その時 僕が気づいていれば―――
彼女の運命を変えることができたかもしれない
“最後の復讐”
だけど僕にはその歩みを止めることはできなかったんだクリスマスの夜。
新人バーテンダーの佐倉修治はオーナーからひとりっきりの店番を押し付けられ、
ひとりさびしくため息をついていた。
そこへ訪れた女性、関沼慶子。
雪を避けて店を訪れたという慶子が、佐倉は気になってしかたがない。
けれど彼女の抱える大きなカバンには、一丁の散弾銃。
慶子はその時にはもう、すべてを奪った憎い者たちへの復讐を開始していた。
そうと知らない佐倉は、慶子に近づいていこうとするのだけれど・・・・・・。
こんな物語があったんだ、とほんとうに驚いた。
宮部みゆきさんの『クロスファイア』は読んだけれど、これは似ていてちがう気がする。
結末はわかっていてもこれからどうなるのか、本当に想像がつかない。
クリスマスのさえないバーテンダーと、どこか陰のある美人の女性客。
それぞれが抱えているのは、一杯のカクテルに込めた想いと、復讐のための散弾銃。
スナークとは、
「ルイス・キャロルの詩に登場する正体のはっきりしない怪物の名前。
捕まえた人はその瞬間に消えてなくなってしまうと言われている」(表紙裏より)
その影は、佐倉の過去にも現在にも、見え隠れする。
そして関るたびに慶子の身にも同じ影を見つけた佐倉は、慶子にこれからもずっと関ることを決意する。
俺は・・・・・・ あなたに ほれたのかもしれませんたしかに感じる。けれどまだ見ぬ慶子のこころの壁。
けれどそれも少しずつ剥がしてゆけると信じる佐倉。
そして同時に、佐倉に知れず着実に進行する、慶子の計画。
そして来る6月21日の決行日
彼は自らの手で―――
私の復讐を成し遂げてくれる先を見たくないほどの哀しい物語だというのはもうわかる。
けれど間に合わなくとも、佐倉の想いが届くと、信じていたい。
どうなるかわからないけれど、今一番、早く続きが見たい物語。
救いのある結末になることを祈ってるけど、そうはならないと予感もする。
いつかこのふたりが、本当の笑顔になれる日は、来るのか。
願うけれど、それは本当に、届くかどうか。
原作はまだまだ読まずに、続きを待とうと思う。
宮部 みゆき オオイシ ヒロト 『スナーク狩り(1)』(〜続刊)