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石井睦美 『キャベツ』

キャベツキャベツ
(2007/11/01)
石井 睦美

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おっと、こんな時間じゃないか。ご飯のしたくをしなくちゃ。
お腹をすかせて帰ってくるおふくろや、強いと思っていても
ほんとうは泣き虫の妹のために、ご飯を作らなきゃ。


母、兄、妹。
働きに出ているおふくろの代わりに家事をこなし、
家族のために美味しい料理を作ってきた、大学生の「ぼく」。
対して、元気いっぱいで口達者、強気だけれど泣き虫でもある妹、美砂。
3人で囲む、幸せな食卓。
そんななか、美砂の友達かこちゃんに、ぼくは恋をしてしまったようで・・・・・・。

石井睦美さんの本は大好きだけど、これも大当たり。
今度はテンポがよくてほんわかしてて、なんとも素敵な兄妹物語。

掃除機に洗濯に料理。
家族を支える母に代わって家を守るぼくの傍らには、そういえばけっこうキャベツがある。
今回のこともそう。
トンカツの付け合せもキャベツ。妹曰く、メインのトンカツよりもしあわせそうに食べるのもキャベツ。
妹の友達、かなちゃんが家に来ることになったきっかけも、キャベツ。

「大雑把、本は読まない、したがって言葉を知らない」美砂とちがって、
「繊細で、読書家、言葉遣いも丁寧」と、ぼくの好みにぴったりのかなちゃん。
なのだけど、そこはどんなに好みでも、妹の友達。だけどけれど、かなちゃんに惹かれてしまうぼく。

兄貴思いの(おもしろがってる?)妹、美砂の援護(押し付け?)を受け、
それでもデートに出かけるぼくなのだけれど。

主題はキャベツ、けど読味(そんな言葉ないけど)はふんわり卵焼きといったふう。
それも私が作るやつ。砂糖醤油で味付けしたやつ。基本甘味、けどしょうゆ入りっていう。

まわりくどくてすみませんけれど。
でもこれ読んでると、安心と不安って同時に感じてしまう。
たしかな生活、大好きな生活。
それが大切なほど、不安にもなる。

「とっても強くしあわせだと思ったから、いつかそんな日が来なくなるにちがいないって思ったって」

兄妹の仲、ぼくの恋心、かつていた家族の一員。
しあわせならしあわせのままでいれればいいのに、そうもいかず。
変わってしまうことは、何でも変わっていってしまう。
そしてそれが、ときにはすんごく痛手になったりする。

けどそんなふうに、痛かったり傷ついてたりしても、やっぱりほっとするときって、けっこうある。
たとえば。

おっと、こんな時間じゃないか。ご飯のしたくをしなくちゃ。
お腹をすかせて帰ってくるおふくろや、強いと思っていても
ほんとうは泣き虫の妹のために、ご飯を作らなきゃ。


再び引用。

やっぱりこころのこもったご飯って大事だ。
こんなふうに、やさしい兄貴(ぼく)のやさしいこころ。
それがたくさんこもった、おいしいご飯。
そう知っていれば、そう感じていれば、なおさらのこと。

舌だけでなく、こころでも味わえる、やさしさの味。真心、みたいな。
最高においしいこの味で、すくすく暮らすこの兄妹、家族がとても素敵で、
読んでると構えたり頑なだったりした部分がほんとにほっとして、知らずほんわかと笑顔になってくる。

地味なんだけど、地味というより素朴。
そんで素朴なんだけど、素朴にやさしく力強く。
これってまさに、「キャベツ」の栄養。
栄養不足気味のとき、また読み返してみてもいいかもと思う。
まあちょいと出来すぎな兄妹物語、って気もしないでもないけど、
でもやっぱり好きだなこれ、ホントすんごく。

とりあえず、今は大事に本棚に置いてます。

石井睦美 『キャベツ』 講談社(単行本)
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石井睦美 『群青の空に薄荷の匂い―焼菓子の後に 』

群青の空に薄荷の匂い―焼菓子の後に (ピュアフル文庫 い 1-2)群青の空に薄荷の匂い―焼菓子の後に (ピュアフル文庫 い 1-2)
(2007/11)
石井 睦美

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だってそれは、宣言なんてしなくたって、忘れようとしなくたって、忘れたりするはずのないことだから。
でもわたしは、じぶんの人生でいろんなことー忘れたかった嫌なことを望みどおりに忘れるかわりに、ほんとうは覚えていたかった楽しいことをも、ずいぶんと忘れてしまったように思うから。


