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イシデ電 『月光橋はつこい銀座』

月光橋はつこい銀座 (バーズコミックス)月光橋はつこい銀座 (バーズコミックス)
(2009/02/24)
イシデ 電

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思いもよらない自分に変わるきっかけはきっと
そこらじゅうに散らばってるんだから


なーんか最近私事と感想文がえらいごっちゃまぜになってて、あちゃー。。な気分でしたので、そろそろ本来に戻ります。。目指せ純読書感想ブログキャンペーン実施中。

某所にある、昭和ムード満載の商店街。その名も「月光橋商店街」。
その一角、「竹屋乾物店」の、中学生と小学生のケンカばかりの仲良し姉弟。
想像力(妄想力)豊か、それでいて、ばーちゃん曰く「不憫なくらい堅実な子」、ノリ。
わんぱくボウズで少しおバカで単純、だけれど熱い心意気の弟・タケ。

年上の大学生への恋心や思い描く夢と、現実の自分の雲泥の差ってダブルパンチに喘いだり、こまっしゃくれた美少年転校生が現れて、おまけに父ちゃんを馬鹿にするから大喧嘩してしまったり。

いつまで続くかわからない「昭和の風景」の中にある我が家の将来が心配になったり、父ちゃんといっしょに作るって約束した海賊船が、いきなりの出稼ぎ宣言でご破算になっちゃったり。

いつでも何でも大忙しっ!なふたりと、なんだか凸凹な仲間たちと大人たちの、下町人情物語。

個人的にゃ思春期真っ只中かつ妄想炸裂!ののりもだけど、タケの単純明快な真っ直ぐさがいいなぁと。「かーちゃんランドセルなくした!!」なんてな感じだけども、なかなかうちには持てないものだし。(でも少しは変われそうな感じです)

いろんなものたくさん好きになりな のり 
そのせいでつらい思いもこわい思いもするし
面倒はあとからあとから出てくるけど

なんにしろ「これだ」ってまっすぐに思える「好き」を
ひとつでも見つけられたら

ふしぎといつのまにか
片づけちゃってんのさ


こちらはそんなのりとタケの粋なばーちゃんがのりに言う、最高の台詞。
でも見えないときは見えないし、思えないときは思えない。
だからこの言葉が噛み締められる今、忘れることのないように叩き込んでおこうと思った言葉。

何も子どもに限ったことでなく、いろんなものたくさん好きになって(それに伴うものも受け止めて)成長してくんかも。
それは単純明快で臆することない、大人よりも子どもに近い、けれどそうは持てない強さなのかも。

このふたり、どんな大人になるんだろーか。イシデさま、続編希望デス。

イシデ電 『月光橋はつこい銀座』 幻冬舎バーズコミックス
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島本理生 『大きな熊が来る前に、おやすみ』

大きな熊が来る前に、おやすみ。大きな熊が来る前に、おやすみ。
(2007/03)
島本 理生

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気まぐれだとしても、単に振り回されているだけだとしても、他人から必要とされたり求められることに、どうして私の心はこんなにも弱いのだろう。 (「クロコダイルの午睡」より)

唐突だけれど、もし自分に自分で認められる何かの能力があるとすれば、どうにも必要なときに必要だったと思えるような物語を探し出せることなのではないかとか、そんな浸りきった(と言われても否定できない)気持ちで本を閉じた。『一千一秒の日々』も大好きだけれど、つまり今の自分にとって、これはそれほどの本。
3編収録。

大きな熊が来る前に、おやすみ。・・・
「早く寝ないと、大きな熊が食べに来るんだっけ?」

徹平と暮らし始めて、もうすぐ半年になる。そうして暮らすうちに、結婚の話なんかも顔を覗かせたりもする。けれどそこにあるのは、希望よりもむしろ絶望に近い、「大きな熊」のような、おそらくはどうしようもない歪。予期せぬ新しい命の誕生にうろたえ、ひとりで部屋を飛び出した私が悟った「願い」の正体は・・・・・・。

荒れ果てたラストではけしてない。けれどまるで呪いのようだと思いながら、そして最後まで希望の見えない関係だった。。 そんな中で「私」の願いは、いつか叶うのではないかと、そんなことすら思ったし、じつはそれしか思えなかった・・・。
「哀しい」といってしまうことは簡単だと思いながらも、ずっと哀しいとしか思えなかった・・・・・・。

