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有吉玉青 『キャベツの新生活』

キャベツの新生活 (講談社文庫)キャベツの新生活 (講談社文庫)
(2005/10)
有吉 玉青

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「つまりね、運命の人と言っても、その人と結ばれるとは限らないんだ」

帰ってみたら・・・・・・住んでいたアパートが、ない。
出張から帰った勝部拓也が目にしたのは、そんな冗談みたいな現実。
どうやら爆発事故で吹っ飛んだらしい(!)アパートの代わりに偶然見つけた倉庫街のアパートで、
0からの新生活をスタートする拓也。
幼馴染で恋人の夏帆とも別れ、始まった、何もない、ゼロからの生活。
ある日コンビニで買ってしまい忘れた爪きりを届けに、店員の「キウイ」という
不思議な女の子が訪ねてきてから、拓也の新生活は少しずつ動き出す。
キウイは拓也を「キャベツ」と呼び、キャベツは彼女を「キウイ」と呼ぶ。
恋人でもない、友人ではある、不思議なふたりの半共同生活が始まって・・・・・・。
“愛し方を忘れた恋人たちが織りなす、ちょっとせつない恋愛小説”

またお前はキャベツかよ!どんだけキャベツ好きなんだ!!(前々回の記事参照)とか、
そんな一人ツッコミは置いといて。

なぜだか最近理由もなく凹んだりイラつくことが多く、
そんな中で今年最後に読むのに選んだ、じつはこれも今回2度目の再読本。
恋人のような、でも恋人でない二人の、切なく、ときに苦しい生活の記憶。

もちろん読んでて切ない恋愛小説ではあるんだけど、読んでるとキャベツもキウイも、
すんごくいろんなことに直面して(人を愛すること、自分が消えてしまうことについて)。
それが遠くもない身近で見覚え聞き覚えのある感覚ばかりだから、
本気で体当たりしたり、あるいはされてるように、
いつのまにか本気になって物語の中に入り込んでしまう。
(おまけにこの物語の本当の切なさも救いも、終盤にしかわかりはしない)

たとえばだけれど、「自分は運命の人と出会うために生きている」と思ってて、
その「運命のひと」と臆面なく信じれるようなひとに会えたとして、
けれどそのひととは絶対に結ばれることはない(結ばれる気すら、向こうにはない)
という絶望に直面してしまうこと。

生きる場所が最初からなくて、それでも何とか生きてきて、けれどそれが無様で恥ずかしいから
痕跡消してきたけれど、それで自分がいなくなれば、もう何も残らないこと。

残ることの意味、生きることの意味、そんなもの、はじめからないのかもしれない。
けれどそれは、けして人が残らないということには、ならないということ。

「キウイのいたことは、残るよ」

かつての恋人との日を思い返しながら
直感だけで放たれたこの一言が、ずたぼろの「ザクロ」になったキウイのこころを、ふたりの最後にどれだけ護れたか。
共感じみて想像できるようで、それは大きすぎて想像もできないなと思った。
忘れていたこと、気づかなかったこと、知らなかったこと、見えなかったこと。
ある瞬間からひとつずつ見つけていくふたりの姿が、
けっこう淡々としてるんだけれどもう本当に素敵で、危うく泣きそうになった。

けれどそこで終わらない。
終盤に続く、この物語の本当のせつなさと、せめてもの(もしかするとそれでいて最高の)救い。
あらかじめそれを知っていた身なので今回はそこまでいかなかったけど、
初めて読んだときは泣きたくもないのに涙が止まらなくて、そのせいでだいぶ困ったのを思い出して。

気がついたら、こころは少しは軽くなっていた気がする。
おそらくはそんなの一時的の、ほんの小さな効能でも。

というわけで(どんなわけだかよくわからんけど)、たぶん今年最後に紹介したのは、
有吉玉青さん著、『キャベツの新生活』でした。

いよいよ明日で今年も終わりです。(あと8分で、その“明日”なんだけど)
読んでくださって、どうもありがとうございました!

有吉玉青 『キャベツの新生活』 講談社文庫
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プロフィール

小津りゆ

Author:小津りゆ
3年ぶりぐらいですが、ログイン。夢だった資格をとってそれなりの仕事始まったはいいものの、現実にどっしん追突し、車体ボロボロ、エンジンぷすんぷすん状態です(なにそれ)。仕事の本ばっかりで、めっきり小説を読む時間が減。もしかしたら引っ越しして続編するかもです。

※since 2008.2.17

※オリジナル物語サイト、始めました。『ことあら』(リンク欄からどうぞ)

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