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木村紺 『巨娘(1)』(~続刊)

巨娘 1 (1) (アフタヌーンKC)巨娘 1 (1) (アフタヌーンKC)
(2007/12/21)
木村 紺

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ジョーさんは巨娘です。
その上あろうことか 焼き鳥屋さんの店長さんです。


ジョーさんは巨娘(身長181cm)で、焼き鳥屋「鳥吉」4号店の店長。
働き者で怠け者には容赦なく、おそろしく怪力でケンカは今のところ無敵。
自らの欲望に忠実。
付き合った男はジョーさんが一方的に襲い掛かったぶんを含め20名ほど。

今日もジョーさんは、埒外ギャルのトオルさん(身長171cmの巨娘にして、凶悪無比。すべてのこころのボタンをかけちがえて生まれてきた、あちらの世界の住人。けれど頭脳明晰。「クカカカ」とか、「キキキ」と笑う)、
ダメ人間で怠け者のポン子ちゃん(だからジョーさんに毎度ぶっ飛ばされるし、研修中にジョーさんに手をあげたときには、前髪を鳥といっしょに唐上げにされた)、
サチさん(仕事の出来る普通人間。1週間でホールの総責任者に抜擢)、
以下何人かのバイトさんたちと、今日も焼き鳥をじゃんじゃん売りさばいている(叩きつけてる?)。

久々に読んだ、痛快ギャグマンガ(ちょいと下ネタあり)。
しかもこれ書いてるの、あの木村紺さん。
「神戸在住」のあの茫漠というかもの静かな、モノトーンの印象があまりに強く、
そういう点じゃ正直読んで大混乱したけれど(でも絵の描き方とかセリフの入れ方なんか、まぎれもなく木村紺さん流)、これはこれでめちゃくちゃおもしろかった!

何もかもに容赦ない、そしてあまりにあけっぴろげな行動パターン。
もういっそ、見てて胸がすくような快感。
金の無心にきた男は東京からさいたま県までぶっ飛ばすし、
職業的クレーマーの脅しにも、逆に脅しで追い返す。
働く気のない同僚はおろか、煮えきれない社長にも容赦なく噛み付くし、
いうことを聞かない怠け者バイト(ポン子)には、容赦ない鉄拳制裁。

これを痛快といわずして何と言う!的な勢いですすめたいマンガ。
神戸在住のイメージはぶっ壊れるかもしれないけれど、
きちんと最初から別々のマンガとして読めれば、
これだけの本だし、ものすごくおもしろく読めると思う。

セリフもコマ数も多いので、読み応えも充分。
個人的には、神戸在住に固執しないこのやり方、けっこう気に入ってるんだけど。

木村紺 『巨娘(1)』(~続刊) 講談社アフタヌーンKC 
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江國香織 『間宮兄弟』

間宮兄弟 (小学館文庫 え 4-1)間宮兄弟 (小学館文庫 え 4-1)
(2007/11/06)
江國 香織

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「だって間宮兄弟を見てごらんよ。いまだに一緒に遊んでるじゃん」

30歳過ぎて仲良く同居してる、フシギな兄弟、間宮兄弟。
ビール会社に勤める兄明信と、小学校職員の弟、徹信。
兄弟そろって「オタク系」と見られ、おのずと女性に縁がなく、
それならと兄弟ふたりで気楽に暮らす毎日に満足しきっていた。
けれど、徹信が同僚の女性教師と明信を知り合わせようとしたところから、
なぜだか兄弟のまわりは急ににぎやかになっていき・・・・・・。

映画にもなった有名本。
こんな兄弟いねーよ!とか思いつつ、
けれどいたら一度会ってみたいなと本気で思う。
ほんのりおだやかなフシギ本。

ただただ兄弟と周囲のひとたちとの交遊をつづったような
シンプルで単調なストーリー。
後半では明信の会社の先輩がもちかけてきたトラブルのせいで
兄弟の仲が一時不穏になるけれど、不穏と言えばそのくらいのことしかない。

そんななかでのキーポイントは、間宮兄弟の恋。
兄は行きつけのビデオ店のアルバイト店員・直美ちゃんに、
弟は離婚がこじれ、どうしようもなくなく孤独(と見えた)人妻に。

根は優しいけれどほんとに不器用な、世にもフシギな同居兄弟の恋の行方ははたして?
というのが、兄弟の平和な暮らし(でももちろん、いいことばかりじゃない)と、
じつはもうひとつの読みどころ。

