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山崎ナオコーラ 『カツラ美容室別室』

カツラ美容室別室 (河出文庫)カツラ美容室別室 (河出文庫)
(2010/10/05)
山崎 ナオコーラ

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梅田さんが、
「エリちゃんと友だちになったのか?良かったなあ」
と頬杖をついてオレの顔を見た。
「妙齢の男女が出会って友だちになれるものですかね?」
オレが聞くと、
「そりゃ、なれるよ」
あっさり、梅田さんは言って、三本目のエビスの缶ビールを開けた。


よく言えばお茶目、悪く言えば破天荒な先輩(友だち?)に誘われて、髪を切りにいくことになった会社員27歳のオレ。
そこはカツラをかぶった桂さんが店長を勤める「カツラ美容室別室」という店で、そしてオレはそこで、同い年の美容師、エリと知り合う。
「こんな感じは、恋の始まりに似ている。しかし、きっと、実際は違う・・・・・・」
はたしてオレたちの関係は、どこに向かう?

裏表紙のあらすじがすんごくきれいにまとまってたおかげで、ほとんど似たようなあらすじ紹介になってしまいました・・・・・・。いや、いいんだけど。けどなんか、微妙に負けた気分。。。(だれにだ)

それはさておき、おもしろかったです。文章も物語も、人間も。
あと、別に闘ってるわけじゃないんだろうけど、言葉がすごく武器だ。人を傷つけない武器。
こういう小説って、あんましない気がする。・・・そんなにたくさん本読んでないけれど。

27歳会社員のオレ、佐藤淳之介がいつのまにやら知り合っていた美容師のエリ。
エリは「カツラ美容室別室」というカツラをかぶった桂さんの経営する店で、同僚の桃井さん23歳と修行中で、
オレをそこに行き着かせたのは、32歳の気ままに過ごす梅田さん。

だいたいこのメンバーの中で、浮気男の家に突撃したり花見したり、よくわからないことをやる。
そんでそのうち、オレとエリがちょこちょこふたりで話したり、会ったりしだす。

・・・・・・いや、手抜きしてるわけじゃなくて、ほんとにそんな話です。
もちろん花見のエピソードも、エリと出かけた美術館とか、いろいろおもしろい物語が転がってるし、
どっちつかずのままのオレとエリとの関係にもゆるーっと興味がつきなくて、いい感じに読めます。
晩酌みたいな本です。エビスは嫌いですが。プレモル派ですが何か?

・・・何の話だっけ。
なんでしょう、真剣に、まじめに「書こうっ!」って力んで書くと、すごく物語からずれた場所にワープしそうで、風邪で頭くらくらしてるときに「気持ち悪いけど、こんくらいのテンションが合うよねーこの本」ってな気分で書いています。

「さっきの文庫、なんの本ですか?」
オレが質問を投げてみると、
「昔の画家について、今の画家が語っている本」
とエリは短く答える。詳しく教えてはくれないようだ。
「絵が好きなんですか?」
と聞いてみると、
「うん。好き好き。今度一緒に美術館へ行きましょうか」
などと言うので、
「行きます」
いきおい、そう答えた。


ドライというかなんていうか、つかみどころがないオレ。エリも。
けれどそのつかめなさのまま、つるつる流れていくように物語がすすんでいく。
そのかたちが、なんかいい。

おまけにオレなんて、落ちてるものがだいたい死骸に見えるとか、花見の人だかり見て「本当に楽しいんだろうか?」なんて平坦に思うような男だから、余計にわかんない、つかめない。ぼうぼう。わくわく。ぼうわく。
おかげでこっちは、「べつに生きたくないひとなのかこのひと?」とか、いらない邪推までしてしまったくらい。
エリもエリで、いろいろあるし。
そんでいろいろありながら、オレがときどきしれっと思うことがまた何気なくいい。
川上弘美さんがオクラの大根おろし和えに出会ったとき(エッセイ集『ゆっくりさよならをとなえる』参照)みたいな感じかもしんない。たとえば、

男女の間にも友情は湧く。湧かないと思っている人は友情をきれいなものだと思い過ぎている。

これとぜんぜんちがう切り口で、いろいろ気に入った文章が本文中何個も何個もあって、どれか2、3個くらい引用しようかと思ったけど、ここでぶつ切りにして出しても美味しくなさそうなのでやめときます。
実物をご参照ください。

