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青木幸子 『茶柱倶楽部(1)』(~続刊)

茶柱倶楽部 1 (芳文社コミックス)茶柱倶楽部 1 (芳文社コミックス)
(2010/10/22)
青木 幸子

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おまえそんなに茶が好きか

うん 

大好き!


老舗茶屋の娘、鈴は、茶商出身の父親もあきれるほどの「茶バカ」。
その鈴がある日、人助けがきっかけで一度だけ会えたお茶。
鈴にもわからないそのお茶を持っていた人にもう一度会いたい。
そうして鈴は、持ち前の強運で手に入れた移動茶店「茶柱倶楽部」に乗り込んで「見つかるといいな」のゆるい人探しを開始。
行く先々では、お茶を介した様々な人との出会いが待っていた―――。

最近やたらと紅茶やお茶を飲むようになりましたが、半分はこの本の影響かもしれません。
どんなもんだろうと思いながらの購入でしたが、いー感じに和みました。

思い切りのいい母と対照的に、娘想いが故の心配性の父にも認められて出た人探しの移動茶屋。
「本物の「お茶」の味」を、「たいして興味のない人にこそ飲んでほしい」という想いを胸に、母譲りの思い切りの良さと強運とお茶をひっさげての一人旅。
茶柱倶楽部と名づけられたその茶屋に立ち寄るお客さんたちの中には、過去の過ちやわだかまりの中にいたり、不運の連続の中にいて自分の中に入り込んでしまっていたり、替えのきかないものに触れられない葛藤を抱えていたりと、たとえばそんな時おり。
川根の浅蒸し煎茶、奥久慈の手もみ茶、加賀棒茶、宇治茶、その他いろいろ。
窮屈でもないけどなんとなく行き場のないような感情や想いを、鈴の選ぶお茶が解きほぐす。

「お茶」と一言で言っても
思い出す香りや味は二つとして同じものはありませんから


そのひとのこころにそっと寄り添う味、香り。想い。
いきなり私事ですが、今大苦戦しながらまるで半泣き状態みたくなって足を踏み入れてる、心理臨床の世界にも通じるものがあるのかもしれません。

(表紙だけではなんだか大和撫子みたいですが)思い切りの良い破天荒な性格なのに、うだーっと愚痴る高校生にも「ただ聞くしかできないかもしれないけど お説教なんてしませんよ」と、さらっと言って小さく手を振り、けしてそのひとの感じる時間や想いを邪魔しない鈴の人柄も、ぜんぶを含めて味わい深い物語でした。

茶を飲むのはただ喉を潤すためじゃない
その1拍の休みで心身を切り替えて自分のリズムを作る
そういう場を作り出すのが「茶」だ


こちらは鈴の父が、旅立つ前夜、鈴に伝えた言葉。
人探しとともに、そうしたお茶を、お茶に興味のない「なんでもいいからペットボトルより高い値段で飲もうとしない」(勘の鋭いお客の一言ですが、これ、言い得てて笑いました)ような人にこそ伝える旅。
鈴が淹れたお茶は、丁寧に、そのひとのために淹れてもらえた“魔法のお茶”。

そうして出会った人との関わりがまた、時に新しい旅への道しるべになったり。
行き当たりばったりのゆるり旅の道中を、これからももっと見ていたいと思える物語です。

青木幸子 『茶柱倶楽部(1)』 芳文社コミックス
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豊島ミホ 『陽の子雨の子』

陽の子雨の子 (幻冬舎文庫)陽の子雨の子 (幻冬舎文庫)
(2010/04)
豊島 ミホ

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「この人、あなたと同じくらいの年からウチに居るの」
起きてしまった事故についてたんたんと読み上げるアナウンサーのように、雪枝さんは言った。
「あたし、この人に飽きたの」「だから、この人のこと玩具にして、夕陽くんと遊ぼうかと思うんだけど、どう?」とも、すらすら言った。


雨の日や、そんなときに足元にうごめく灰色の点々が怖い。
そんな中学二年の夕陽が出会った24歳の雪枝。彼女の家には、4年前に彼女に拾われた十九歳の聡がいる。
雪枝に隷属する聡と対面し、その関係に疑問を抱くものの、なお雪枝に関わることを選んだ夕陽。
そして夕陽がいることで、今までの雪枝と聡の不可思議な関係が、少しずつ方向を変え始めるものの・・・。

摑まれたというかなんというか。
べつにザクザク読んだわけでなくスローペースで読みながらも、久々に本を一気読み。
こんなの豊島さんしか書かないよなーと思うと同時に、こんなの豊島さんしか書けないよなーという気がすごくすごくして、休筆が残念です。

中学生男子が知り合ったお姉さんはじつは19歳の元家出少年を住まわせている。

普通に考えればありえないような話で、ともすれば犯罪ものの雪枝の行為ですが、雪枝が飼っているのは聡だけでなく、雪枝自身のうすぼんやりしたつかみどころの無い絶望。
そんなことに気づかないようにしてでも関わることはできたし、実際15歳の聡はそうした。
そうして雪枝と聡の不可思議な関係は出来上がり、4年もの間その生活が続いたまま。
けれど4年後、雪枝に誘われ、関わりを選んだ夕陽には、それが見えてしまう。

「小さな子特有の淋しさ」。それは、「お遊戯室の端で壁にもたれて、みんながはしゃぎまわるのを黙って見ている子のような」、「かまって欲しいのに、かまってと言う相手も見つけられない。ただあきらめて立っているだけの・・・・・・」。

そして、その淋しさに隷属という形で甘んじている聡に夕陽が静かに放つ問い。
それに直面し、混乱するままに夕陽を攻める聡は、けれどある日雪枝の家から姿を消す・・・。
そして始まる、雪枝の語る雪枝の物語を(迷いながらでも)聴いた夕陽は・・・。そして聡は・・・。

自分を自分たらしめてくれるもの、それを求め続けること、利得があるようでいてしている依存に見ないふり、あまりにもちがう世界に踏み込むとまどい、関わっていいのかという迷い。

ある意味人の醜さが詰まってて、同時に人の折れなさがどこかにころんと転がったまま。

ひとつひとつ綺麗でないパーツがけれど重なり重なり、最後にはひとつの像を結びだす。
その像がどうみえるのか、それは読んでいるひとそれぞれなのでしょうね。(豊島さんのあとがきから察するに、そんなに評判は良くなかったようですが・・・)

大げさといえば大げさですが、少なくとも雪枝、聡、そして夕陽のこれからに続くこのひと時に立ち会えたという気がして、さわやかには程遠いですが、不恰好でもしっかりと力のこもった物語という感じです。

たとえ話ですが、沈んでるときにはお邪魔にならないけど劇薬にもなりえるような、豊島さんらしいというか、じつはむき出しの物語です。

豊島ミホ 『陽の子雨の子』 幻冬舎文庫
プロフィール

小津りゆ

Author:小津りゆ
3年ぶりぐらいですが、ログイン。夢だった資格をとってそれなりの仕事始まったはいいものの、現実にどっしん追突し、車体ボロボロ、エンジンぷすんぷすん状態です(なにそれ)。仕事の本ばっかりで、めっきり小説を読む時間が減。もしかしたら引っ越しして続編するかもです。

※since 2008.2.17

※オリジナル物語サイト、始めました。『ことあら』(リンク欄からどうぞ)

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