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草野たき 『ハチミツドロップス』

ハチミツドロップス (講談社文庫)ハチミツドロップス (講談社文庫)
(2008/07/15)
草野 たき

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「ソフトボール部はね、密かにハチミツドロップスっていう別名を持ってるんだ」

「ドロップアウト集団のくせに、部活の甘くておいしいとこだけを味わってるやつら」、
のんべんだらりの名ばかり部活なのに、内申書の部活欄はちゃっかり埋められる集団、
通称「ハチミツドロップス」。(←この時点で十分おもしろい!)

お気楽キャプテン、カズ。常にクールで、毒舌高橋。
坂本竜馬が我が人生!という、変わり者真樹。
後輩には、礼儀知らずで、ちょっとエッチな田辺さん。
運動神経ゼロ、だけどがんばり屋の矢部さん。

気のおけない、愉快な仲間。放課後の、部活という名のお喋りの場。
そして主人公カズの、同級生直斗との恋も順調。
なにもかも順調。まるでハチミツのように甘い、甘い毎日。
けれどそんな日々も、カズの妹率いる超マジメ&運動神経抜群軍団の入部により、
ゆるゆる甘いハチミツドロップスの日々は、もろくも崩れ去っていき・・・・・・。

あーこれはこれは。
やられました。なんつーおもしろい本なんだこれ、すげー気に入ったんだけど。

仲良し4人組の甘く愉しい中学生ライフ。
それはハチミツドロップスに始まり、ハチミツドロップスに支えられた毎日。
けれど失くしてみて、それまでの当たり前が、どんどんと崩壊していく。

んなおおげさな、と思うかもだけど、そういえば中学生のころって、
今よりももっと脆い関係だとか、いつ終わるかもしれない時間をたしかに支えにして
それで元気にやってたもんなー案外、なんて思い出して。
右往左往して、でもどうにもならずにドロップス崩壊を眺めるばかりのカズたち4人に、
かなり感情移入してしまった。

そんなこの物語、たぶん一番のテーマは、現実から目を背けずに生きれるか、ということ。

主人公カズが「カズらしく」家族のため、友人たちのため、そして自分のために
そうふるまわなければならなかったり。
残る3人娘やカズの妹チカも、カズの両親も、何かを直視しないために続ける、道化のような演技。

道化なんて、言葉は仰々しいけれど、けどそれってオトナも子供も、実際日常的だったりする。
本音とたてまえ。本心と隠し事。それか気遣い、傷つき回避、表のやさしさ。

ハチミツドロップスという場所を失ったカズたちは、否応なしに現実に直面することになる。
そうして4人の立場は別れ、それぞれの、孤立した、孤独な戦いが、
お互いの知らないところで始まっていく。
「じゃあどうすりゃいいんだよ・・・・・・」って途方にくれても、
時間も周囲も環境も、だれもだれも待ってくれない。
偽りの時間は、気づいてみればどうしたってきついもの。

なりたい自分を摺り替えても 笑顔はいつでも素敵ですか (little by little 『悲しみをやさしさに』)

読んでて思い出したんで、↑引用。
言わずもがな、好きなんだけどむずかしい言葉。
健やかでも強くもない私には、遠い遠い言葉。
けど、追い求めてるのはこんな言葉、こんな心根。
カズみたく、少しずつでも、近づけてるだろうか。前より少しは、近づいた気がするんだけど。

基本ハッピーエンドで、終わり方も好きなんだけど、
カズの中身だけ壊れたような両親は、この先どうなるんだろ?ってそこだけ引っかかった。
わざと書かなかったのかもだけど、やっぱり少し気になる。
けどこれ、軽く見えてわりとヘビーだけど、けどすんごく気持ちのいい話。

だまされたと思って読んでみて。
特に中学生くらいのひと、はてしなくおススメです。

草野たき 『ハチミツドロップス』 講談社文庫
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草野たき 『ハーフ』

ハーフ (ピュアフル文庫 く 1-1)ハーフ (ピュアフル文庫 く 1-1)
(2008/03/10)
草野 たき

商品詳細を見る


ぼくの母親の名前は、ヨウコという。
ぼくは小さいときから、ヨウコが母親だと教えられてきた。
ヨウコは、茶色い毛並みのきれいな、犬だった。


ありえねーよ!なんて斜に構えて読んでたら、いつのまにか涙目状態。
こんな物語久しぶり。不思議でやさしい、家族のお話。

父さんは四十六歳の、典型的なサラリーマン。
対するヨウコは、どこから見ても、茶色い毛並みの雑種のメス犬。
父さんが川原のダンボールに捨てられていたヨウコをナンパし、ヨウコも父さんを好きになってふたりは結婚。そして生まれたのが、ぼくだというのだ。

もちろん、ぼくはそれが普通のことじゃないってことにとっくに気づいている。
けれどじつは、この暮らしもぼくはけっこう好きだったりする。

父さんは父親としても主夫としてもパーフェクトだし、ヨウコは父さんもぼくも大好きでいてくれる。
朝は出勤前に父さんがヨウコを散歩に連れて行き、夕方はぼくがヨウコを散歩に連れて行く。
そしてヨウコと散歩に来た川原で、ぼくはホントのお母さんを内心こっそり探している。
会いたい人にはいつも会えなくて、会いたくないやつにばかりあってしまうのだけど。

平凡で、けれど不思議で穏やかな毎日。
もっとシアワセな暮らしがあってもかまわないし、期待もしているけれど、ぼくはこのくらしをとても気に入っている。
けれどそんな中、大事件が起こった。
ある朝、突然ヨウコがいなくなってしまったのだ!

読み始めは少しとまどっていたけど、そのうち慣れてきて、「あーこんな家族もあっていいかもねー」なんて、ほんわかしながら読んだ。
なんたって「父さんとぼくを心配した」おばさんのお小言訪問を除けば、それはそれは暖かい毎日。
父さんとぼくとヨウコ。
みんなみんなお互いが大好きで、父さんはヨウコを愛していて、そんな3にん家族で毎日暮らす。
からかわれることもあるけれど、それは小さくて、ちょっと不思議なシアワセ。

けれどそんな中、ある日突然ヨウコがいなくなってしまう。
すっかり弱々しくなった父さん。
そんな父さんに苛立ち、鋭い本音をぶつけてしまうぼくなのだけれど、そんなことをしてももちろんヨウコは戻ってこない。
そんな中、ぼくはひとつの決心をする。

いったい、家族って、なんだろう。 (金原瑞人・解説より)

ありえない、じつはとんでもなくきつい内容の物語なのだけれど、そこから考えさせられることはとてもとても多く大きく。

きれいできびしく、とびきりやさしい、とある3人家族の物語。
人を選びそうな本だけど、どうかいろんなひとに読んでほしいなと思う。

こんな素敵な家族、そんなにいやしないよって、
私はそう思うから。

草野たき 『ハーフ』 ピュアフル文庫
プロフィール

小津りゆ

Author:小津りゆ
3年ぶりぐらいですが、ログイン。夢だった資格をとってそれなりの仕事始まったはいいものの、現実にどっしん追突し、車体ボロボロ、エンジンぷすんぷすん状態です(なにそれ)。仕事の本ばっかりで、めっきり小説を読む時間が減。もしかしたら引っ越しして続編するかもです。

※since 2008.2.17

※オリジナル物語サイト、始めました。『ことあら』(リンク欄からどうぞ)

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