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椰月美智子 『未来の息子』

未来の息子 (双葉文庫 や 22-1) (双葉文庫 や 22-1)未来の息子 (双葉文庫 や 22-1) (双葉文庫 や 22-1)
(2008/02/14)
椰月 美智子

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「で、誰なのよ、おじさんは」
「俺のこと、わからないかなあ」
「全然わかんない。キモいよ、誰?」
「・・・・・・あんたの息子だよ。俊介、中西俊介」
「は?」
「未来から来たんだ」 (「未来の息子」より)


初めての椰月さん作品。
受賞暦なんか見て、てっきり児童文学一本の人かと思ったら、一作一作ぜんぜん味がちがってて。
だから読むたんび「すげーな」って驚いたし、内容はどうあれ、どれもけっこうおもしろかった、と思う。
5作収録。

未来の息子・・・
中学二年の理子は、憧れの野中先輩に告白するかどうかを訊くために、親友のさやかとこっくりさんを呼び出した。
良い返事はあったけれどこっくりさんはなかなか帰らなくて大騒ぎしたり、おまけに肝心の予言に反して先輩にはふられるしで、けっきょく散々な理子。
そんなある日理子の前に現れたのは、なんと親指サイズのオヤジ。
おまけにそいつは、「自分は七十三年後の未来から来た、あんたの息子だ」なんて言う始末。
追い返すわけにもいかず、仕方がなく理子は未来の「息子」と過ごすことにしたのだけれど・・・・・・。

「なんじゃこれ!」ってのが最初の感想。
家に突然小さなオヤジが現れて、「あんたの息子だ」なんて言い、おまけに14歳の自分を「ばあさん」呼ばわりする。
これってファンタジーなんだろうけど、「キレイ」だとか「幻想的」なんて言葉からはぜんぜん遠くて、なんかもう「みっともない」とか、「なんか知らないけど情けない」ような気までしてくる。
まーだからこそ、傍から見てたらおもしろいんだけど。

かといって、そんな笑い話だけですむような物語じゃない。
未来から来たオヤジ(あ、息子か)は、14歳の理子にいろんなことを教えてくれる。
未来の理子のこと、家族のこと、友達のこと、そして自分がなぜここにいるのか。

見た目さっぱりしてるけど、じつはけっこうしんみりした、けっこー良い話。
瀬尾まいこさんの本の読後感と、ちょっと近いかもしんない。

三ツ谷橋・・・
「あんた、この橋の名前、知ってるかね」
戸板川の橋の上。そこにはいつもきみどり色の顔をした不気味な老婆がいて、けれど僕はその橋を通ってバイトに通うフリーター。
その老婆は自称「三ツ谷」さんで、いつもいるこの橋の名前は「三ツ谷橋」なのだという。

物語ではどういうわけかこのふたりがだんだん言葉をかわすようになって、ある日老婆は「古屋橋」に行こうと言い出す。
「古屋」というのは「僕」の名前で、もちろんそんな橋はないはずなのに、老婆はずんずん進んで行く。
けっきょく僕はバカらしくなって、老婆を途中で置いていってしまうのだけれど・・・・・・。

なんていうか、何がなんだかさっぱりわかんない。
終盤に近づくにつれ三ツ谷さんがホラーみたいに不気味になるけど、かと思えば親密になりそうな雰囲気だったり、けれどけっきょくそんなことはなくて。
・・・・・・うーん、説明できない。
最後まで読んでもなんか中途半端な話だなーって思う。
そのくせ、なぜだかすんごい後味。まったくもってわけがわかんない。

月島さんちのフミちゃん・・・
中学三年のフミの家族はちょっと変わってるけど、とっても素敵な家族。
両親はいなくて、けれどフミにはふたりの家族がいる。
美人だけどひざ小僧に顔が出来たり、頭の後ろに口が出来たりする、瑛子。
昼はピシっとスーツを着こなし出社するけど、家ではオネエキャラになる、カンちゃん。
そんな3人が織り成す毎日は、けっこう変で、とってもあたたかなのだ。

5作品の中で、一番好きな話。

顔が出来る、口が出来るといいながらも肝心の実物をフミは見ていない(カンちゃんは見ているというけど)とか、つっこみどころがけっこうありそうなんだけど。
そんなことはどーでもいいやって気になるくらい、すっきりしてて暖かい話。

瑛子ちゃんの頭に口があったってなくたって、どっちにしたって、なんだか平気なような気がしてきた。カンちゃんがお嫁さんになれても、なれなくても。
どうにだって、なんだって、素直に受け入れられる気持ちがむくむくと湧き起こってきた感じだ。

と、ホントにそんな気持ちになる。すると何でだろ。けっこう、心地いい気がする。

・・・
今、直美の頭に浮かんでいるのは、恭一、貢、マーロン、浩輔の四人だ。
今日はだれにしようか。こないだ会ったばかりのマーロンがいちばん確認しやすい気がする。
そう、マーロンがいい。マーロンにしよう。

月島さんちのフミちゃんのすぐ後でこれ。正直かなりひいたけど、それはともかく。

主婦の直美は、気に入らない周囲の人間をこころの中で蔑みながら、男たちとの恋を夢想し、ときに興じる。
そうして恭一と過ごすはずだった土曜日。
直美は子どもが苦手なのに、夫に勝手に進められて義兄夫婦の子どもをひとりであずかることになる。

一触即発。美人だけど中身の狂った女の、かなりこわい話。

告白・・・
僕が僕らのためにそうめんを茹でているとき、彼女は突然話し始めた。
女友達と訪れた旅館にいた、男の話。
それは両方の小指と薬指がない、3本指の布団敷きの話。

なぜそんなことを話すんだといぶかしむ「僕」にかまわず、彼女は話し続ける。
その男の背中には、シャム双生児のようにして、女の後姿が彫られていたこと。
その男の部屋に入っていった女友達が、いつまでたっても戻ってこなかったこと。
そうして日付が変わったころに、待ちくたびれた彼女が出会ったもののこと。

「三ツ谷橋」と同じくらい、わけがわからない話。
読んでてふっと川上弘美さんの本を思い出したけれど、どこかが絶対にちがう。

「異形のものは、私達のこころの柔軟性を量るモノサシ」(解説より)だというけれど、この話をどう受け入れればいいのか、正直見当もつかない。

全部読んでみて、確実に好きなのはいわずもがな、「未来の息子」と「月島さんちのフミちゃん」。
なんだけど、残りの3つがわけがわかんなくて、なんていうか、困る。
後味だけはすさまじいくらいに残るんだけど、どう評価したらいいか、未だによくわかんない。
とりあえず、「未来の息子」と「月島さんちのフミちゃん」は確実にオススメ。

という、長いくせに歯切れのわるい感想文が限界。

椰月美智子 『未来の息子』 双葉文庫
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プロフィール

小津りゆ

Author:小津りゆ
3年ぶりぐらいですが、ログイン。夢だった資格をとってそれなりの仕事始まったはいいものの、現実にどっしん追突し、車体ボロボロ、エンジンぷすんぷすん状態です(なにそれ)。仕事の本ばっかりで、めっきり小説を読む時間が減。もしかしたら引っ越しして続編するかもです。

※since 2008.2.17

※オリジナル物語サイト、始めました。『ことあら』(リンク欄からどうぞ)

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