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野中柊 『シュガー&スパイス』

シュガー アンド スパイスシュガー アンド スパイス
(2009/10/30)
野中 柊

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砂糖を焦がす加減は、恋によって身を焦がす加減と同じくらいが、ちょうどいいのかもしれないなと思いつつ。
甘く。ほろ苦く。かりっと香ばしく。
私はそんな恋をしたことがあるだろうか。


自他認める甘党の身です。ので、こんな表紙にされると買っちまうんです。。
ついでに香ばしいスコーンまで買ってきてしまうんです。。
さすが角川さん、戦略が効いてますわー。。

という阿呆な独り言はさておき。
先に断っておきますね。今回の記事は書き手の主観、いつにもまして全開です。

ひとまずあらすじ。

マンションの一室に看板もなしに店を構える、知る人ぞ知る名洋菓子店、パティスリー・ルージュ。
天才パティシエ・柳原雅也のもとで、見習い仲間・近藤と奮闘する晴香、21歳。
女優兼オーナー兼パトロンの紅子。その紅子の、口の悪い美少年風の妹、碧。いかにもな中年ゲイ、マシュマロ。ゆで卵系マネージャーの篠田。
柳原さんをめぐる晴香vs紅子の戦い(ぶっちゃけ勝負になってない)を抱えながらも、穏やかな日常と修行の日々。
そんなある日、紅子のフランス人元彼(大物映画監督)が現れたことから、店に波乱の予感が・・・!

シビアじゃない方の野中さん作品の特徴というか見所というか。
登場人物がみんな活き活きしてて、とにかく自然な活気がある!
軽やかなんだけどうるさくなくて、心地よく読める。
なので、小説を読んでるというより、テレビ画面を見てるかのように光景が浮かんでくる。
それも、ところどころに気の効いてる必殺が、ひそかに隠されてたり。
たとえば、ある日のパティスリー・ルージュの、こんなやり取り。

エントランスの扉を押して、ふとマシュマロは振り向いた。
「ねえ。雅也。永遠に続く恋って、この世には存在しないのかしら?」
まるで、その問いを待ち構えていたみたいに、
「あのさ、長く保存できないものほど、純度が高いって場合もあるよ。生菓子の賞味期限だって、めちゃくちゃ短いだろ?」すらっと柳原さんが答えると、
「物は言いようね」マシュマロは肩をすくめて、微笑んだ。


質問者、失恋直後の泣き兎、マシュマロさん。
うわ、なんつーストレートな問いだよ!と思いながらも、やっぱし人情(?)、
こういう気持ちはうちにだってあったりしたわけで、柳原パティシエの回答には、ううむ、巧いことを・・・!(うちの相方にも効くだろか?)と唸った。

ときにキザだったりするのに、そのくせさりげない会話の妙。
参加型猫』なんか、その見所が最大限溢れてると思うし、だからあの本は大のお気に入り。

けど・・・今回のは・・・・・・甘い。。
軽く胸焼けしそうなくらい甘い。。
フランソアのミルクチョコ大福くらい甘い。。(といいつつ、ちょくちょく買ってくるひとがここに一名・・・)

主人公、晴香も、周りのメンバーもキャラがたってて魅力的なんだけど、やっぱしなんか甘すぎる。。(だいたい、「女の子ってそういう生き物」みたいな考えが、うちは嫌いなんだった・・・)
もちろん色恋沙汰につきもののビターな想いを味わう場面もきちんと描かれてるけど、でもバランスがいまいち。。

というわけで、さくさく読めて楽しめたけど(特にケーキの描写なんか。横文字アレルギーのうちですら、いらない食欲が沸いて沸いて本気で困った・・・)、やっぱりお気に入りとはいえない一冊。

もうちょいビターテイスト効かせたほうが良かったかもしんない。。
少なくともそのほうがうちは好みです。。島本理生さんとか。

好き嫌いの分かれる本ですので(ホントに、砂糖の加減の好みみたいに)、表紙に心惹かれた方、ちょっと立ち読みの後に買うのが無難です。

野中柊 『シュガー&スパイス』 角川書店
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野中柊 『きらめくジャンクフード』

きらめくジャンクフード (文春文庫)きらめくジャンクフード (文春文庫)
(2009/09/04)
野中 柊

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まずは餡ドーナツをぱくぱく食べて
「あまっ!」
それから緑茶を啜る。
「にがっ!」
また餡ドーナツを食べる。
「あまっ!」
続いて緑茶を啜る。
「にがっ!」
この繰り返し。私って、ばか?でも、いいじゃないの?
だれに迷惑をかけているわけでなし。ねえ?
 (「餡ドーナツ」より)

いいですいいです、じゃんじゃんやってくださいませっ!!と(「ませ」でなく「ませっ」、川上弘美さんのごとく)力入れてエールを飛ばしたくなるような、「美味しくて楽しい」、
なかなかに素敵なジャンクフードエッセイ。

ハンバーガーに始まり、パンプキンパイ、コーンズシ、チーズケーキ、あんみつ、おにぎり、たこやき、グラタン、鯛焼き、おせち料理(!)等々46種類を経由して、ラスト、シュークリームまで。
1章につき4ページ弱の短い文章の中、けれど濃密な時間をまったりくっきりべったりすごせるああもう至福!!最高でございました。
とりあえずあんみつについての文章から引用。

まずは寒天からお味見。つるりとした舌ざわり、噛むと、しゃくしゃくしゃく・・・・・・この歯ごたえがたまらない。それに対して、白玉のほんわり優しい柔らかさよ。黒蜜のこっくりとしたコクがよく味わえる。

(ですね、それそれそうなんですぜ、とうなずくこと数回。ありがたいことに、文章はまだ続く)

どれどれ?餡はどうかな?つやつやと黒光りしている。美味しそう。スプーンで掬う際の、ねっとりとした感じは口に入れた後も見事にそのままで、舌のうえで素朴な甘味が広がる。ちょっとさっぱりしたくなったら、アイスクリームをぺろり。冷たい。涼しい。ついでに、餡とアイスクリームを両方同時に口に運び、舌の上で小倉アイスの出来上がり!

