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島本理生 『あなたの呼吸が止まるまで』

あなたの呼吸が止まるまであなたの呼吸が止まるまで
(2007/08)
島本 理生

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淋しいからってすぐに誰かに寄りかかろうとしない。そんなふうに、私もなりたかった。だけどなれなかった。
だから自分があの人に捕まってしまったのだと思いました。


好き嫌いで言えば嫌いな話だけど、それは生理的な嫌悪感に近い・・・・・・。
こんなややこしい感情抜きで読めるとしたら、もっと自分の中で評価できたのかもしれません。
それはそれとして、本編へ。

舞踏家の父と暮らす12歳の朔は、童話作家になるのが夢。
「人生とか魂とか、堂々と口に出すのが恥ずかしい言葉を当たり前みたいに使う」父。
クラスメートよりも父やその同志たちといっしょにいる時間がどうしても長くなるから、
同級生とは話も波長も合わず、一部からは疎まれている。
そんな中でも朔は物語をつづり、仲の良い友だちを見つけることもできたし、おそらくは初めて、自分の淋しさをわかってくれそうな大人、佐倉さんにも出会えた。
クラスメートの逆風もあれど健やかに成長していく朔。
けれどどうしようもなく突然の出来事が、彼女を襲う。
そして彼女が選んだ、たったひとつの復讐のかたちは・・・・・・。

ネタばれ注意警報がわんわん鳴り響くのであんまり書きませんけど、後味が悪い話です。(と、書き終わって見直してみたら、ネタばれゼロで書くのは無理でした・・・。ところどころネタばれしてますので、気になる方は続きはご遠慮ください)

ナラタージュ」では男性(葉山先生)の善人ぶった卑劣な弱さを描いていた島本さんが、今回描いたのははっきりとしたゆがみと実害と傷。
自分の歪みを好き勝手に投影して、あげくその結果まですべてなすりつける。
そんな腐った人間。言葉は悪いけど、反吐が出たし、自分のことしか考えてないわけではないのにけっきょくは自分しか見えていない周りの大人たちにも辟易しました。

そんな中でも、何一つ知らないままで、わからないままで、気づかないままで、けれど朔といっしょにいてくれた友だちの存在だけが、希望といえないくらいの、小さな希望でした。
そして朔が選ぶたったひとつの復讐。
長い時間がかかり、できるかどうかもわからない非現実的な方法ですが、朔という少女ができるたったひとつの手段だったのかもしれません。

と書いてみて、「復讐」の内容がもう帯に書かれてしまってるのがすごい痛手です・・・。
売り込みたかったのかどうか。にしても、これは物語を殺しかねないんじゃないかと思いました。
事前に知りたくなければ、帯なしの中古本でも買ったほうが断然良いかと思います。

「奪う」ということに何も感じない人間は、そんなにはいないと闇雲にでも信じ込みたいです。
と思いつつ、あなたが何も何一つ奪わない人間かといえば、そんなことはいえない。

反吐の出る人間たちに与えられた単なる言葉を、いつまでもかわしきれず侵食を許している、あげくだれの手もとれない場所にまで踏み込んでしまう私ですが。
けれどこんな傷は、はっきりとした意思をもってして与えられたこんな傷は、本来ならば誰にも与えられてはならなくて、残されてはならないのだと、それははっきりとしています。

島本理生 『あなたの呼吸が止まるまで』 新潮社
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島本理生 『大きな熊が来る前に、おやすみ』

大きな熊が来る前に、おやすみ。大きな熊が来る前に、おやすみ。
(2007/03)
島本 理生

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気まぐれだとしても、単に振り回されているだけだとしても、他人から必要とされたり求められることに、どうして私の心はこんなにも弱いのだろう。 (「クロコダイルの午睡」より)

唐突だけれど、もし自分に自分で認められる何かの能力があるとすれば、どうにも必要なときに必要だったと思えるような物語を探し出せることなのではないかとか、そんな浸りきった(と言われても否定できない)気持ちで本を閉じた。『一千一秒の日々』も大好きだけれど、つまり今の自分にとって、これはそれほどの本。
3編収録。

