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本上まなみ 『ほんじょの鉛筆日和。』

ほんじょの鉛筆日和。 (新潮文庫 (ほ-14-2))ほんじょの鉛筆日和。 (新潮文庫 (ほ-14-2))
(2006/06)
本上 まなみ

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朝目が覚めて、原稿用紙がぎっしり埋まっていたらどんなにいいかなあと思うけど、いつもまっ白のまんまです。やれやれ。
でも書いたものが「へもっ!」「おもしろっ!」って褒められるのはもう、ものすごく好きだから、また、机に向かうのだ。
 (スキスキ原稿用紙より)

鉛筆、ちゃぶ台、原稿用紙、骨抜き、トリガラ、サバ、寄生虫、巣鴨、てぬぐい、茶わん蒸し etc・・・。
女優、本上まなみさんが「へもい」もの(ちょっとダサい、イケてない、たよりない雰囲気をかもしだしている、でも愛らしくにくめない様子、という意味の言葉。例えば、「ジーンズ柄の紙袋」「舌をしまいわすれているネコ」等)をはじめ、身の回りのものごと、できごと、自分のこと、それぞれのことを、原稿用紙に鉛筆でこりこり書き溜めたエッセイ集。

さっそく脱線しますが。
仕事やバイトのせいもありますが、大勢のひとの声を一度に聞くとつかれるので、人の多いところには出かけないし、飲み会も基本パス(3人以上は無理。。全員参加のだけ行きます・・・)。食べ物系の番組でもないとあんまりテレビもみない(おためしかっ!と黄金伝説とバレーくらい。男子今日どうなるのやらイラン戦・・・)小津。だからテレビに映るひとも知らないひとが多いし、AKBのメンバーもほぼ知りません。。そんな小津が唯一好きな女性芸能人のひとりが、たまにバラエティとかで見かける本上まなみさん。(あとのひとりは鳥居みゆき。男性だと佐々木蔵之介くらい。素朴なのと、エキセントリック、両方好きです)

・・・で。その本上まなみさんを知るきっかけになったのがこの1冊。
大学のときになんとなしに買って、なんとなくまだ持ってて、たまにぱらぱらめくってます。

トリガラの相手したこと、ありますか?

という一言ではじまる「トリガラと戦う」。
トリガラの細かいぶぶんをゆるめの文章で、けれどしっかり描写して、おいしいスープにしていただいたり。

一匹200円で手に入れたサバをさばいていたら、赤い内臓に見慣れない模様を発見したり。

さあ、ここからあなたは、心して読まなければいけません。

と、ご丁寧な前置きがあるはずで、ここから続くはサバの内臓に棲みついた大量の寄生虫、アニサキス!
「<目黒寄生虫館>が大好きで、『おはよう寄生虫さん』という本も持っている」さすがの本上さんも、どしぇー!と大慌てで退散、居間に避難。されどその後「何もなかったかのように」テレビを見て、ミカンの皮をむいて食べ、20分後に台所へ。最後はこんがりサバを焼くと、いう不思議な根性が、おもいっきりツボにはまったり。

おかんに買ってもらった「へもい」ちゃぶ台や、使わなくなったけど捨てられない財布のこと、ぐだぐだの私服でスーパーに買い物に行ったらオシャレな有名人のひとに会って動揺したこと、等。
並べてみてもなんのへんてつもないこもごも。
それらをほんとうに大事にみているのが、伝わることの、ほっこりしたここちよさ。

その一方、「お味噌汁のシジミを全く食べない人」に出会うとさみしくなったり、「アスパラの穂先ばかり食べてる人」がいたら目に涙をためて抗議したり、「鍋物で、エノキや春菊をいつまでも煮ている人」、たいていお話に夢中なので、「君、現実を見たまえ」と忠告したくなったり、エビを尻尾の中まで食べないひとを、「そういう人とはあんまり仲良くなれそうにない」と書いてみたり。
ほんわかした視線は、こんなしっかりした心根あってこそ、という一面もかいまみれたり。
(たしかに食べ物に集中しないひとはあんまし好きになれないというのもわかる。けど、エビの尻尾??それはどーだろか、さんまの黒いとこを残すのはどーなんだろ、とか少し思ったり)

とはいえ、ときどき「?」を浮かべながらもさくさく読める。その理由はたぶん、

だけどこの『食材図鑑』は違うの。ニホンカボチャは≪薄味の煮汁でじっくり煮るとおいしい≫って、そりゃおいしいだろうね!っていちいち返事したくなるんだもん。 (魅惑の図鑑より)

とでもいうような、思わずこころのなかで「そうそう!」とか、「そーなの??」とか、甘くもなく辛くもなく、気軽くぼーっとこたえてしまう気落ちになることなのだと思います。

