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華恵 『本を読むわたし My Book Report』

本を読むわたし: My Book Report (ちくま文庫)本を読むわたし: My Book Report (ちくま文庫)
(2011/09/07)
華恵

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時間が経てば経つほど、好きになる本。これからも、大切な本。

4歳のあの日から、アメリカで会った絵本たち。日本に来て、この14歳までに出会った本たち。
hanae*改め、「いつも本があった」華恵の、大切な本たちへの想い、お届けします。

活きがいいというか、瑞々しいというか。
15歳とは思えないような表現力、文章力でいて、15歳しか書けない一文一瞬を届けてくれる1冊。
それこそ、会話してるみたいに読める。もっと聞かせてと、素直に思える本。

「I like Me!」「Deputy Dan and the Bank Robbers」「Goodnight Moon」・・・等々の、アメリカの古い絵本から、「てぶくろを買いに」「はせがわくんきらいや」といった日本の絵本、そして「小さき者へ」「ココナッツ」といった小説まで・・・。

離婚したウォルター(お父さん)、大好きなモトイ(兄)、ちがう場所にいるけれど大好きな、グランマ(グランドマザー)、グランパ、不意に近くなれた女の子のともだち、いつのまにか遠くなっている男の子のともだち。

読んだ本1冊1冊に、どれも忘れられない、人との思い出が詰まっている。それはまるで、明るい色から暗い色までも内包した、自分だけの秘密の小箱。
4年生のとき、1年生に絵本の読み聞かせをした場面を少し引用。
華恵さんが選んだ本は、「はせがわくんきらいや」で、読みながら思い返していたのは、クラスのだれとも仲が良くなく、避けられていて、けれどある日、偶然普段とちがうところを見てしまった「さっちゃん」のこと。

今、目の前にいる一年生に、あの時のさっちゃんや友達やわたし自身が重なる。
そうだ。わたしがこのくらいの時、この本に出会ったんだ。
さっちゃんのマネをして、ひとりで自転車に乗って図書館に行った時、わたしはこの本に出会った。

一年生は、わたしのヘタクソな関西弁と、本の絵の迫力とに、ゲラゲラ笑っている。
ところが、三ページをめくったとたん、一番前の女の子の表情がサッと変わった。
めちゃくちゃな絵に矢印で「はせがわくん」と書いてある。
短いクレヨンで書いたようなへたくそな字がぎっしり並んでいる。最初のことばは、
「ぼくは、はせがわくんが、きらいです」
目の前の女の子は、本を食い入るようにじっと見ている。
気づいたら、シーンと静まりかえり、みんなの視線はわたしが持っている本に集中している。
次のページをめくろうとしたとき、わたしは初めて自分の手に汗をかいていたことに気がついた。
 (『はせがわくんきらいや』より)

『言霊』という言葉を初めてしったのはいつだったか。
直接言霊という言葉は使われていないものの、4年生にして、華恵さんは言葉の力を体感し、伝えるまでにそれを自分に息づかせていたんだと、思えて好きな場面。

とはいえ、本をベースに語られる、思い起こされることたちは、ときにほろ苦くて、ときにまだ呑み込めない苦味をにじませる。
たとえば、アメリカで大好きになった『I like Me!』の主人公、ピギーちゃん。
ピギーちゃんを通してみていた、自分自身を見る目。けれど大好きだった「元気で自信たっぷりのわたし」は日本に来て、「うるさくて生意気なわたし」に変わってしまい、「自信」はバラバラと崩れた。

みんなと一緒。みんなと同じ。周りから浮いてるのは、不安だ。
「わたし、わたし」と自分のことばかり言っているのは、聞いていてもウザい。そう思うようになった。
それでもやっぱり、こうして、あの頃の自分が懐かしくなったり、うらやましくなったりするのは、自信のない自分があまり好きじゃないからかもしれない。
失くしたものに対する愛着なのだろう。わたしを元気づけてくれるのは、あの頃のわたしだから。

気持ちが落ち込んだら、ピギーちゃんを思い出す。しばらくは、本を机の前に立てておこう。
 (『I like Me!』より)

本が好きで、本の世界はしばしば、自分とともにいてくれて、どこにいても、それがきっちり日常に根付いて息づいてるひとの想いは、それ自体がひとつの物語のよう。
こうしてだれかの本を読んだだれかが、その本や言葉にそのひとだけの、清濁併せた想いを宿し、それをまた他のひとに伝えていく。華恵さんが15歳にして見せてくれたのは、そんな夢のある魔法。

雨の日にトートバッグに入れていたせいで表紙がしけって曲がってしまったけれど、いっとう好きな本として、
この本は小津の机の上に置いてあります。
隣には、これまたお気に入りの、殺人熊のグルーミー(ピンク・ブラック両方)のぬいぐるみという、変なラインナップ?ですが。

華恵 『本を読むわたし My Book Report』 ちくま文庫
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プロフィール

小津りゆ

Author:小津りゆ
3年ぶりぐらいですが、ログイン。夢だった資格をとってそれなりの仕事始まったはいいものの、現実にどっしん追突し、車体ボロボロ、エンジンぷすんぷすん状態です(なにそれ)。仕事の本ばっかりで、めっきり小説を読む時間が減。もしかしたら引っ越しして続編するかもです。

※since 2008.2.17

※オリジナル物語サイト、始めました。『ことあら』(リンク欄からどうぞ)

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