大きな熊が来る前に、おやすみ。・・・
「早く寝ないと、大きな熊が食べに来るんだっけ?」

徹平と暮らし始めて、もうすぐ半年になる。そうして暮らすうちに、結婚の話なんかも顔を覗かせたりもする。けれどそこにあるのは、希望よりもむしろ絶望に近い、「大きな熊」のような、おそらくはどうしようもない歪。予期せぬ新しい命の誕生にうろたえ、ひとりで部屋を飛び出した私が悟った「願い」の正体は・・・・・・。

荒れ果てたラストではけしてない。けれどまるで呪いのようだと思いながら、そして最後まで希望の見えない関係だった。。 そんな中で「私」の願いは、いつか叶うのではないかと、そんなことすら思ったし、じつはそれしか思えなかった・・・。
「哀しい」といってしまうことは簡単だと思いながらも、ずっと哀しいとしか思えなかった・・・・・・。

クロコダイルの午睡・・・
「俺、次はここのワニに生まれて死にたいと思ったんだよ。なんの役にも立たず、なにも傷つけず、必要最小限の欲望だけで生きてる。そういうのって素敵だろ」

友人同士の集まりで近づいた都築君は彼女がいるのに(というかいるから)、他意もなく次第に私の生活に浸透していく。光ることも飾ることも似合わない爪を見ながらごまかしの効かない想いを募らせる私は、都築君のほんの一言で、ある行動に出るのだが・・・・・・。

とにかく最初は都築君が単に嫌なやつにしか見えず、こちらの感情はほとんど「私」側。それは都築君の覚悟を知った後でもあまり変わらない。都築君の覚悟には少なからず気持ちを揺さぶられたのに、あんな行動を実行してしまった、「私」であるのに。

猫と君のとなり・・・
「私は、本当は、今でも少し怖いんだよ」

中学の仲間の集まる中で再会した、後輩男子の荻原君。かつてバスケ部にいながらビジネスマンじみた喋りに実力のなさも伴って、「パスをもらうと動きの止まる荻原君」としか覚えていなかった彼が、どうしてだかまるで目立ちもしなかったあのころの「私」を好きになっていたという。「好き」という言葉をけして口にしないようにくみ上げていく生活には、かつていた、自分の飼い猫を虐待する男の存在がちらついている・・・・・・。

なんだか最後に来て救われたというか、掬われた感のある物語。

それなら、もう忘れ始めてもいいのだろうか。
すごく悲しかったことを。
そして口に出してもいいのだろうか。
言いたかったことを。


いいのだろうなと、そう思わせて、気づかせてくれる。私にとって必殺の物語。
「私」がずっと言えなかった最後の一言を、私も言うことにしよう。

「何があってもいっしょにいたい」と言ってくれた相方に。
こんなやつを、それでもたしかに好きで居てくれる、たったひとりの相方に。

弱い部分があるのはわるいことではない。
けれど弱さに逃げ込むのは、言い訳のできない最低の所業だから。
せめてたった一言を言えるくらいの勇気は、持てなくちゃならないと思ったのです。

追記。
ここ数週間、どうしても自分で書いてみたいと思う物語の気配がずっとしてて、ここ数日間の重要な出来事を経て(もちろん、この本に会えたことも含め)、いくらかは自分なりの形にすることができるような気がしてきました。
たどたどしいうえに、書くスピードはもうべらぼうに遅いのですが、心の片隅で見守っていただけたなら、もう十分にうれしいです。

島本理生 『大きな熊が来る前に、おやすみ』 新潮社
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島本理生 『CHICAライフ』

CHICAライフCHICAライフ
(2008/06/27)
島本 理生

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CHICAライフ 【チカライフ】
「CHICA」は、スペイン語で“女のコ”、“小さい”という意味。
作家・島本理生の人生における、ちょっとした出来事、ふと思ったことを綴ったエッセイ。


