-10-24

アンモナイトドリームアンモナイトドリーム
(2004/08)
北城 真琴

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自分が塵になってしまえばいいと、これまでに何万回願っただろう。

この前川上未映子さんの『ヘブン』を読んで、思い出して再会した本。

「教育」のためなら暴力をも厭わない厳格な両親、優等生の貌。左腕の無数の傷、思い通りにならない、消えてしまえばいい自分。夢であう、走る少年に問いかける主人公、アサコ。

裕福で完全放任の両親のもと、思い通りにならない邪魔者は、殺してでも排除。「当然」のその行為はいずれも表面化せず、今では陸上の才能を褒め称えられ、「弱い」アサコを見下し従わせる、幼なじみの少年カズノブ。

「なあ、アサコ、知ってるか。人間は光の速さで走ると、歳をとらなくなるんだ。アインシュタインの特殊相対性理論てやつだな。俺はいつかその領域までたどり着いてみせるんだ。俺なら絶対にそこまで行ける。これまで誰も到達できなかった世界に、俺だけが足を踏み入れるんだ」

本気でそう語るカズノブ。戯言だ。それは認識できるけれど、それをすごいと思うアサコ。
ある程度の力があれば、ある程度のことは巧くいく。けれどこの力では、そう巧くはいかない。
羽がもげればただのゴミ。カズノブのルールは、やがてカズノブ自身を呑み込んでゆく。そしてカズノブに近づきたいと願うアサコも・・・・・・。

理解できるならできるだろうし、そうでないならせいぜいがわかろうとするのが限度。
何も残さないし、何も生まれない。たどり着かない。追いつきもしない。寄り添う2匹のアンモナイトがいたとして、その目はもう潰れているんじゃないかとすら思う。
塵になりたいと願っていたアサコの想いだけ、身を置き去りにして報われたとはいえ。

人を選ぶ意図はないのだろうけれど、人には確実に選ばれる物語。
そう思いながらまたしてもこれを選んだけれど、カズノブには出会わなかったなと思う。

カズノブに出会ったとして、それが不幸か幸なのか。
未だにアサコを全否定できないのは、それがもっとわからないからだと気づいた。
注目も受賞もないだろうけれど、『ヘブン』と対峙したその影で、この物語に出会うひとももしや増えるかもしんない。

北城真琴 『アンモナイトドリーム』 文芸社
プロフィール

小津ツキミ

Author:小津ツキミ
マンガと小説と、天野月子とLOVE PSYCHEDELICOの楽曲を何より好む、やや目つきの悪い生き物。基本、のんびりゆるやか読んでます。まったり更新ですが、拍手、コメント、トラバをいただければ、こっそり飛び上がって喜びます。
 ※拍手コメントについては、記事の中にて随時返信いたします。ので、こちらもどうぞお気軽に。
※リンクフリーですが、一言お知らせいただければすかさずお礼にまいります。
※since 2008.2.17

※オリジナル物語サイト、始めました。『ことあら』(リンク欄からどうぞ)

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