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村山早紀 『コンビニたそがれ堂』

コンビニたそがれ堂―街かどの魔法の時間 (ポプラの木かげ)コンビニたそがれ堂―街かどの魔法の時間 (ポプラの木かげ)
(2006/09)
村山 早紀名倉 靖博

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(画像は単行本。読んだのはピュアフル文庫版です)

そのコンビニには
この世で売っている すべてのものが
並んでいて
そうして
この世には売っていないはずのものまでが
なんでもそろっている というのです
 (本文より)

ほんとに素朴なやさしさのつまった一冊。
さらさら読めるのに、読後はしっかりあたたかな気分に。

風早の街。駅前商店街のはずれ。赤い鳥居。
夕暮れ時に人知れず現れる、稲穂のマークの不思議なコンビニ。
名前は"たそがれ堂”。
探し物が必ず見つかる不思議なコンビニ。
そこには銀色の髪で金色の目をしたお兄さんがいて、楽しそうにおでんの鍋をかきまぜている。
そこを訪れたひとたちと、探し物とのやさしい再会を描く、5つの物語。

コンビニたそがれ堂・・・
おでこにケンカの傷跡の残る、硬派でかっこいい小学五年生の雄太は、じつは猫好きでこころ優しい小学五年生。
けれど捨てネコを通じて出会った子の想いを、硬派でいたかった雄太は受けとれず、あの日相手を傷つけてしまったまま。

(おれ、あんないい子を傷つけて、泣かしちまったんだよな・・・・・・)

「自分を殴りつけてやりたい」雄太が出くわしたのは、見知らぬマークの、見知らぬコンビニ。
"たそがれ堂”。
雄太の探し物は、もうけして戻らないはずのものだったのだけれど・・・・・・。

幼い自分がしてしまったことに気づくときには、もう取り返しがつかない。
そんなときはくやしい気持ちでいっぱいになるけれど、そんな気持ちも受け取ってくれる。
思い出はやっぱり、大事な宝物にしていたいと思う。

手をつないで・・・
それは十一月の、ある寒い日のこと。
えりかは夕暮れの街をひとり、涙をためて歩いていました。

おばあちゃんに可愛がってもらえなかったママは、ときどき心がぐるぐるして、それからいつも「ごめんなさい」って謝ってる。
わかっているから、何も言わない。けれどママはある日突然、えりかの大事なリカちゃん人形を捨ててしまい・・・・・・。

この結末、まるで甘い夢物語だっていえるかもしれない。
けれどこんなハッピーエンドだって、ぜったいあっていい。
ふたりいっしょに、ずっと手をつないで、そしてしあわせになれたらいい。

桜の声・・・
「ああ、なあんか、疲れちゃったなあ」
ラジオ局のアナウンサー、桜子。
ラジオで自分の番組を持てて、夢は叶ったはずなのに。
このままでいいんだろうか。そんな思いから抜けられない。
ふと思い出した田舎の桜。
スタジオから見える、公園の桜。
桜の木がまねいた、不思議な不思議なキセキの物語。

本編中の中でも、すごくファンタジー的な物語。
名前もないようなひとりの声が、名前も知らないだれかのこころに届く。
それはときに時を超え、行きつまった今に、キセキを起こす。
一生のうち一度でも、こんな体験が出来たらぜったいシアワセだろーなって、心底思った。

あんず・・・
風早の街の商店街を、一匹の猫が歩いていました。
猫の名前はあんずと言い、あんずは重い病気で、もう自分が長く生きられないと知っていました。
だから最後に、自分を助けてくれた大好きなお兄さんに、人間になってお礼を言いたい。
たとえそれが、自分の命を縮めることになるとしても。

家へと帰るあんずを、たそがれ堂のお兄さんはやさしく送り出す。
とっても小さないとしさと、とっても大きな切なさのつまった物語。

文句なしに、一番のオススメ。この話を読むために、この1冊を買ってもいいくらい。

あるテレビの物語・・・
決してお金持ちではないけれど、みんながみんなを大事に思う、小さくても、しあわせな家族。
七年前に女の子が生まれたときから、テレビはずっと家族。
みんなこのテレビが大好きで、テレビもみんなが大好きでした。

けれどテレビは、もう何も映せなくなりました。もう、お別れの時間。
「もう一度テレビさんに会いたいの」
たそがれ堂を訪れた女の子は、お兄さんにそうお願いして・・・・・・。

今までいろんな物を使って生きてきて、たくさんの物を捨ててきた。
お別れでなく、ただ捨ててしまった。
こんなふうに、物にこころがあったならなんて想像無意味かもしんないけれど、
でもありがとうの気持ちくらい覚えていたい。
それはたぶん、とっても無意味で難しいこと。
けれどずっと、大切にできる気持ちだと思う。

正直、あんまし期待はしてなかった。
よくあるやさしく泣かせ系の語だって思ってた。
けれどこんな素朴でおだやかでやさしくて、じんわり愛しいいい話。

そういう意味で、加納朋子さんの本の読後感に近いかも。
大人のほうが泣いちゃうかも知れない(瀧晴巴・解説より)、5つの素敵な物語。

私はけっきょく、いつのまにか泣きました。4話目の、「あんず」。
とはいえ、どれもほんとに素敵な物語なので、よければぜひ一度、読んでみてください。

村山早紀 『コンビニたそがれ堂』 ピュアフル文庫
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プロフィール

小津りゆ

Author:小津りゆ
3年ぶりぐらいですが、ログイン。夢だった資格をとってそれなりの仕事始まったはいいものの、現実にどっしん追突し、車体ボロボロ、エンジンぷすんぷすん状態です(なにそれ)。仕事の本ばっかりで、めっきり小説を読む時間が減。もしかしたら引っ越しして続編するかもです。

※since 2008.2.17

※オリジナル物語サイト、始めました。『ことあら』(リンク欄からどうぞ)

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