親しくなれば「めちゃくちゃ人が良い」とわかるのに、
恋愛対象としては「そもそも範疇外、ありえない」男たち。

そんなふたりの、恋心と、毎日のひきこもごも。
散歩、仕事、誕生日、カレーパーティー、ぼったくり、映画、コーヒー牛乳・・・。

のぞいてみれば、「楽しかったような気がする」、
いろんな中身のつまったフシギな時間に出会わせてくれる。

愉快に快適に暮らすのは有意義なことです。たとえ世間から多少「へん」に思われても。
そういう人たちの話を書きたいと思って、『間宮兄弟』を書き始めました。
 
(あとがきより)

この空気は江國香織さんじゃないと出せないと思うし、
だからよけいにこの本は、江國さんの本の中でもダントツで好きな一冊だったりする。

まるで童話。情けなくておかしくて、また遊びに行きたくなる、
おとぎのような独身兄弟の物語。

好きとか嫌いでもなく、思い入れでもなく、最高!というわけでもなく。
ただただじんわり、なんとなくな愛着のある本。
・・・っていうのは、こういう物語のためにある言葉かも。

江國香織 「間宮兄弟」 小学館文庫
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井上荒野 『森のなかのママ』

森のなかのママ (集英社文庫 (い59-1))森のなかのママ (集英社文庫 (い59-1))
(2007/05)
井上 荒野

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偉大な画家の娘に生まれてしまったあたしの葛藤なんて、照次郎には金輪際わからないだろう。
パパの影響からできるかぎり逃れること。ママのような女にはならないこと。
それがあたしの人生の大命題ってことも。
 (「苦難の道」より)

有名な画家だった父。その死後五年。
大学生のいずみは、どこまでも奔放で、そのくせ飄々としてつかみどころがない不思議なママと、
森のなかの、美術館に改装した家に住んでいる。
そこを訪ねてくるのは少しのお客と、不思議なママにほれ込んだ4人の男たち。
実るあてなど欠片もないいずみの恋心を含んで、可笑しくもゆるゆると続くはずの日常は、
ある日突然テレビに現れた、パパの愛人によってちぐはぐに変化していく。
なにがなんでも否応なし。そんな人生と渡り合うため、ママがとった行動は―――。

不思議というか不穏というか、おだやかというか可笑しいというか。
とにかく妙な物語。なんだか終始とろんとした気分で読了。

物語のキーポイントとなるママは、60代にしてどうしてだかよくわからんけれど男にもてる。
離れに住む伏見さん、美術商の掛川さん、演出家のトリさん、カメラマンのジンちゃん。
その中で、いずみは渋い老人伏見さんに恋しているのだけれども、
肝心の伏見さんはもちろんママに夢中。いずみには見向きもしない。

おまけにママは、今は亡きパパの思い出の絵を次々と売り払い、
美術商の掛川さんとこっそり買い物に行っては、派手に散財して帰ってくる始末。
何度怒ってものらりくらりと逃げ切るママに、いずみの苦い思いは募るばかり。

物語はいずみの同級生で、これも飄々とした友人の照次郎たちをも従えて
おかしな可笑しな方向へと進んでゆく、のだけれど。

ママの、けしてだれにも明かさない部分がそのうち見え隠れしだし、
いずみのママに対するとげとげした気持ちは少しずつまるくなっていく。
(だからといって平穏無事、というわけではけしてなく。奔放というものは、
ほんとうに負おうとすると手に負えないものだと思う)

物語後半で、突然の愛人が登場したときのママの行動には正直度肝を抜かれたけれど
それもまた、「なにがあっても否応なしに続いていく人生と渡り合うため」なのだろう
(と推測するしかない。本人はどこまでも奔放で、つかみどころなどないのだし)。

けして無理をしない。けれど、何かを負って、
コントロール不能な人生と渡り合おうとする。
たとえ周囲から見て、意味不明でも、はたまた度肝を抜くような行動でも。

ふりまわされてたいずみの立場で、
そんなママを少しずつわかってきたような気になれたら、それでもう充分。
そこでもう充分、この物語は味わえてるはず。

これといって教訓めいたものはないけれど、
ひとつ、真似もできないのびやかな生き方を、見つけた気がする。

妙だけどさらりと後味が残る、超フシギ本。
ちぐはぐな感想文書きながら、おすすめ。

井上荒野 『森のなかのママ』 集英社文庫
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佐藤多佳子 『しゃべれども しゃべれども』