私は本を読むのが大好きです。本屋に行くのも楽しいけれど、もっと楽しいのは気に入ったものを買った後の帰り道。そわそわわくわく、幸せの重みに我慢できず、途中何度も袋から出して広げたくなる。車とか電車とか喫茶店とかで落ち着きたくなるんだよね。どうしても寄り道してしまうのであります。 

喫茶店にはひとりで入れませんが(←こわがり)、仕事のついで、いつもいかないようなところの本屋に行ったときは、帰りわざーと各駅停車に乗ってかえったりしてしまう(座席なかったら降りて快速待ってます。意味なし・・・)小津は、ここぞとばかりうなづいてみたり。そんなひとときが、小さくてもわりと愉しいのでした。

本上まなみ 『ほんじょの鉛筆日和。』 新潮文庫
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本上まなみ 『めがね日和』

めがね日和 (集英社文庫)めがね日和 (集英社文庫)
(2009/10/20)
本上 まなみ

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なんだかちまちました例ばかり出てきますが、私はちっこいものを発見するのが得意なのです。 (「くねくねつづく」より)

バイトの子たちと遊んで寄った、深夜の本屋で大発見。

思うことがいろいろあって、『君が降る日』、『星に落ちる』(再々読)、『二十歳の原点』(読みかけ)、『ヘブン』、『アンモナイトドリーム』といったものを多く読んでいたので、ちょっと頭が疲弊してたんかも。。(今見返したらすげーチョイスだな・・・)

いい感じにリラックスして読めましたー。こういう本が手元にあるんは大事ですねえ。そう実感。

女優、文筆家の本上まなみさん(この前、はなまるマーケットに出ててちょい驚いた)のエッセイ。
『虫干し』、『鉛筆日和』もじつは既読なので、エッセイ読むのは3度目。

子どものころの思い出、感覚、おかんのたくましさと強かさ、はぐれたもの、どうぶつたちのこと、たべもののこと、本のこと(良かった!久しぶりに、また山本文緒さんの本をたっぷり読みたくなった)。
お茶のことが書いてあったので、朝から急須にお茶を沸かしてほっこりとっくり飲みました。(「あんたが酒じゃなくて朝からお茶飲むなんて・・・」と、親は仰天。失礼な。・・・中ってるだけに。。)

メンチカツが好きさ。
かりっとしたきつね色の衣。噛めばジューシーな肉汁が口いっぱいに広がります。
ちょっとカレーみたいな香りがするのはどうしてかな。
 (「大好きメンチ」)

この街をゆっくり歩いていると、生活している人とすれ違います。通りに水を撒くおばさんや、びっしり並べた植木鉢の手入れをしているおじいさん。
ぴかぴかに磨き上げられたガラスの向こうで、昔ながらのアイロンを自由自在に操ってぴしっとした白シャツを仕上げているクリーニング屋のおじさん。その真剣なまなざしに、信頼、という文字が私の頭をよぎります。
 (同じく、「くねくねつづく」より)

自分のこと。周囲のこと。
そこにあるちっこいものを、ふにゃっとかるく、けれど丁寧につづる。職人さんではないけれど、おっとりしながら自分の目線を持つひとの文章が魅力。
きりっとしてないけど、いい感じのよさがしみる。まるくふわんとした焼き菓子に、中身は色とりどりのベリー、といった感じ(ベリー系好き。ベリータルトなんか、卒倒しそうなくらい好きです)。

ここまで書いてて、そういえばこれ読んでると思い出すことが多いなーと気づく。
子どものころにろくな思い出はないし、高校といえば本ばかりだったので、ほんとのところはそこになんの感慨もないけれど(と、すましてみるふりでもしてみるのかい?なんて。どうもいけないね)、そんなふとした不穏に流されないゆるぎなさもしっかりと根付いていて、なんだかすこし心強い。

「心がやわらかくなるエッセイ集!」(帯より)は、けれどしんの強い、そんな心のやわらかさをもつひとにしか書けないんかも。
読んでるとつくづくそう思うし、だからこんな本に出会えることはとてもとてもうれしいことだと思う。
次があれば、本上さんか天野月さんみたいなひとに生まれたいと思う昔からと今日この頃(なぜここで書く!)。

ゆるめの時間をお楽しみください (「まえがき」より)

今日はとっくりちゃっかりと、楽しませてもらいましたー(^^)。

本上まなみ 『めがね日和』 集英社文庫
プロフィール

小津りゆ

Author:小津りゆ
3年ぶりぐらいですが、ログイン。夢だった資格をとってそれなりの仕事始まったはいいものの、現実にどっしん追突し、車体ボロボロ、エンジンぷすんぷすん状態です(なにそれ)。仕事の本ばっかりで、めっきり小説を読む時間が減。もしかしたら引っ越しして続編するかもです。

※since 2008.2.17

※オリジナル物語サイト、始めました。『ことあら』(リンク欄からどうぞ)

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