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群ようこ 『かもめ食堂』

かもめ食堂 (幻冬舎文庫 む 2-12)かもめ食堂 (幻冬舎文庫 む 2-12)
(2008/08)
群 ようこ

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「華やかな盛り付けじゃなくていい。
素朴でいいから、ちゃんとした食事を食べてもらえるような店を作りたい」


フィンランドはヘルシンキ。
その街なかにひっそりとあるのは「roukala lokki」、「かもめ食堂」。
店には東洋人の女の子がひとりでいて、お客もいないのに日がな一日店にいる。
現地の人からひそかに「こども食堂」とうわさされ、そのくせ誰も入ろうとしない食堂は、けれど38歳の心やさしい店主、サチエが、いつもお客を迎える用意をして待っている。
看板メニューは、おにぎり。
こころを込めてにぎるものは、外国でも通用するはずと思っていたら、おにぎりどころか店に入るお客は、日本オタクの現地人青年、トンミくんひとりという有様。
そのうちひょんなきっかけで日本人女性のミドリ、マサコが店を手伝うことになり・・・・・・。

食堂はいいけどさ、なぜにフィンランドなのさ??って思ったし、たぶん読み始めるひとは同じことを思うんだろうけど、
たいした理由なんてないからそんなことは置いといて。(「どこか外国に行こう」と思った、その経緯は3人いろいろあるにせよ)
読む前から好き本の気配がしてたけど、ほんとにすんごく好きな本だった。
衝動買いも、たまにゃ当たるもんだね(←さりげなく正当化)。

ただ一人のお客は日本オタク(そしてなぜか「ガッチャマン」オタク)のトンミくん、しかも彼はサチエのサービスで出す一杯の無料コーヒーで、日がな一日居座っているという有様。
それでもトンミくんのガッチャマンオタクのおかげでサチエはミドリという友人を作ることができ、
地図で指差すまで存在すら忘れていたような異国でたったひとりだったミドリは、サチエの店をよろこんで手伝うようになる。

ふたりであーでもないこーでもないと言いながら店内を工夫し、やがてお客さんは少しずつ入ってくるうようになるのだけれど、看板メニューのこころを込めてにぎるおにぎりは、まったく売れない。
ミドリは売上向上のためにも、「いっそ現地人向けにアレンジしてみれば」と提案するけど、けっきょくサチエはそのままの「おにぎり」を出し続けることを決めていた。

「だめっていうより。おにぎりって日本人のソウルフードなんですよ。それをここで食べてもらうっていうのも、難しいかもしれないけど、あまりアレンジするのもどうかって思うんです。やっぱりおにぎりは、鮭、おかか、昆布、梅干なんです。日本にいても、どこにいても」

サチエの言葉を頑固、ととることもできるけど、感じたのはすくっ、と音がしそうなくらいまっすぐな想い。その想いの素は、不器用な、武道家の父の思いやり。

そしてこの言葉を聞いて、ミドリは自分の試作品が新たな展開を見ず、これで終了と納得する。
そりゃそうだ、って思う。
たしかに儲けにはならないかもしれないけど、こうまでまっすぐ言われると納得するしかないなんて思う。ちょっと、というか、かなり甘いことかもしれないのだけれど。
もうひとつ、読んでてすんごく気に入って、読んでる途中なのに「あ、この話にはすんごく思い入れが強くなるだろーな」って思わせられたところを載せてみる。それは、こんな文章。

「たしかに店はいつも大繁盛しているわけではない。けれども、店で出しているどんなものであっても、コーヒーであっても紅茶であっても、パンであってもお菓子であっても、それを口にいれた人たちは、必ずまたきてくれている。

「この間食べたシナモンロールがおいしかったから、また来たわよ」
といってくれるおばちゃんがいる。そんなことで満足している自分は、商売人としては失格なのかもしれないが、サチエはそういう小さなことがうれしかった。


実際バイトしてて似たようなことがあったせいか、サチエの気持ちに妙に共感してしまう。
著者の群さんは、いくら想いがあってもそれがうまくいくとは限らないけど、少なくともだれにも伝わらずに終わってしまうと、そんなことにはならないのんじゃないか、とそう信じているんだと思う。
そしてその想いは、それ自体とても素敵な感じがする。

物語の後半で新メンバーのマサヨも加わり、かもめ食堂はだんだんとにぎやかになっていく。
そして終盤、ようやく現地のおばあさんがおにぎり(おかかを「木屑のよう」と思ってるトンミくんのすすめで、頼んだのは鮭のおにぎり)を口にいれることになるのだけれど、その結末ははたして・・・・・・?

現実感があるようなないような、それでいてはっきりとシアワセを感じる物語。
原作よりも映画のほうがさらに良い!というアマゾンレビューもあったので、近々映画も見てみようと思う。
もちろん、ふたりで!w

群ようこ 『かもめ食堂』 幻冬舎文庫
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プロフィール

小津りゆ

Author:小津りゆ
3年ぶりぐらいですが、ログイン。夢だった資格をとってそれなりの仕事始まったはいいものの、現実にどっしん追突し、車体ボロボロ、エンジンぷすんぷすん状態です(なにそれ)。仕事の本ばっかりで、めっきり小説を読む時間が減。もしかしたら引っ越しして続編するかもです。

※since 2008.2.17

※オリジナル物語サイト、始めました。『ことあら』(リンク欄からどうぞ)

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