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山崎マキコ 『さよなら、スナフキン』

さよなら、スナフキン (新潮文庫)さよなら、スナフキン (新潮文庫)
(2006/04)
山崎 マキコ

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わたしはたぶん、この世のどこかでスナフキンに出会いたいのだ。
冷たくしているのはそぶりだけで、心のなかではとてもわたしを愛している――そんな存在と出会いたいのだ。


美人でもなく、これといった特技も資格もなく、大学もふたつめで、年齢でいえばもう3浪同然、いつも一生懸命だけれども、あまりにドジで不器用な女。その名も、大瀬崎亜紀。
そんな大瀬崎、ひょんなことから編集プロダクションでバイトを始めることになり、そのうえバイト先のシャチョーから「大瀬崎、君に本を書いて欲しい」とまで依頼され!
だれかに必要とされたい。こんなわたしでもシャチョーの力になれるのなら。
その一心だけで身を削るように働き続ける大瀬崎。でも、それは本当なんだろうか。

もしかしたら、私の今まで読んだ本の中で1番大切な本、かもしれません。

それにしてもまあ、この大瀬崎亜紀って女、只者じゃない!

初めての面接の真っ最中、慌てるあまりくしゃくしゃの履歴書をポケットから取り出してその場で封筒につめ、編集のバイトなのに「キュウリを1分間で50枚輪切りにできるともらえる」という食物検定4級の有資格者であることをアピールした後、切り貼りしていない自分でもこわい顔と思う証明写真4枚を「ぜんぶどうぞ!」と差し出したり。
「地図を書いて来い」と言われれば道中の住宅街の表札を「近藤さんち」「松田さんち」と一件一件しらみつぶしにメモあげく、「円い家」「犬の吠えている家」を目印にした、ある意味すんごい地図を差し出す始末。

あんまりおもしろくて、一瞬、これはギャグ小説(?)ですか?って本気で聞きたくなりました。

でもこんなに抜群におもしろくておかしいのに、こんなにしんみりいたくてやさしい物語は、たぶん他にないです。
だって途中まで読んだら気づいてしまう。
「だれかに必要とされたい」ってもがく大瀬崎の姿は、けして他人事でなく。
もしかしたら、自分の姿かもしれないってことに。

物語中盤、大瀬崎は倒れそうになりながらも「自分の居場所」を見つけ、幸せな日々を手に入れます。

けれどそのまま安易にハッピーエンドの結末や、そのまま大瀬崎の成長物語にしないところが山崎マキコさんらしいところ。(3冊しか読んでない私が言うことじゃないですが)

ちなみに、帯に書いてある「あなたを守ってあげたい」って言葉。

私は最初見たとき、「(あまりに不器用な大瀬崎を)守ってあげたくなる」という意味かと思ってたんですが。
ぜんぜんちがってた。
いや、まるっきりマチガイ!ってわけじゃないんだろうけど、それだけではけしてない。
これはこんなに想いの詰まった意味だったんだなって、読後なんだかすんごくしんみりしてしまいました。
やっぱり山崎マキコさん作品、大好きです。

最後に、角田光代さんの解説文から一部抜粋。
終盤のある箇所で、私は深い解放を味わった。自分の中でひそやかに育つ矛盾の種、ふだんは目をそらしているその部分に、甘くやわらかい水をたっぷりと注がれたような、不思議な開放感だった。(中略)

なんて誠実な主人公だろうと思わずにはいられない。続けて、なんて誠実な書き手だろうかと作者を思う。私が終盤で深い解放を感じることができたのは、この二人の鋭いナイフのような、妥協のない誠実さのおかげなのだろう。

山崎マキコ 『さよなら、スナフキン』 新潮文庫
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小津りゆ

Author:小津りゆ
3年ぶりぐらいですが、ログイン。夢だった資格をとってそれなりの仕事始まったはいいものの、現実にどっしん追突し、車体ボロボロ、エンジンぷすんぷすん状態です(なにそれ)。仕事の本ばっかりで、めっきり小説を読む時間が減。もしかしたら引っ越しして続編するかもです。

※since 2008.2.17

※オリジナル物語サイト、始めました。『ことあら』(リンク欄からどうぞ)

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