クロコダイルの午睡・・・
「俺、次はここのワニに生まれて死にたいと思ったんだよ。なんの役にも立たず、なにも傷つけず、必要最小限の欲望だけで生きてる。そういうのって素敵だろ」

友人同士の集まりで近づいた都築君は彼女がいるのに(というかいるから)、他意もなく次第に私の生活に浸透していく。光ることも飾ることも似合わない爪を見ながらごまかしの効かない想いを募らせる私は、都築君のほんの一言で、ある行動に出るのだが・・・・・・。

とにかく最初は都築君が単に嫌なやつにしか見えず、こちらの感情はほとんど「私」側。それは都築君の覚悟を知った後でもあまり変わらない。都築君の覚悟には少なからず気持ちを揺さぶられたのに、あんな行動を実行してしまった、「私」であるのに。

猫と君のとなり・・・
「私は、本当は、今でも少し怖いんだよ」

中学の仲間の集まる中で再会した、後輩男子の荻原君。かつてバスケ部にいながらビジネスマンじみた喋りに実力のなさも伴って、「パスをもらうと動きの止まる荻原君」としか覚えていなかった彼が、どうしてだかまるで目立ちもしなかったあのころの「私」を好きになっていたという。「好き」という言葉をけして口にしないようにくみ上げていく生活には、かつていた、自分の飼い猫を虐待する男の存在がちらついている・・・・・・。

なんだか最後に来て救われたというか、掬われた感のある物語。

それなら、もう忘れ始めてもいいのだろうか。
すごく悲しかったことを。
そして口に出してもいいのだろうか。
言いたかったことを。


いいのだろうなと、そう思わせて、気づかせてくれる。私にとって必殺の物語。
「私」がずっと言えなかった最後の一言を、私も言うことにしよう。

「何があってもいっしょにいたい」と言ってくれた相方に。
こんなやつを、それでもたしかに好きで居てくれる、たったひとりの相方に。

弱い部分があるのはわるいことではない。
けれど弱さに逃げ込むのは、言い訳のできない最低の所業だから。
せめてたった一言を言えるくらいの勇気は、持てなくちゃならないと思ったのです。

追記。
ここ数週間、どうしても自分で書いてみたいと思う物語の気配がずっとしてて、ここ数日間の重要な出来事を経て(もちろん、この本に会えたことも含め)、いくらかは自分なりの形にすることができるような気がしてきました。
たどたどしいうえに、書くスピードはもうべらぼうに遅いのですが、心の片隅で見守っていただけたなら、もう十分にうれしいです。

島本理生 『大きな熊が来る前に、おやすみ』 新潮社
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川上弘美 谷口ジロー 『センセイの鞄(1)』(~続刊)

センセイの鞄 1 (アクションコミックス)センセイの鞄 1 (アクションコミックス)
(2009/09/30)
川上 弘美

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そうだ似ているのだ
肴の好みだけではなく 人との間のとりかたも


何度も読み返した小説、『センセイの鞄』のコミック版。
センセイとツキコさんのあの空気、どこまで描かれてるのかと心配したけれど(原作ファンのひとはみんなそうかも)、これがまた最高によろしかったです(センセイ風に)。

居酒屋にて。
30歳以上歳の離れたセンセイと再会したツキコさんは、以来センセイと酒を飲んだり市へ出たりきのこ狩りに出かけたりする。
飄々としたセンセイとセンチメンタルなツキコさんの毎日。茫漠としてゆうに摑めない、不思議な恋物語。

「今の若いひとは語彙が少なくて困ります」という、こちらにしてみれば語彙が多すぎて困る(きのこ汁をすすって、「えもいわれぬ馥郁たる香」なんて言われても・・・・・・ね?)センセイと、ときにそんな会話を「古いですね」と切り返すツキコさんのやり取りが、なんか肴ちっくで(何語だ?)、なんかほんとに乙なものなのです。

それともうひとつ。

生きて心細い思いをしているのは自分だけではないことを確かめたくなった
けれど そんなことは確かめようがないのだ


センセイに「ツキコさんはね、ちょっとばかりおセンチなんですよ」とからかわれるツキコさんの、不安定まではないけれど、ひとりで不穏になる日常の中。
ひとりで林檎を剥いて泣きながら食べて、夜にひとり外に出て無灯火の自転車男に怒鳴られて、歌いだした歌詞の続きが思い出せなくて、立ち止まった自分をひとがみんなよけていって・・・・・・。