というより、島本さんの意外や意外な、トホホな恋愛ライフ+トホホな日常ライフ。
巻末には漫画家おかざき真里さんとのガールズトークも収録。

だけどなんだろ、この感じ。
ちょうど島本さんの「君が降る日」を読んでる合間に読んだので、
「え?え?えええ!!?」みたいな感じ。
島本さんってこんなひとなんだ!!(良い意味で)と。

心理テスト(おもしろかったので後述します)では赤っ恥をかき、小学三年生からダメンズ関連でトホホな人生を突っ走りつつ、懲りるどころかダメ男の許容範囲はどうやら広がる一方。

この回、哀しいくらいに実話のみで構成されている。

そんなぼやきがぼそっとはさまれたりもする武勇伝(?)には、メリケン男に危険を感じて緊急避難というデンジャラスから、オタク&ひきこもり男子の生態に幻滅する同棲生活というグダグダまで。
あげく、最近では周囲に、「島本さんはいつか出家するのでは・・・」とささやかれている、などなど。

既読作品の落ち着いて洗練された文体からは想像もつかない「トホホ・・・」(ですむ話なのか、一部疑問)ライフ満載。
たしかにイメージはぶっ壊れましたが、けどこれでますます島本さんのファンになった!(もしかして親近感?うちの幼なじみ兼相方は、セブンスター数箱が毎日の主食、耳から口から、きらぎらピアス。でもかかせない、良いやつなのです)

あんまし書いてネタばれ記事になっちゃ最悪なので、本文はこの辺で。
にしても島本さん。。あんたにゃ言われたくねーよ!って感じでしょうが、目を養いましょうぜ。。。

ところで前述の心理テスト。
四文字熟語を2つ(ほんとは3つらしいですが)思い浮かべる → それぞれがそのひとの×××、×××なのだそうで。
思い浮かべたらこちらでチェックしてみても吉。(わりと中ります。。)

気になる島本さんの答えは「温故知新」「疲労困憊」。
ちなみにうちは、「孤立無援」と「雲散霧消」でした。。

島本理生 『CHICAライフ』 講談社
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島本理生 『ナラタージュ』

ナラタージュ (角川文庫 し 36-1)ナラタージュ (角川文庫 し 36-1)
(2008/02)
島本 理生

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今でも呼吸するように思い出す。季節が変わるたび、一緒に歩いた風景や空気を、すれ違う男性に似た面影を探している。それは未練とは少し違う、むしろ穏やかに彼を遠ざけているための作業だ。記憶の中に留め、それを過去だと意識することで現実から切り離している。

転勤を期に両親がドイツへ発った2週間後。引っ越した部屋で泉がテレビを見ていると、携帯電話が鳴った。
「ひさしぶり。元気にしていましたか」
聞こえてきた声は間違いなく彼のもので、私はすぐに返事をすることができない。
「こちらこそおひさしぶりです、葉山先生」

もしかしたらそう口にした瞬間、あの日のことを知らず思い出していたのかもしれない。

高校の演劇部の顧問だった葉山先生と、学生の泉。
卒業式のあの日、たしかにふたりの関係は終わったはずだった。

演劇部の後輩の指導のために母校を訪れた泉は、葉山先生への思いを再確認する。
そしてそれは泉だけでなく、同時に葉山先生の思いでもあると気づくのだけれど・・・・・・。

「一生に一度の恋」
恋愛小説はときどきしか読まないけれど、ここまで入り込んでしまった物語は初めてだった。
けして多くを口にしない泉の、だからこそ今にもあふれそうるか破裂してしまいそうなぎりぎりの感情が淡々と綴られていて、最後の最後まで息を呑むようにして読んだ。

あのときたしかに終わったはずの関係がまた燃え始め、けれどもう二度と交わらないであろうことをどこかでふたりとも知っている。
葉山先生は葉山先生の今があるし、泉には泉の今がある。

