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本谷有希子 『生きてるだけで、愛。』

生きてるだけで、愛。 (新潮文庫)生きてるだけで、愛。 (新潮文庫)
(2009/02)
本谷 有希子

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「あんたが別れたかったら別れてもいいけど、あたしはさ、あたしとは別れられないんだよね一生。
 あきらめなきゃ駄目なんだよね? いいなあ津奈木。あたしと別れられて、いいなあ」

(一部略。「生きてるだけで、愛。」より)

女子高生の頃、なんとなく学校がかったるくて、体中の毛を剃り落とした。
そして一ヶ月前、「安っぽい恋のトライアングル」に巻き込まれ、相手のしし唐女を怒鳴りつけてバイトはクビ。 転がり込んでいる「味気のない」「つまんなすぎて今すぐ死ねる」男、津奈木の部屋で、無数の本に囲まれたままひきこもったまま。
「過眠症」で一日の大半、おそらくは残りの人生の大半を眠ってすごすだろうし、残りの起きてる時間はずっと鬱状態。
他人になんでもなくできることが、自分には何もできない無理難題の壁。
他人に自分の何をもわかってもらえたことは一度もない。
あたしは他人と同じ生き物なのだろうか?

ある日津奈木の元彼女が、振った津奈木とよりを戻そうと押しかけてきた。
スーツ姿の女は執拗にあたしに自立をせまり、津奈木の部屋からの退去を命じて
毎日しつこくまとわりつくのだけれど・・・・・・。

「誰かに分かってほしい、そんな願いが届きにくい時代の、新しい“愛”の姿」
表題作の他、前日譚「あの明け方の」を収録。

待望の本谷作品、文庫3冊目。
なんで待ってるのか自分でも謎なんだけど、とりあえず新潮社さんに感謝です。

内容は上に長めに書いたとおり。(当然、けっこう端折ってるけど)
ちょっとだけ読んで寝るつもりが、けっきょく朝方夜更けまで読みふけってしまった。

これって恋愛なのかー?パラサイトと寛容な(というか究極的に無味からくる寛容なんだけど)男の、沈静じゃないけどそこそこの馴れ合いと荒んだ中身の痛みの話か(書いてみたら自分でもよくわかんない考えだけど)と首をごきごき言わせながらかしげながら読んで、読み終えてしばらく他のこと考えられなかった。

だっていちいち覚えがあることばっかりだもの。

いつの頃からか、あたしは自分に変な期待をできるだけ持たないようになった。
今だってさっきまで飲んでいたビールで軽く酔っているから、淡い光を放つ月がああやってきれいに見えるだけで、そんなものはこちらの精神状態一つでどうとでも汚せてしまえる。
月がきれいなんてなんのひねりもないただのイメージだ。しょうもない思い込みだ。
反対車線で救急車がサイレンをうならせて走っていく。
 (一部略。同上)

ビールをカクテルパートナーのメロンダイキリか氷結に置き換えてれば、まるでついこの間の実体験の文章化完成版みたい。
共感って言葉をここで使うととたんに安っぽくなるから使わないけど、けっこうこの感じに覚えのあるひと、たくさんいるんじゃないだろーかなんて邪推。

本当は津奈木にあたしのことを何から何まで全部全部全部全部理解してもらえたら最高に幸せだったのにと思うけど、あたしが自分のことを何も分からないんだから、それは無理な話だ。
あたしたちが一生ずっとつながっていることなんてできっこない。せいぜい五千分の一秒。


覚えがあることがそこかしこに散らばってて、最後「せいぜい五千分の一秒」という一瞬に砂粒みたいな希望と願いといっしょに集積してくのを見届けたときのあの感じ。(と書いてあっても未読の方には謎でしょうとわかってて、あえて書かずにいられなかったんだけど)しずかに天変地異?抜けたネジがとんでもないところにぐさりと収まった感じ?聞かれても困るだろうけど。

