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藤原伊織 『ダックスフントのワープ 』

ダックスフントのワープ (文春文庫)ダックスフントのワープ (文春文庫)
(2000/11)
藤原 伊織

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「そのダックスフントは、スケートボードに乗っかってたんだよ。ダックスフントのスタイルは知ってるね。とても足が短い。だからスケートボードは理想的な乗りものだった。彼は発見したんだ。体型にとてもあってる。スケートボードに乗ったダックスフント。頭の中で絵になった?」
(「ダックスフントのワープ」より)

売っては買い、売っては買いを繰り返して、気付けば何度も読んでいる本。好きなのかそうでないのか、未だによく分からない。
4話収録。

ダックスフントのワープ・・・
難解な言葉を好んで使う自閉的な少女、下路マリの家庭教師を引き受けた、心理学科の学生の僕。
そんなマリに僕が語ったのは勉強の話ではなく、「時間的空間的非連続性における跳躍」、つまり異空間、「邪悪なる意志の砂漠」へとワープした、90歳の心優しきダックスフントの物語だった。
僕が即興で語るその物語に下路マリは興味を示し、そうして物語はいよいよ架橋へ差し掛かったのだけれど・・・・・・。

「教訓的」で、さりとて「古典にはなりそうもない」話。
物語の核がどこにあるのかわからなくて、不意に訪れた「悲劇的な」終わりに戸惑ってしまう。
アンハッピーエンド。けれど私はたぶん嫌いじゃない。

ネズミ焼きの贈り物・・・
チャイナドレスを着て哲学書を万引きしていた女の子は従業員に捕らえられ、けれどそれを目撃した「僕」は従業員を階段の上から蹴りつけて、その女の子を逃がした。彼女は「僕」の友人の妹で、とうの友人はおよそ一年前、沸騰した湯船の中で息絶えたという。

タイトル通りのことが実際に起こるので注意。
淡々と語られるぶん、よけいに薄気味悪い。

ノエル・・・
離婚した父親が、息子ノエルの生後2、3ヶ月に送ってきた19世紀のヴィスクドール、ミーアン。
おぞましい過去の関りを象徴するそれは、けれどノエルにとっても姉の翔子にとっても大切な友人であり続けていた。
けれどある夜のある出来事をきっかけに、翔子はついに人形追放の決意をしたのだけれど・・・・・・。

静かな雨の中、突堤に佇む翔子とノエルと、ミーアン。
ミーアンの頭にスティックを振り下ろしたのは、だれだったのか。
ただ、正直この話は嫌い。「ダックスフントのワープ」よりはるかにストレートだけれど、だからよけいに嫌いになってしまった。

ユーレイ・・・
叔父のアンティーク店に勤める、といっても商品知識もなく店の奥に座っているだけの「僕」は、ある日若い女の子のユーレイに出会った。
彼女は毎日かっきり午後二時にこちらに現れ、午後六時にあちら側にもどっていく。
いつしか「僕」とユーレイは親しくなっていくのだけれど、「僕」の誕生日に、ユーレイは唐突に語りだした。それは「僕」がそのときまでけして訊かなかった、彼女がユーレイになった理由。

「光を当てられるまで、自分のことは何一つ気付かない」、「スクリーンでしかない」。
そんな「僕」のもとにある日ユーレイは5時少し前に現れ、そして二度と現れなくなる。
そんな彼女の前で、「僕」ははじめて嘘をついた。

私がこの本を何度も買い戻しているのは、もしかするとこの物語のためかもしれない。

私の拙い文章でこの本の感想を書くのはいくら背伸びしてもとても難しく、けっきょく今回は何も伝え切れなかったかもしれないと思った。
けれどこの本は濃厚すぎて、本当に好き嫌いがわからない。
俗世的、閉鎖的、象徴的、哲学的。いろんな言葉があるのだろうけれど、何を当てはめていいのかわからない。

たぶん一番近いのは、「閉鎖的」なんだと思う。
すすんでお勧めはしないけれど、だれかに気にかけてはほしい本。

藤原伊織 『ダックスフントのワープ 』 文春文庫
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プロフィール

小津りゆ

Author:小津りゆ
3年ぶりぐらいですが、ログイン。夢だった資格をとってそれなりの仕事始まったはいいものの、現実にどっしん追突し、車体ボロボロ、エンジンぷすんぷすん状態です(なにそれ)。仕事の本ばっかりで、めっきり小説を読む時間が減。もしかしたら引っ越しして続編するかもです。

※since 2008.2.17

※オリジナル物語サイト、始めました。『ことあら』(リンク欄からどうぞ)

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