投稿日:2008-06-02 Mon
![]() | オノ・ナツメ短編集TESORO~テゾーロ (IKKI COMICS) (IKKI COMICS) (IKKI COMICS) (2008/05/30) オノ ナツメ 商品詳細を見る |
あたたかくなるよ
おいで
中で一緒に飲もう
(『FRATELLI DI SANDRO 〜サンドロのきょうだい〜』より)
『NOT SIMPLE』、『ディスパラ』以来、なんだか久々のオノ・ナツメさん作品。
好きすぎて困るくらい好きなマンガ家さんってのが何人かいて、オノ・ナツメさんはまちがいなくその中のひとり。(あとはとりのなん子さんとか、志村貴子さんとか)
今日たまたま本屋で見つけて、あまりの嬉しさに叫びだしそうになりながらも給料日前の私の財布に現金はなく、走って銀行に駆け込み、わざわざ貯金をおろして購入。
・・・・・・って、んなこたあどーでもいいか。
親子、恋人、仲間、夫婦。
オノ・ナツメが10年間で描きためた、『愛しい14編の“たからもの”』。
どれもこれもまさに極上の短編なのだけれど、今回はそのなかから特に好きな4編を紹介。
お弁当にまつわる3つの短編 2/3・・・
日替わり弁当、父さん弁当、愛妻弁当。
お弁当にまつわる3つの物語の2つ目は、父さんとケンジのふたり暮らしのお家にて。
なんでもケンジの好きな顔のお弁当をつくってくれるお父さん。
保育園のお花見散歩の日、ケンジがお父さんにお願いしたのは、いなくなってしまったママの顔のお弁当。
でもお花見散歩当日、保育園からお父さんに電話がかかってきて・・・・・・。
おそらくは永遠にいなくなってしまったママのことへの、ケンジの恋しい気持ち。
そんなケンジもママも大好きな、やさしいお父さんの何気ない言葉とか。
たった12ページの物語なのに、このやさしさはなんだろ。
電車の中なのにぼろぼろに泣けてきそうになって、ものすごく困った。
イーヴァの記憶・・・
両親の記憶がないイーヴァは、だからいつも両親の記憶を自作して語る。
彼女の親は40年前に死んだ女優だったり、見たこともない作家の父親だったりする。
ある日、広場で演説する野党の首相候補に向かってイーヴァは『お父さん』と叫んだ。
それは真実ではない。
そう知っている、イーヴァの周囲の人たちがとった行動は・・・・・・。
真実とか嘘とか、現実とか過去とか、そんなことはどうでもいい。
イーヴァはほしかったたったひとつの言葉を、やっと手に入れた。
だからもうこれ以上、何を求めようというんだろ。
だったらそれで十分。
前を向いて歩けるにも、それで十分なんだ、きっと。
senza titolo #2・・・
哲学書がすべての教授と、それを見つめる本屋さんの店員さん。
だけどある日、教授は哲学書のコーナーを素通りして・・・・・・。
すこやかというか粋というか、読んでてすごくすっきりする恋物語。
こーいう「うれしい」の感覚って、私はめちゃくちゃ好きだなー。
FRATELLI DI SANDAO 〜サンドロのきょうだい〜・・・
「モニカって素敵な女性よ ―――男ともめてるとき以外は」
美人で、けれど男運のわるいモニカが実家に帰るのは、決まって男とトラブルがあったときのこと。
けれどせっかく帰った家にいる兄弟はそんな彼女に何の気も払わずに、素通りしてゆく。
けっきょく、ひとりでシーツにくるまって泣くモニカのところへ現れたのは・・・・・・。
この空気。ちょっと『ディスパラ』を思い出した。
オノさんの描く人と人との関りとか距離感って、信じられないくらい絶妙で、あたたか。
14編中、そんなオノさんワールドがごくシンプルに、けれど一番ひろがっているお話。
どれもこれもとってもシンプルな物語。(5話目の、『イーヴァの記憶』は少しちがうけれど)
そんなシンプルなストーリーを、シンプルで軽快で、けれど見えないくらい奥深いような独特の線で描き出す、オノ・ナツメさんの世界観。
ひとつひとつ、ひとりひとり、一瞬一瞬が丁寧で心地よくて切なくて、なんだかもうどうしようもないくらい好きになってしまった。
ちなみに表題の『Tesoro(テゾーロ)』とは、イタリア語で
・宝,宝物
・大切な物(人)
などの意 (表紙背面より)
だそうです。
オノ・ナツメさんの贈る極上のTesoro(テゾーロ)、ブレイクタイムにちょっと受け取ってみませんか。
オノ・ナツメ 『TESORO~テゾーロ オノ・ナツメ初期短編集』 小学館 IKKI COMICS
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