投稿日:2008-03-07 Fri
![]() | 天国はまだ遠く (新潮文庫) (2006/10) 瀬尾 まいこ 商品詳細を見る |
身体も心もすっきりしない。いつもどんより重い。そんな毎日が延々と続いた。早く解放されたいって、心身共に訴えていた。
23歳のOL、千尋はどこか遠くの場所を見つけて死ぬつもりだった。
ところがいざ辿り着いた山奥の民宿で、自殺に失敗。
民宿の大雑把な田村さんや大自然、村の人々との交流で、
千尋のこころはしだいに癒されてゆく千尋。
けれどゆったりと流れる日々の中、千尋はやがて気づいてしまう。
ここにはわたしの居場所はない、と。
素朴。素朴でしんわり良い話。食べ物で言えば丸ボーロ、といったところでしょうか。(なんだそれ)
大雑把なやさしさと、しっかりした食べ物と。
なんてことないけれど、そんなものでけっこうこころに染みわたる。
(千尋だけでなく田村さんがいるおかげで)おおげさすぎないところも、好きです。
あんまり本筋とは関係ないんですが、お米とか魚とか鶏肉とか、とにかくしっかりした食べ物が、これまたしっかりと描かれているのも好きです。その食べ物にまつわる気持ちとか、読んでるとなんか安心する。
たとえば、
食事をすると、自分が生きていることがわかる。
生きているのが良いのか悪いのかは別にして、魚や米や味噌、そういう確かなものを食べていると、ここでこうやって存在しているんだなあって感じる。
この気持ち。
なんかわかるような気がしてしまう。
たしかな生活に癒されて、それでも旅立ちのときはやってくる。
田村さんと千尋の根本的なちがいに、千尋が気づくとき。
だってわたしの場所はここじゃないって気づくとき。
温かな場所を飛び出しても、千尋さんはまだやっていけるって思う。
丸ボーロって空腹は満たされないけど、やさしい甘味があって好きです。
やっぱりこの本、丸ボーロみたいです。
(ところでこの本、映画化されたとか。なんか見たいような見たくないような・・・。複雑です)
瀬尾まいこ 『天国はまだ遠く』 新潮文庫
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