ねえ人が生息してる理由って何なのさ?
あっしのよな(以下略)人間がいる意味なんざ後付の空想話の絵空事だとかはたまたその逆とかいうのはそれはそれでどっちもあらかた承知するから、なんでこんなにこの話がじーんとくるのか教えてくれよーって私が聞きたい。

・・・・・・なんか丁寧に書くと直後に感じたことからどんどんずれそうな予感がしたんで、
おりゃあ!とばかしに一気に書いたらこんなプチカオスな有様になっちまったという。。
別に不真面目に書いたわけでなく、でもこの本はこんな書き方で感想書いたほうがいいかなと。
収容つかないか。。てか、つかないな。。

受け入れるとか前向きになんて要素は、読み取ろうとすれば読み取れなくもないけど、
やっぱり私にはそれは見えない。
けどそれがたとえば残酷だとか暗いなんて言葉だけで片付けられてしまわれるようなら、
私はそんな感覚のお相手は御免です、ということになる。

罪を犯したことがないものだけが石を投げろって、そんなのがあったっけ。聖書だっけ?
ハッピーエンドは素敵だけど(←口だけでなく、本心で)、それに固執するとワンダーランドの幻想ばかり見ることになる。そんな気がして、こんなときはいつもよりずっと慎重になる。
私にとって、この本はひとつ境界線。
自分にとっても、自分以外の相手にとっても。

なんか読んでちょっと何か吹っ切れた・・・・・・かも。

本谷有希子 『生きてるだけで、愛。』 新潮文庫
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押切蓮介 『ミスミソウ(1)』(~続巻)

ミスミソウ 1 (1) (ぶんか社コミックス ホラーMシリーズ)ミスミソウ 1 (1) (ぶんか社コミックス ホラーMシリーズ)
(2008/03/17)
押切 蓮介

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雪の降るこの町で、私の家族は焼き殺された。

とある田舎の学校に渦巻く狂気と、無残に犠牲になる小さな幸せ。
そして始まる、すべてを壊された者の、凄惨な復讐。

久々の更新2冊目にこの本を持ってきていいものか迷ったけれど、
あまりに印象が強すぎて、書かずにはいられず。

悪質な集団いじめから残忍な放火殺人へ。そうして残された女の子が加害少年たちに復讐する、
地獄の連鎖のような、スプラッタ系ホラー。

ありえないだろうけど、でもこんなカタチで表出しないだけでそんな狂気がそこらに転がってるなんてことは、考えてみればありえるかもしれない。
最近あったたくさんの事件を見聞きしてると。
(そしてその数以上に、憎悪の連鎖が生まれる可能性もあることも)

個人的だけど、併せて読むべきと思ったのは『スナーク狩り』。
スプラッタ系ホラーであろうと復讐系の少年漫画であろうと、
復讐の行く先に幸せなど微塵にもないことは同じ。

『スナーク』に憑かれた者と、打ち勝った者。
この2冊を同時に読んでたから、何も考えれなくなるくらい。

三角草(みすみそう)は、「厳しい冬を耐え抜いた後 雪を割るようにして小さな花が咲く」。
そう主人公にそう教えてくれたクラスメートも、どうやら歪んだ狂気を秘めている様子。

事の起こりとなった放火事件の行く末、近しい人の裏切りの予感。
そして主人公、春花の、幸せなどけしてあり得ない未来。

私にだって、大切なものがある。
壊したやつは赦さないけど、その感情の先にどんな選択をするのか。

狂気の前に、無残に焼かれたタカラモノ。残された者。
ひとつの選択と、おそらくはひとつの無慈悲な終わりのカタチ。
これを「美しい」なんて書いてる馬鹿がいたけど、私はそれだけは認めない。
でも地獄に踏み出す危うさなら、きっとだれもが持っている。

押切蓮介 『ミスミソウ(1)』(~続巻) ぶんか社ホラーMシリーズ
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川上弘美 『なんとなくな日々』

