投稿日:2008-05-24 Sat
![]() | 神戸在住 1 (1) (アフタヌーンKC) (1999/08) 木村 紺 商品詳細を見る |
それが 生きる ということ なのだろう
kyokyomさんからの紹介本。
「月見さんに読まれるのを待ってる本かも」と言って知らせてくれたのだけれど
これはほかでもなく、私のほうが待ってた本かもしれない。
タイトルだけではいまいち想像がつかなかったけれど、内容はごくシンプル。
文字通り「神戸在住」の女子大生、桂辰木(かつらたつき)。
彼女の暮らす町、神戸やそこで過ごす毎日が、丁寧なですます調で語られてる。
下手なガイドブックなんか買わずに、「神戸好きなんだけどもっと好きになりたい!」ってひとは、これ一冊持っていけば十分行きたいところに行けるような気がする。
好きなひとが飾らないで伝えてくれる言葉って、どこにでも出会わせてくれるような。
つよさとやさしさ。ひっくるめて、いとおしさ。そんなものが一項ごとにきちんとしみこんでて、だから読んでる私がこんなにやさしくたのしい気持ちになれる。
だけど神戸の街にあるのは、爪跡だってそう。
1995年の、阪神淡路大震災。
死者:6,437名 行方不明者:3名 負傷者:43,792名 (wikiより)という甚大な被害を出したこの出来事は、けれど関東出身の辰木と神戸生まれの友達とは、いくら仲が良くてもちがう経験。
神戸出身でもなく、それどころかこの物語の外にいるばかりの私なんてそういう意味では完全に部外者なのだけれど、震災の跡をふりむく辰木のまなざしはどっかで虚ろな感じがする。
仮設住宅を眺めるまなざしとか、しがみついた友達の指の跡とか、友人が語る震災の記憶とか。
自分の中にはない爪跡を、いったいどう眺めたらいいんだろ。
古いものと新しいもの 純和風と異国の薫り
さまざまな事柄が 渾然とした街
神戸は いい処だと思う
抜き取ったのは始まりの何気ない言葉だけど、神戸の街に住む辰木の気持ちがひと言につまってる。
だからこそ、もしかするとここでは共有できない記憶を、思ってしまうこともあるのかもしれない。
大人しくて控えめで、けれどどこかで鋭い女の子。
物語は10巻で完結してしまうそうだけれど、辰木たちの生活がもっとずっと続けばいいなと思う。
なんか読んでると、いろんな人が好きになれそうだから。
そーいうわけで、kyokyomさん。
私はこのまま10巻まで買い続けますので、責任とってパンク寸前のうちの本棚の増設資金を送ったりは、してくれませんか?(半ばマジ)
ちなみに毎度おなじみの記事の最初の引用は、さんざん迷ったけれどけっきょくあのひと言にした。
この物語を必殺のひと言で伝えたくて拾ってきたひと言。
この記事を読んでくれた方に届くことを、こころから祈ってます。
木村紺 『神戸在住(1)』(〜10 完結) 講談社 アフタヌーンKC
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