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川上弘美 『センセイの鞄』

センセイの鞄 (文春文庫)センセイの鞄 (文春文庫)
(2004/09/03)
川上 弘美

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正式には松本春綱先生であるが、センセイ、とわたしは呼ぶ。
「先生」でも「せんせい」でもなく、カタカナで「センセイ」だ。


ツキコさんはある日居酒屋で高校の恩師である「センセイ」と再会し、以来おたがいに憎まれ口をたたき合いながらも酒を飲み、肴をつつく日々。
ときにはセンセイとふたりで汽車土瓶でお茶を飲んだり、市へ行ってお弁当を食べたり、ときにケンカしたり、キノコ狩や花見に参加したり、島に出かけたりもする。
そんなセンセイとツキコさんの、たがいに切ない思いを抱きながらも、ゆったりと流れる日々。

何度読み返したか、ふと思いついたときにたぶん5、6回くらい読み返してる本。
川上弘美さんの本の中で、一番好きな本。

じつはツキコさんというひとが、ものすごく好きです。たとえば、

恋愛というものがそんなじゃらじゃらしたものなら、あまりしたくないとも思っていた。

ウンメイノゴトキコイ。自分にやがてウンメイノゴトキコイがおとずれる可能性は、万にひとつもないだろうと、スピーチを聞きながら、雛壇に座る恋人と友人を眺めながら思った。


とか。よーするに、勝手に感情移入してるだけなんですが。
(「恋愛しない」と「できない」はちがうんだよって、しごくまっとうなお声が聞こえてきそうですが)

あと、センセイとツキコさんの「切ない思いをおたがいにかかえながら」の、距離。
とにかくもどかしい。飄々としてるセンセイも、憎まれ口を叩くツキコさんも。
「もー何やってんだよ」っておせっかいを言いたくなるけど、そのすぐ後で「ま、いいか」って必ず思わせるような、不思議な距離。

それともうひとつ、時間。
30歳近い年の差を抱えるふたり。

「ツキコさん、ワタクシはいったいあと、どれくらい生きられるでしょう」

センセイの言葉が突き刺さるような気がするのは、けして気のせいではないです。

そして、物語の終焉。

結ばれたふたりと、終わってしまった時間の中で、「センセイの鞄」ばかりが、ただある。
こんなふうにはかなくて、いつまでもこころに染みるお話を、私は他に知らないです。
ツキコさんじゃないけど、「ウンメイノゴトキコイ」がおとずれとするなら、私の理想はこの物語です。

最後に、本編中で一番好きな文章を引用。

センセイとは、さほど頻繁に会わない。恋人ではないのだから、それが道理だ。合わないときも、センセイは遠くならない。センセイはいつだってセンセイだ。この夜のどこかに、必ずいる。

川上弘美 『センセイの鞄』 文春文庫 新潮文庫
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小津りゆ

Author:小津りゆ
3年ぶりぐらいですが、ログイン。夢だった資格をとってそれなりの仕事始まったはいいものの、現実にどっしん追突し、車体ボロボロ、エンジンぷすんぷすん状態です(なにそれ)。仕事の本ばっかりで、めっきり小説を読む時間が減。もしかしたら引っ越しして続編するかもです。

※since 2008.2.17

※オリジナル物語サイト、始めました。『ことあら』(リンク欄からどうぞ)

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