なんとなくな日々 (新潮文庫)なんとなくな日々 (新潮文庫)
(2009/02)
川上 弘美

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考えてみればわたしの人生、いつもこのような「なんとなく」の連続であった。
(なんとなくな日々 1 より)

久々に読了本。
なんか最近不安定かつ無気力で・・・とこれ以上書くとメンタルブログになっちまうので省略。
でもそんなとき、それこそなんとなく毒抜きになったのは、この本。

台所の冷蔵庫の泣き声を聞いたり、あまのじゃくな日々を過ごしたり。
上の息子さんと「ぺたぺた」散歩したり、本屋に寄ったり小さな子供の言葉に「教えられてしまった」り。
なんとなくな、曖昧な世界を描く川上さん作品の、
ぼわぼわした感じそのまんまの、「なんとなくな日々」。

不思議なもので、何もたいしたことは書いてない。
ほんとに些細なことばかりが綴られていて、なんていうか、せん無い出来事ばかり。
けれどもそんな一項一項が、めくればなんとなく可笑しくなって、
「あはは」ではないけど、「くふふ」とこころの中でこっそり含み笑いしてしまう。

とどめに、「あ、これはわかる!」って箇所にあうと、やっぱりなんか嬉しいじゃないですか。

なんだろ、たとえば・・・

いちにち家の中にいて夜が来ると、自然に気持ちが台所に向かうことがある。
何かをつくったり洗ったりするというわけでもなく、台所にただ佇んでじっとしていたいような心もちになるのである。冷蔵庫がぶうんと唸る音を聞いたり、電子レンジの時計の表示がぷつんぷつんと移り変わっていくのを眺めたり、湯沸しのかすかな炎の音を聞いたり、棚の上にいつも置いてある大きな鍋を見つめたり、ただそんなことをしたくなるのである。
 (『台所の闇』より)

ポットのお湯、湯沸しの音がことこと、ぶーんと鳴ってる音が、寝てると台所から聞こえてくる。

というの状況というか場面が私は何気に好きなんで、それでなんとなく川上さんの文章に近しいものを感じてしまって、なんかひとりで勝手に親近感覚えたり、ちょっと得心してみたり。

この感覚っていうのが、私がその人を好ましくなる(別に恋愛沙汰でなく)第一基準。
何気ない場面をちゃんと頭のかたすみでもってて、そういう小さな何気ない大事を、
それとなく、けれどしっかりと知っているひと。
好き嫌い抜きにして、こういう感覚というか感性って、本当に素敵なものだと思う。
河童なんかが出てくるのは(しかもごくふつーに、なんでもないことのごとく扱われてるのは)、
なんかいろいろツッコミたくなるけど(笑)。

あとは一方での話。
こちらはもうなんか慧眼というか、日常なんだけどその中で、どきっとしたり思わず唸らされてしるするような文章が時折顔をのぞかせて。
そのたんび、ぼわぼわした川上さんの、すくっと芯のとおった気配を感じて、こっちまでしゃきっとかまえてしまったりもする。(たとえば、「蝋燭の光」など)
そんなことを感じるのも、またおもしろいんだけど。

「なんとなく」暮らす(別に怠惰とか、そんな意味ではなく)ことにしんどくなったら、
おかしな方向に回転する頭の気休めに、すんごく有効な本。

読んでて感じたプラスでもマイナスでもない感覚が、やさしい気がして好きでした。

川上弘美 『なんとなくな日々』 新潮文庫
プロフィール

小津りゆ

Author:小津りゆ
3年ぶりぐらいですが、ログイン。夢だった資格をとってそれなりの仕事始まったはいいものの、現実にどっしん追突し、車体ボロボロ、エンジンぷすんぷすん状態です(なにそれ)。仕事の本ばっかりで、めっきり小説を読む時間が減。もしかしたら引っ越しして続編するかもです。

※since 2008.2.17

※オリジナル物語サイト、始めました。『ことあら』(リンク欄からどうぞ)

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