投稿日:2008-04-02 Wed
![]() | むかしのはなし (幻冬舎文庫 み 12-1) (2008/02) 三浦 しをん 商品詳細を見る |
画面に緊急速報のテロップが出ていて、「明日正午、日本政府から国民に向けて重大発表があるもよう。テレビ、ラジオをつけるようにしてください」と言った。(『入江は緑』)
今の日本で「昔話」が生まれるとしたら?
3ヵ月後に隕石が衝突するという状況に置かれたひとたちの日常生活。
7つの書き下ろし中・短編集。それぞれの(今の)物語が昔話とリンクしてるという、月並みだけど「すげーなこれ」って口に出さずにはいられない一作。
おおざっぱにあらすじを紹介すると、
「ラブレス」(かぐや姫)・・・
祖父、父と、27歳で死んだ。そして27歳の俺は今、やくざに追われて港で最後のメールを打っている。
「ロケットの思い出」(花咲か爺)・・・
空き巣の「俺」が刑事に語るむかしばなし。高校の同級生、犬山とのおかしな顛末。
ディスタンス(天女の羽衣)・・・
「パパの年の離れた弟」の鉄八とのことを、カウンセラーに話す「あたし」。
鉄八は「あたし」から離れていく。それでも・・・。
入り江は緑(浦島太郎)・・・
五年ぶりに島へ帰ってきた修ちゃんと、修ちゃんを連れて行くというカメちゃん。やがて「重大発表」を聞いた「ぼく」は、カメちゃんの言葉の意味を知る。
たどりつくまで(鉢かづき)・・・
タクシー運転手の「私」が、観葉植物に報告するためにつける日記。
「今夜は、少し変わったお客さんを乗せた」。
花(猿婿入り)・・・
「どうして私、こんな男と結婚しちゃったんだろう」。
やさしいけど、なんて不気味な愛情。
懐かしき川べりの物語せよ(桃太郎)・・・
みんなに恐れられるモモちゃんと、友人有馬と宇田さんと「僕」。
「長生きしたいなぁ」って、ある日突然モモちゃんは言ったことがある。
リンクしてるって感覚だけ感じられれば、あとはそれ以上踏み込まず、そのまますんなり物語に入り込んだほうが、きっとおもしろく読める気がする。
むかし一度単行本で読んだとき、「今の話」と「昔話」のどこが具体的にリンクしてるのかいちいち確かめながら読んでたらまったく読めなかったので。
それにしても、エッセイと小説の、このギャップはなんだろう。こういうのを天才肌とかいうのか。うむむ、って偉そうな評論家みたいにうなりたくなるんだけど。(どちらともすごく素敵でおもしろいんですが)
「×ヶ月後(近い未来)に地球が終わる」という設定ってよく聞く気がするけれど、これはその中でも一癖ありそうな1冊。おすすめです。
三浦しをん 『むかしのはなし』 幻冬舎文庫
投稿日:2008-04-01 Tue
![]() | 夢のような幸福 (新潮文庫 み 34-6) (2008/02) 三浦 しをん 商品詳細を見る |
思うに、彼女は直木賞作家ではあるけれど、漫才の台本などを書いたとしてもきっと大をなして、芸術選奨大衆芸能部門新人賞くらい楽に取れそうに思われる。(解説より)
↑おっしゃるとーり。そんじょそこらのお笑い芸人よりもよっぽどおもしろい!
ご存じ、三浦しをんさんの爆笑エッセイ第?段。(←すみません、わかりません)
今回もしをん節(妄想節)炸裂! 映画も漫画もなにもかもを脳内で瞬時に妄想変換するしをん流の神業の数々。超個性的な友人さんとの冷静なのに笑えるやりとり。毎度おなじみバクチク談義。
今回もとことん爆笑させていただきました。(^^)v
あんまりお楽しみを削ぐと怒られそうなので、ほんの一部分だけ抜粋。
しをんさんと友人Gさんとで水着を買いにいき、しをんさんが試着する場面。
「ちょっとちょっと、なんでまだ水着を着ていないのに笑うわけ?」
「いやあ、私はまだまだだったんだな、と思って」
と、Gは私の腹のあたりを見ながら言う。まったく失敬なやつだ。しかし事実なので、反論もできない。
私は気力を奮い立たせて、まずは大正水着を着てみた。
・・・・・・。鏡の前で凍り付くGと私。試着室の中は肉屋の冷蔵庫ぐらいに気温が下がった。
「ねえ、G。私はこれまで、こんなに醜いものを見たことないよ」
しをんさんを「ブタさん」と呼ぶ弟さんとのやりとり(漫才?)も必見。
よくわからんけど、とにかくおもしろい! 究極的にシュールな笑い(?)とでも言うのか。
読んでると、実際のしをんさんにすごく会ってみたくなる。
小説とエッセイのギャップがここまで激しい(良い意味で、です。もちろん)ひともめずらしい。
だからよけいに、しをんさんの本をもっともっと、じゃんじゃん読みたい!って気になるんでしょうか。
未読の方、はてしなくオススメします。
三浦しをん 『夢のような幸福』 新潮文庫
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