卵と小麦粉それからマドレーヌ」の姉妹版、というか続編。
未読の方は、先に前作を読むことをオススメします。
(ちなみに今回の主人公は、菜穂から亜矢にバトンタッチされてます)

13歳だった菜穂や亜矢は16歳の高校生になっていて、「すこぶる平和な学校生活」を送っていた。
そんなある日、亜矢は散歩の途中、小学校時代の同級生だった安藤くんに再会する。
それが菜穂曰く「がつんとくる」、亜矢曰く「宿命的な」恋の瞬間なのかわからないまま、どうやらだんだん安藤くんを好きになってゆく亜矢だったのだけれど・・・・・・。

「ピュアフル文庫」だけあって、一見かなりピュアな恋物語。
けれど前作を読んだ方は感づくとおり、亜矢の物語はピュアだけではけして済ませられない、そんな側面をいくつか持ってる。
たとえば、いっそすべて忘れてしまいたいような過去に、痛む指。寄り添いたいけど不安定な母親に、月に一度会うやさしい父親。

状況や形態はちがえど亜矢と同じような過去がある私は、いちいち亜矢の気持ち(というより考えること)にシンクロしそうになる。だからその後、亜矢が続ける想いにけっこう勇気づけられたりする。

安藤くんもいまごろごはんを食べているのだろう。小学校時代の同級生たちといっしょに。ことによると、わたしの話が出るかもしれない。もちろん喜ばしい噂話なんかじゃない。でも、そうだとしたって、それがなんだろう。わたしはいまのわたしでしかない。もちろん、いまのわたしはあのときのことがあったわたしだ。あのときのことがなかったら、いまとはべつのわたしになっていたかもしれない。

終盤。ところどころで不穏な空気が顔を出しながらも、最後は温かなハッピーエンド。
亜矢が感じた温かみが、文章を通して伝わるようで、私はその瞬間がとても好きになってしまった。
たぶん亜矢はうれしそうに笑ってて、だから私もガラにもなくちょいとうれしくなったりする。
言ってみればおとぎ話の他人事なのに、私もいつか夕焼けを持って帰りたくなる。
そーいう瞬間が、本のちからなのかも。

たままど(←前作。勝手に略称)も好きなんだけど、私はこちらのほうが好きです。

石井睦美 『群青の空に薄荷の匂い―焼菓子の後に』 ピュアフル文庫
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石井睦美 『卵と小麦粉それからマドレーヌ』

卵と小麦粉それからマドレーヌ (ピュアフル文庫)卵と小麦粉それからマドレーヌ (ピュアフル文庫)
(2006/03/02)
石井 睦美

商品詳細を見る


「ねえ、じぶんがもう子どもじゃないって思ったときって、いつだった?」

中学に入って二日目の朝、菜穂は前の席にいた亜矢にこんなことを聞かれた。
やなやつだと思ってた亜矢と菜穂は、けれどいつしか友達になり、
ふたりで図書館に通ったり、誕生日プレゼントをもらったりと、素敵な学校生活を過ごしてた。
けれど13歳の誕生日、ママの衝撃の一言で事態は一変する・・・。

と書くと、なんかものすごいヘビーなお話に見えそうですけど、そんなことないです。
表紙のとおり、すんごく温かい話。
それでいて、きっちりまっすぐと芯のとおった話。
じつは何気に、月見さんの2007年読了本ベスト10の中の1冊です。

中学生と思って侮ることなかれ。

20歳にもなった私ですが、物語中の菜穂さんや亜矢さんに教えられたことがいっぱいあります。(単に私が幼いだけなのかもしれませんが)

たくさんあるその中の1つ。とくにお気に入りは、
「両手がある」ということ、でしょうか。

本当に、宝物のように大切な言葉と時間がつまってます。
ぜひ一度、読んでみてください。

石井睦美 『卵と小麦粉それからマドレーヌ』 ピュアフル文庫
プロフィール

小津りゆ

Author:小津りゆ
3年ぶりぐらいですが、ログイン。夢だった資格をとってそれなりの仕事始まったはいいものの、現実にどっしん追突し、車体ボロボロ、エンジンぷすんぷすん状態です(なにそれ)。仕事の本ばっかりで、めっきり小説を読む時間が減。もしかしたら引っ越しして続編するかもです。

※since 2008.2.17

※オリジナル物語サイト、始めました。『ことあら』(リンク欄からどうぞ)

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