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川上弘美 谷口ジロー 『センセイの鞄(1)』(~続刊)

センセイの鞄 1 (アクションコミックス)センセイの鞄 1 (アクションコミックス)
(2009/09/30)
川上 弘美

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そうだ似ているのだ
肴の好みだけではなく 人との間のとりかたも


何度も読み返した小説、『センセイの鞄』のコミック版。
センセイとツキコさんのあの空気、どこまで描かれてるのかと心配したけれど(原作ファンのひとはみんなそうかも)、これがまた最高によろしかったです(センセイ風に)。

居酒屋にて。
30歳以上歳の離れたセンセイと再会したツキコさんは、以来センセイと酒を飲んだり市へ出たりきのこ狩りに出かけたりする。
飄々としたセンセイとセンチメンタルなツキコさんの毎日。茫漠としてゆうに摑めない、不思議な恋物語。

「今の若いひとは語彙が少なくて困ります」という、こちらにしてみれば語彙が多すぎて困る(きのこ汁をすすって、「えもいわれぬ馥郁たる香」なんて言われても・・・・・・ね?)センセイと、ときにそんな会話を「古いですね」と切り返すツキコさんのやり取りが、なんか肴ちっくで(何語だ?)、なんかほんとに乙なものなのです。

それともうひとつ。

生きて心細い思いをしているのは自分だけではないことを確かめたくなった
けれど そんなことは確かめようがないのだ


センセイに「ツキコさんはね、ちょっとばかりおセンチなんですよ」とからかわれるツキコさんの、不安定まではないけれど、ひとりで不穏になる日常の中。
ひとりで林檎を剥いて泣きながら食べて、夜にひとり外に出て無灯火の自転車男に怒鳴られて、歌いだした歌詞の続きが思い出せなくて、立ち止まった自分をひとがみんなよけていって・・・・・・。

そんなときにひょいと現れて、「ツキコさん 最後はですね」とくる。フィクションだし他人事だけど、単純に、安心する。

お互いを必要としているのでなく、そこにいることを認め合っているだけ。けれど淡白なだけでなくて、「多生の縁」(多少、でなく)なんてわざわざ言うくらい、心の奥底は通じ合っている関係。

遠いなあと思う。なくなってしまうのではないかっていつも不安でときに見境をなくし、それどころかシアワセになる自分すらも許せない、この自分にはまだ。

「時々感情持って生まれてきたこと
憂鬱にさえ思ってしまう」 (GARNET CROW『夢みたあとで』) 

恋情って何なのだろう。
何もかもを許せないのなら、こんなにシアワセな場所にいて、ほんとうにいいのかどうか。。

むろん その声はどこにも届かない

と、これはツキコさん。

けれどこれまでずっと隠匿してきた、自分でももてあます超絶に面倒な本性は、夜中にメールで送って今はもう相方のもとへ。
それが正しかったのかどうか、ぜんぜんわからないでいる。。
わからなくていいのかもしれないけれど、ずっとわからないでいる。。。

そんなときに読み返してるこの本。
たゆたう不穏も恋情も、遠いけれど近いようで、けれどけしてそうでなく。

そうして、今はきっと手放せない。
ツキコさんみたく、なんかまた泣けてきた。。
会うのが、こわい。。
けして逃げはしないけど、こわい。。

川上弘美 谷口シロー 『センセイの鞄(1)』(~続刊)
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プロフィール

小津りゆ

Author:小津りゆ
3年ぶりぐらいですが、ログイン。夢だった資格をとってそれなりの仕事始まったはいいものの、現実にどっしん追突し、車体ボロボロ、エンジンぷすんぷすん状態です(なにそれ)。仕事の本ばっかりで、めっきり小説を読む時間が減。もしかしたら引っ越しして続編するかもです。

※since 2008.2.17

※オリジナル物語サイト、始めました。『ことあら』(リンク欄からどうぞ)

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