(きひひ!とか何とか、もう言わずにいられない!読んでるだけで八分しあわせといったよう)

ちなみに読んでる最中、あまりの共感&食欲増進効果(!)に、私が「ふふ」だの「きひひ」だのひとりで奇声をあげているものだから、犬はそばを避けて通るわ、親からは「気色悪いっ!」と野次飛ばされるわ、ろくな目にあわず(当たり前だ)。

ちなみにこの本、食べ物それ自体以外にも、各種名言がけっこう隠れてたりする。これも秀逸。

「おむすびが、どうしておいしいのだか、知っていますか。あれはね、人間の指で握りしめて作るからですよ」 (太宰治『斜陽』からのまごびき。名言!)

「肉じゃがは、おふくろの味の代表選手。グラタンは、ママの味の代表選手。今どきの男の子は、ぜったい、ママの味のほうに魅了されるんですよ」 (爆笑してしまった。巧い!)などなど。

奇声発したり、爆笑したり、読んでてかなり忙しい。
というわけで、この本はよく晴れた昼下がり、あえて部屋にひとりでいるときに読むことをお勧め。そうしないときらめく変人の烙印を押されます(あんただけだって)。

あーやばい、今日はかなり暴走しちまった・・・・・・。(いまさらかよ)
とはいえ、めったにないくらい最高の時間でした。ごちそうさまです!

野中柊 『きらめくジャンクフード』 文春文庫
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野中柊 『参加型猫』

参加型猫 (角川文庫)参加型猫 (角川文庫)
(2006/09/22)
野中 柊

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のらくらとしているように見えて、いつも日向の真ん中にいようとする。
そんなチビコの姿を見るにつけ、勘吉は、猫ってやつは偉い動物だなあ、と感じ入る。
そして、自分も光の方向へ、温かな心地よい場所へ転がっていこう、と思うのだ。

(「ペンギン猫、もしくはバットマン」より)

勘吉と沙可奈。この若い夫婦は、奔放な妻、沙可奈の拾った捨て猫5匹がきっかけで知り合い、
結婚し、目下沙可奈の愛猫、チビコとともに、引っ越し作業の真っ最中。
できれば愛想がよくて体力のある好青年の引っ越し屋さんが来てほしい、という勘吉の願いに反し、
やってきたのは見るからにガラの悪そうな、バリバリヤンキー風の三人組で―――(「ペンギン猫、もしくはバットマン」)。

他、引っ越し作業にあたる数日間を過ごす夫婦の、ほんとーに平坦な日常の、
さらにそのひとコマずつを切り取った、のんびりゆったりな短編集。
暖かい日差しの指す部屋なんかでソファーに座って読もうものなら、
それこそものの5分で眠り込んでしまいそうなスローペース本。

勘吉、沙可奈、チビコ。
少しばかり小心者だけど心優しい夫と、奔放で軽やかで、変わった名前の妻と、
そんなふたりの生活に積極的に参加する猫。

住みやすい空間を目指して引っ越すのはいいけれど、なんともまあ、
引っ越しというのはどうにも大変で、お金もそうだけど手間だってうんとかかる(経験はないけど)。

住民に見つからないように(ペット禁止)チビコを連れて、6階の部屋までダッシュ(エレベーターなし)
したり、近所の変人シェフの店の、ヘンテコな名前のスパゲティーを食べたり、1階の焼肉屋の、気難しげな爺のもとへ挨拶にいったり、そして部屋につまれたダンボールの山を見て、うんざりしたり。

しごく平凡で雑多なことをするすると重ねて、そんな中で日常のさらにひとコマを生きてる2人と1匹。
この1冊の本に描かれてるのは、ほんとうに、ただ、それだけのこと。
シンプルで平凡で、そしてはてしないくらいスローリー。

でもスローな中に、印象的なのは、どっかで繰り返して、この日常の終わりを思ってること。
みんな当然知ってることだけど、この物語はそれをもう知ってる、というより、わかってる、気がする。

終わることと変わることが同義かどうかわからないけど、
いつまでもどこまでも続く生活、暮らし、時間なんて、ない。
だからこそ、日常の中のさらにひとコマ、ここでは引っ越しの数日間。

ささいな時間を、綴っておく。
そこからなにが言える、なんてこと、あいにく解説者さんみたくうまく考えられないけれど。

なんとなく、好きになってしまったらしい本。
そんなふうになんとなく、どうやら好きにさせてしまう可愛らしさを持った1冊。
購入する際には、できれば立ち読みしてみたほうがいいかもしんない。
相性が合うようなら、たぶんなんとなくでも、自分でそうとわかるだろうから。

雨の土曜は、のんびり読書にうってつけ。
さて、次は何を読もうか。

野中柊 『参加型猫』 角川文庫
プロフィール

小津りゆ

Author:小津りゆ
3年ぶりぐらいですが、ログイン。夢だった資格をとってそれなりの仕事始まったはいいものの、現実にどっしん追突し、車体ボロボロ、エンジンぷすんぷすん状態です(なにそれ)。仕事の本ばっかりで、めっきり小説を読む時間が減。もしかしたら引っ越しして続編するかもです。

※since 2008.2.17

※オリジナル物語サイト、始めました。『ことあら』(リンク欄からどうぞ)

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