しゃべれどもしゃべれども (新潮文庫)しゃべれどもしゃべれども (新潮文庫)
(2000/05)
佐藤 多佳子

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一度目は見送ったが、二度目は客席まで出てつかまえて話をした。
話し方教室じゃなくて落語教室をやることになったが来るかと聞くと、ぱっと目を輝かせてうなずいた。
こうなりゃ、二人も三人も同じことだ。


頑固でめっぽう気が短く、ことに女の気持ちなんてものはとんとわからない噺家、今昔亭三つ葉。
元気のいい若手と言われていても、目下は前座よりちょいと上の二つ目の身分。
そんな三つ葉に、テニスコーチをしている従弟の綾丸良が相談にやってきた。
なんでも、自分の教えている教室で吃音が出てコーチにならないので、
噺家の三つ葉に、あがらないように話し方を教えてほしいという。
冗談じゃねえ!と放り出しても、いつのまにか無愛想な黒猫・十河、学校で一対多数のケンカの最中の村林、果ては毒舌かつ強面の悪役なのに、ひと目を気にする元プロ野球選手まで訪れてきて・・・・・・。

再読だけど、やっぱりめちゃくちゃおもしろくて2日で読了。
好きになれた本は何回読んでもいい!というのを再確認。

思いっきりのいい人情話。
「しゃべる」っていう、たいていの人がなんなくこなしてることなのに、
そんなことに苦労して人知れずもがいてる、思いっきり不器用な4人と、
気は短く人付き合いも上手くはないけど、若き人情家の噺家・三つ葉のドタバタ落語(落後?)ストーリー。
「美人らしい」けれど無愛想で、常に爪を立てた黒猫のように鋭い十河五月。
その整った容貌のために教室のマダムの取り合いに巻き込まれ、心労から吃音に悩まされるテニスコーチ、綾丸良。
かん高い関西弁、転校したばかりの学校で「相手の人数が多いだけ」の喧嘩の最中の、口は悪いけれど根性のすわった小学生、村林優。
かつて悪役のプロ野球選手だったにもかかわらず、引退後解説者として働き始めるもひと目が気になり本来の大毒舌を欠片も発揮できずにくすぶる強面おっさん、湯河原太一。

おまけに教える側のはずの若手落語家三つ葉まで、自分らしい噺ができないことに焦り、あげくスランプにまで陥ってしまう始末なんだから困ったもの。

そのうえ他人の世話なんてただでさえ不器用なのにやきはじめ、黒猫十河にはひっかかれるわ、湯河原には殴られるわでもうたまったもんじゃない。
懸命になってもなっても、不器用だらけで何度やってもから回る。
そんな中でも、人はすっと通ってしまうような道を、転んでくじけてくたばって、
すったもんだしながら、三つ葉、綾丸、十河、村林そして、湯河原、それぞれが少しずつ通り過ぎようとしていく。

約一年。
こんな奇妙な人との関り方をしたことはないし、こんな奇妙な同情や腹立ちや責任を感じたことはなかった。今日で、ひとまず幕が下りた。


いやまったくだわ。
ドタバタな一年があっというまに終わっても、これだけ不器用なやつらだから
なにもそうそう変わるもんじゃない。
けれど一年通して通ってきた道は、おかしな5人で通った先へと続く一本道。

人間くさいったらないけれど、そのぶん親身に骨身にしみる。
もちろんいくらしゃべれどもしゃべれども、これから道はまだまだ続いていくのだけれど。

この5人なら、まだまだうんといけるんだろうし、
ついでに「負けてらんねーなあ」なんて、柄にもなく思ってしまう。
とてもとても粋のいい、不恰好なおすすめ本。

佐藤多佳子 『しゃべれども しゃべれども』 新潮文庫
プロフィール

小津りゆ

Author:小津りゆ
3年ぶりぐらいですが、ログイン。夢だった資格をとってそれなりの仕事始まったはいいものの、現実にどっしん追突し、車体ボロボロ、エンジンぷすんぷすん状態です(なにそれ)。仕事の本ばっかりで、めっきり小説を読む時間が減。もしかしたら引っ越しして続編するかもです。

※since 2008.2.17

※オリジナル物語サイト、始めました。『ことあら』(リンク欄からどうぞ)

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