だっていうのに、お互いの感情がいちいちそれを邪魔していく。
ときに絡まりかけ、ときに周りを傷つけながら。

「これしかなかったのか、僕が君にあげられるものは。ほかになにもないのか」
必死で模索するように私の目を覗き込んだ。そんなところを探してもなにも見つからないのに、もうずいぶん長いこと、私の目は彼しか映していない。
「あなたはひどい人です」
私は叫んだ。
「これなら二度と立てないくらい壊されたほうがマシです。お願いだから私を壊して、帰れないところまで連れて行って見捨てて、あなたにはそうする義務がある」


終盤から引用。

同情する気はさらさらないけれど、泉の叫びは間違いじゃない。
葉山先生の一人よがりの苦しみや優しさは、たしかに泉を壊すことも包むこともないままいつまでも生殺しにする。
けれど同時に、泉にもそれは言えると思う。
壊れる義務といえば語弊があるけれど、葉山先生への叫びは、そのまま泉にだって当てはめられる。
だからこそ、あの結末は泉はもちろん、ふたりにとっても一番良いものだったと思う。

じつは私はこの物語は苦手、というか嫌いで、それなら何で読み返してしまったんだろうなんて考えながらふと、同属嫌悪かもしんない、なんて思った。
それこそ勝手な思い入れかもしれない。というか傍目から観れば「あんたが勝手に浸ってるだけだ」って切り捨てられてもおかしくないし、私はそれに反抗する気もない。
けれど葉山先生も泉も、どっかで限りなく私に似てる気がする。
私がこの物語に抱く感覚はほとんど憎むことにも似た「嫌い」なのだけれど。
それでもたぶんこのまま手元に置いておくんだろうな。

これってもしや、「好き」ってことなんでしょうか。
そんなことすらよくわからないまま長々と書き散らしてしまったけれど、この本はだれかにぜったい読んでほしいと思います。

島本理生 『ナラタージュ』 角川文庫
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島本理生 『リトル・バイ・リトル』

リトル・バイ・リトルリトル・バイ・リトル
(2003/01/28)
島本 理生

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「毎回怖いって思うたびに、そういえばいいじゃないですか」
「そうかな」
「そうですよ」


高校生だったふみの家族は、母、父親違いの妹、モルモット。
家の外には、習字の先生の柳さん、ボーイフレンドの周、2番目の父親。
自分の周りにいるひとたちとの時間、空間。
ゆっくりゆっくり、綴られていく毎日。

これといって見せ場なんてない、単調な物語。
けれど何度も繰り返して読んでしまう。

どれもこれもなんてことないんだ。だけど、なんだかいとおしいんだ。
そんな気になる。

こんなひとたちと、ずっといっしょにいたいんだって。
そう思わせつつ、いつかは別れがあることを、ちゃんと島本さんは教えてくれる。
なんだかだれか、ずっと前から知ってるひとに会った気分になる。

ところで冒頭の引用文。
こんな言葉、聞きたいって思ってしまうんです。なんかとんだ甘ったれですね、私。はは。

それにしても「リトル・バイ・リトル」。
ほんと、素敵なタイトルです。(ちなみに同じ名前の2人組歌手さんがいて、じつはそちらも好きです)

島本理生 『リトル・バイ・リトル』 講談社文庫

追記・・・
この本(文庫版)収録の、原田宗典さんの解説もよかったです。
プロフィール

小津りゆ

Author:小津りゆ
3年ぶりぐらいですが、ログイン。夢だった資格をとってそれなりの仕事始まったはいいものの、現実にどっしん追突し、車体ボロボロ、エンジンぷすんぷすん状態です(なにそれ)。仕事の本ばっかりで、めっきり小説を読む時間が減。もしかしたら引っ越しして続編するかもです。

※since 2008.2.17

※オリジナル物語サイト、始めました。『ことあら』(リンク欄からどうぞ)

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