あー感想の着地点を見つけたいけど煙にまかれたというか、本人らはまた煙なんて焚いた気すらないんだろーけど焚いてるんだよあんたらーと抗議したくなるような気分。悪い気じゃないですが。好きですが、こういうの。

さあ、いっくら感想文書いてもぜったい伝えきれないんだろーなあと思いますとても。
カツラさんのこととかほとんど書いてないし。まあいいけど(いいのかよ)。
でも個人的には素敵な1冊でした。
ぜひ、ご賞味あれ。気に入られるとうれしいです。なんか一時共有してみたくなる、そんな1冊です。

山崎ナオコーラ 『カツラ美容室別室』 河出文庫

私信:今お邪魔して、今気が付きました。ちょっと笑いました(^^)

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山崎ナオコーラ 『人のセックスを笑うな 』

人のセックスを笑うな (河出文庫)人のセックスを笑うな (河出文庫)
(2006/10/05)
山崎 ナオコーラ

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「けど、楽しいっすよ。自由に描けるし、褒めてもらえるし。わからないとこは他の先生に聞けばいいし」
「うん。そうしなよ」
「先生、足速いですね」
「あのさあ」
「はい」
「私、君のこと好きなんだよ。知ってた?」


19歳のとき、オレはユリと出会った。
そのときオレは美術の専門学校生で、ユリはそのとき39歳の、デッサン講師だった。

かなり短くシンプルなのに、とても不思議で、いつまでも余韻の残る物語。
「虫歯の優しさ」と併せた、2話収録の短編集。

見た目も39歳で、これといって化粧気もない。長い黒髪で、パーマはかかってるけれどほったらかしのぼさぼさ頭。汚れたスモックを着て、いつもニコニコ笑ってた。
ユリは結婚していたのだけれど、ユリとオレはセックスをした。
少しずつ仲良くなりながら、春を迎え、夏を過ごした。

異質とまではいかなくても、オレとユリのような関係なんて、たぶんそうそうあるもんじゃない。
けれど初めて知ったその関係は、どうしても表しようのないような、不思議な気持ちを抱かせた。

恋だとも、愛だとも、名前の付かない、ユリへの愛しさがオレを駆り立てた。、訳もわからず情熱的だった。

ユリの不思議なダンナが現れるまで気づかなかったけれど、ユリとオレの関係は不倫なんだった。
そんな明らかな事柄に私が気づかなかったのは、オレ自身(そしてたぶんユリも)、自分に巣くう気持ちの名前が(もしかしたら最後の最後まで)わからなかったからなのかも。

そうしてやがて訪れる最後のセックスの瞬間も、彼女と最後に会うことになる場所も、過去になってしまってからそうと知れる。
しあわせな結末ではないのだろうけれど、読了後に感じたのは、たとえば後悔だとか、哀しみだとか、そんな後ろ向きの感情ではなく。
むしろそんな気持ちのほど遠い、まっすぐで爽やかな愛おしさがこみ上げてくる気がした。

「虫歯の優しさ」を読んでも思ったのだけれど、ナオコーラさんは別れを別れのまま、ただ哀しいだけで終わらせようとはしない。

「会えなければ終わるなんて、そんなものじゃないだろう」

それが正しいことなのかどうかはわからない。
けれどそれはたしかにまっすぐで温かな強さを持つ言葉で、けして幻想だと嗤ったり、そうと信じてはいけない言葉ではないはず。

「人のセックスを笑うな」というタイトルの真意は正直言って私にはわからないけれど、込められているのはたぶん直接的な感情でなく、何かもっとにじむような想いなんじゃないかって気がする。

それが何か。
そんな肝心なことを、2度目を読み終えた私はまだ見つけられないんだけれど。

山崎ナオコーラ 『人のセックスを笑うな 』 河出文庫
プロフィール

小津りゆ

Author:小津りゆ
3年ぶりぐらいですが、ログイン。夢だった資格をとってそれなりの仕事始まったはいいものの、現実にどっしん追突し、車体ボロボロ、エンジンぷすんぷすん状態です(なにそれ)。仕事の本ばっかりで、めっきり小説を読む時間が減。もしかしたら引っ越しして続編するかもです。

※since 2008.2.17

※オリジナル物語サイト、始めました。『ことあら』(リンク欄からどうぞ)

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