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森下典子 『日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ』

日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ (新潮文庫)日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ (新潮文庫)
(2008/10/28)
森下 典子

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雨の日は、雨を聴く。雪の日は、雪を見る。
夏には、暑さを、冬には、身の切れるような寒さを味わう。
・・・・・・どんな日も、その日を存分味わう。
お茶とは、そういう「生き方」なのだ。
 
(「第十三章 雨の日は、雨を聴くこと」より)

おっとこれは意外!こんな本があったんだ!!
表紙と、めくってすぐの茶器や和菓子の写真に目を奪われて即決買い。
「お茶が教えてくれた15の幸せ」なんてタイトルに、「お茶ってすばらしいんですよ、
ぜひあなたも!!」みたいなオススメ本かと身構えてしまったけど、心配無用。
おしつけがましいことなんてどこにもない、飾らない文章でつづられる、お茶を通じた日々の気づき。

二十歳のころからひょんなきっかけで始めた茶道。
型にはまった、封建的な、女同士の見栄の張り合い、かたっくるしい悪しき伝統・・・。
だいたい私が茶道に対して思ってたのもこんなネガティブなイメージで、
それは茶道を始めたばかりの森下さんも同じこと。
始めから素人目線で入り込んでいるので、すんなりとお茶の世界に入り込むことができる。

で、入り込んでみればなにが変わったか。

それがほとんど何も変わらずに、これでもか!というような決まり事の数々に四苦八苦。
最初がこれで、次があれで、道具も、それに伴う決まりも無数、おまけに毎週稽古に来るたび道具も作法もがらりと違う。ほとんど無限にあるようにも感じてしまう決まりごとの組み合わせ。
何度やっても自分が何をやっているのかわからず、「これは何のためにある決まりなのですか」と問えば、「何でもいいの。意味なんかわからなくてもそうするの」と諭される。
おまけに手順を暗記しようとすれば、先生に「頭で覚えちゃダメ!」と叱られる始末。

うぎゃー!!とか叫んで飛び出すかもね、私なら。(←性根なし)
でも森下さんだって、逃げはしなくても、内心逃げたい思いでいっぱいだったり。

でも不思議なもので、稽古に通ったかつての森下さんも、
今この本を読んでお茶の世界の一端を見せてもらってる私も、止めようと思いながら、止められない。
なんでだろ?と自分でも不思議で、ふとそこに思い返したのは、まえがきのこんな言葉。

世の中には、「すぐわかるもの」と「すぐにはわからないもの」の二種類がある。

一度通ってわかるものでなく、何度も行ったりきたりするうちにじわじわとわかりだし、
まったくの「別もの」と気づく。そうわかるたびに、自分が見ていたものが、何なのかに気づく。
本物を見ること、季節を味わうこと、別れは必ずやってくること、自分の内側に耳をすますこと、等々。
文字の上で書かれたことではあるけれど文字の上だけなんかじゃなく、
森下さんの感じた感動、実感、五感。すべてが文字から、ことばから染み込んでくる。
これがすんごく、心地いい。

著者の森下さんは、今現在、お茶を始めて二十六年目。
それでもまだまだわからないことばかりだし、繰り返すなかで、さらに新しい発見にも気づく。
そんななかで、ふと見つけた、ふっと気づいた「15のしあわせ」。
ちなみにタイトルにもなっている、日日是好日(にちにちこれこうじつ)とは、
(毎日がいい日)というような、一応はそんな意味。
けれどその短い言葉に秘められた、壮大なメッセージ。
ある日ある瞬間にそれに気づいた森下さんの、とっさに言葉にもできないくらいの、感動。
慣れない作法に四苦八苦し、ベテランになってからもまわりにいる若くて才能あるひとたちの存在に圧倒され、無力感に襲われたり。
そんな日々の中、すべてお茶の世界で見つけたことでも、それはほとんどすべて、生きることへとつながっている。

お茶というひとつの生き方にふれて、さらに今を生きること。
森下さんの体験した貴重な二十六年間を、そのほんの一端(と、これは森下さんも言っていることだけど)でも垣間見せてくれる一冊。

気づくことは尽きることなく、そのぶん終わりのない学びではあるけれど、
だからこそ一生涯続く、一生の糧。
そんなものこと、見つけたひとってのは本当に格好いいなと思う。

何も自分に当てはめようなんて思わなくても、自然と寄り添うところは寄り添ってくれる。
不思議な不思議な、底なしの魅力をたくさん含んだ一冊。
読後は、ただもう満足。このひと言。
これってけっこう、オススメ本です。

森下典子 『日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ』 新潮文庫 
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プロフィール

小津りゆ

Author:小津りゆ
3年ぶりぐらいですが、ログイン。夢だった資格をとってそれなりの仕事始まったはいいものの、現実にどっしん追突し、車体ボロボロ、エンジンぷすんぷすん状態です(なにそれ)。仕事の本ばっかりで、めっきり小説を読む時間が減。もしかしたら引っ越しして続編するかもです。

※since 2008.2.17

※オリジナル物語サイト、始めました。『ことあら』(リンク欄からどうぞ)

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