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高野秀行 『ワセダ三畳青春記』

ワセダ三畳青春記 (集英社文庫)ワセダ三畳青春記 (集英社文庫)
(2003/10)
高野 秀行

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私が野々村荘に入居したのは一九八九年の初夏であるが、「野々村荘物語」が始まったのはその約半年前のことだ。それには宇宙人が絡んでいる。 (「UFO基地探検と入居」より)

この突拍子のない出だし、おお、やっぱり高野さんだなー!って、なんかほっとする。

三畳一間で家賃、月一万二千円。

あきらめの良いワセダ大学生だった高野さんは、あきらめの悪い親(つまり、いいかげんさっさと卒業してほしいと願う親)から逃れるため、たまたま空きの出た古アパート、
野々村荘に入居することに。
けれどそこにいたのは、浮世離れした大家のおばちゃんと、奇人変人の住民の皆さん。

通称“辺境ライター”高野秀行さんの、一九八九年から二千年までの11年間。
野々村荘で過ごした、超ヘンテコで、クレバーに見えてじつはかなりお馬鹿な青春記。

笑わずして読めない本といえば、文句なしにこの本。
長い長い、11年間ものモラトリアム期間をフル活用してしたことといえば、怪獣探し、幻覚植物で意識不明、流しの三味線引き修行、占い師デビュー計画と、もうどこからつっ込んでいいのかわかんないくらい。

でももっとおもしろいのは、なんといっても野々村荘に住む、奇人変人の面々と、彼らの起こす奇想天外、摩訶不思議な珍騒動の数々。

大学時代にコンゴの奥地に棲むという怪獣ムベンベを探しに行った(「幻獣ムベンベを追え」集英社文庫)という高野さんからして
もう完全に奇人変人なんだけど、その高野さんが一番まともに見えてくるよーな気すらする。
個人的に一番おもしろかったのは、

十一年間同じスリッパを履き続け、生活費は当たり前として、流れる時間すらもどこまでもケチり共用の台所でくさい飯を煮る超どケチ男“守銭奴”。
「社会常識のないやつは嫌い」「神経質なやつは嫌い」といいながら、その言葉が全て自分に当てはまるのにまったく気づかない、司法試験連敗中の熱血おじさん、ゲンゾウさん。(←弁護士を目指しているのに人の話をまったく聞かないという強者。ある意味すげえ)

このふたり。
本編中には早稲田大学探検部の超個性派メンバーも何人も登場するのに、やっぱりこのふたりには到底かなわない。
あと、なぜだか大根を切るのが異常に上手い、大家さんのおばちゃんのロックシンガーの絶叫息子も。

大家は浮世離れしており、住人は常軌を逸した人ばかりで、また私の部屋に出入りする人間も奇人変人の類がマジョリティを形成していた (「はじめに」より)

あの高野さんが、なにせミャンマーでマフィアのアヘン栽培に参加して自分までアヘン中毒になるような変人高野さん(「アヘン王国潜入期」集英社文庫)が言うんだから、よっぽどのひとだと思えば、実際そのとおりで。

繰り返しになるけど、こんなに笑える本を他に知りません。

とはいえ、そんな野々村荘での暮らしだって、いつまでも変わらないままというわけにはいかない。
あまりに慣れ親しみすぎ、ノノコン(野々村コンプレックス)にまで成り果てた高野さんが、ついに野々村荘を後にする日が来る。

「青春記」の終わりは、「心に半ズボンはいた」高野秀行という一人の男の「成長記」の一区切りでもある。同時に、また人生の新たな章のはじまりでもある。 (吉田伸子 解説より)

大笑いした後で、歩き出す若かりし高野さんの姿が浮かんできて、なんだかじわっとしてしまう。
旅立ちの理由はけっこー月並みだけど、それでもなんだかやられてしまう。

男でも女でも、若くても老人でも、だれにでもオススメできる一冊。
何度再読しても、それはぜんぜん変わらない。

とにかく大好きな本。
オススメです。

高野秀行 『ワセダ三畳青春記』 集英社文庫
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プロフィール

小津りゆ

Author:小津りゆ
3年ぶりぐらいですが、ログイン。夢だった資格をとってそれなりの仕事始まったはいいものの、現実にどっしん追突し、車体ボロボロ、エンジンぷすんぷすん状態です(なにそれ)。仕事の本ばっかりで、めっきり小説を読む時間が減。もしかしたら引っ越しして続編するかもです。

※since 2008.2.17

※オリジナル物語サイト、始めました。『ことあら』(リンク欄からどうぞ)

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