そんなときにひょいと現れて、「ツキコさん 最後はですね」とくる。フィクションだし他人事だけど、単純に、安心する。

お互いを必要としているのでなく、そこにいることを認め合っているだけ。けれど淡白なだけでなくて、「多生の縁」(多少、でなく)なんてわざわざ言うくらい、心の奥底は通じ合っている関係。

遠いなあと思う。なくなってしまうのではないかっていつも不安でときに見境をなくし、それどころかシアワセになる自分すらも許せない、この自分にはまだ。

「時々感情持って生まれてきたこと
憂鬱にさえ思ってしまう」 (GARNET CROW『夢みたあとで』) 

恋情って何なのだろう。
何もかもを許せないのなら、こんなにシアワセな場所にいて、ほんとうにいいのかどうか。。

むろん その声はどこにも届かない

と、これはツキコさん。

けれどこれまでずっと隠匿してきた、自分でももてあます超絶に面倒な本性は、夜中にメールで送って今はもう相方のもとへ。
それが正しかったのかどうか、ぜんぜんわからないでいる。。
わからなくていいのかもしれないけれど、ずっとわからないでいる。。。

そんなときに読み返してるこの本。
たゆたう不穏も恋情も、遠いけれど近いようで、けれどけしてそうでなく。

そうして、今はきっと手放せない。
ツキコさんみたく、なんかまた泣けてきた。。
会うのが、こわい。。
けして逃げはしないけど、こわい。。

川上弘美 谷口シロー 『センセイの鞄(1)』(~続刊)
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こうの史代 『長い道』

長い道 (双葉文庫 こ 18-4 名作シリーズ)長い道 (双葉文庫 こ 18-4 名作シリーズ)
(2009/06/16)
こうの 史代

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わたしもシアワセになってもいいのですよね?

アクションコミックの、コミック文庫版。

酔うと何でも人にあげる癖がある父に、同じく酔うと何でも盗ってくる癖があるおとん。
そんなふたりが意気投合し、カイショなし女好き無職のどら息子荘介のもとへやってきた、天然っぽい「ヨメ」の道。
甘い言葉も、それどころか愛情もないかもしれない、おかしな夫婦の物語。

前半は無職のうえ女の影が絶えず(しかもあからさまに)ちらつく荘介に、けれどどこまでなのかノー天気で、あははうふふの体で気づかぬふうの道の、平穏なんだけどかなり歪な物語が続く。
「一℃たりとも勃つかあ!」と言いながら自分の「姉上」の名前ばかり寝言でつぶやくようなやつ、どんだけだよ・・・・・・と心中ぐやぐやしながら読んでたけれど。

だからうちに来たんだろ?え?

・・・・・・ そうよ


たまに見せる道の貌。
いくらお調子者で小馬鹿な荘介でもこわいと思わせる、ふとした瞬間。
車が通ってこなければ、あのまま心臓射抜かれたようにすくんで、たぶん動けなかっただろうね荘介。

このときに、あ、これは道が荘介を赦す赦さないの物語なんだなと直感思った。
けれどじつは・・・・・・というのがわかって、あ、と思ったのが冒頭の道の一言。
この物語の中身は、この一言にこもってると思っていいかも。

にしてもどうなるどうなる、たまに離婚届も出てくるけど(それにしたっていつのまにかうやむやしてる)、ほんとにどうなるんだこのふたり?

最後の最後で荘介がつぶやく意地悪に答えがあるようだけど、それはここでは書きません。

人を選ぶようでいて、人を選ばない物語なんじゃないかなとふと思う。
そして荘介と道のような歪も繋がりも重なりも併せ飲むことが、
「夫婦」として成立することなのかもしれないと、そんなことも思うのです。

こうの史代 『長い道』 双葉文庫 名作シリーズ
プロフィール

小津りゆ

Author:小津りゆ
3年ぶりぐらいですが、ログイン。夢だった資格をとってそれなりの仕事始まったはいいものの、現実にどっしん追突し、車体ボロボロ、エンジンぷすんぷすん状態です(なにそれ)。仕事の本ばっかりで、めっきり小説を読む時間が減。もしかしたら引っ越しして続編するかもです。

※since 2008.2.17

※オリジナル物語サイト、始めました。『ことあら』(リンク欄からどうぞ)

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