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佐藤多佳子 『しゃべれども しゃべれども』

しゃべれどもしゃべれども (新潮文庫)しゃべれどもしゃべれども (新潮文庫)
(2000/05)
佐藤 多佳子

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一度目は見送ったが、二度目は客席まで出てつかまえて話をした。
話し方教室じゃなくて落語教室をやることになったが来るかと聞くと、ぱっと目を輝かせてうなずいた。
こうなりゃ、二人も三人も同じことだ。


頑固でめっぽう気が短く、ことに女の気持ちなんてものはとんとわからない噺家、今昔亭三つ葉。
元気のいい若手と言われていても、目下は前座よりちょいと上の二つ目の身分。
そんな三つ葉に、テニスコーチをしている従弟の綾丸良が相談にやってきた。
なんでも、自分の教えている教室で吃音が出てコーチにならないので、
噺家の三つ葉に、あがらないように話し方を教えてほしいという。
冗談じゃねえ!と放り出しても、いつのまにか無愛想な黒猫・十河、学校で一対多数のケンカの最中の村林、果ては毒舌かつ強面の悪役なのに、ひと目を気にする元プロ野球選手まで訪れてきて・・・・・・。

再読だけど、やっぱりめちゃくちゃおもしろくて2日で読了。
好きになれた本は何回読んでもいい!というのを再確認。

思いっきりのいい人情話。
「しゃべる」っていう、たいていの人がなんなくこなしてることなのに、
そんなことに苦労して人知れずもがいてる、思いっきり不器用な4人と、
気は短く人付き合いも上手くはないけど、若き人情家の噺家・三つ葉のドタバタ落語(落後?)ストーリー。
「美人らしい」けれど無愛想で、常に爪を立てた黒猫のように鋭い十河五月。
その整った容貌のために教室のマダムの取り合いに巻き込まれ、心労から吃音に悩まされるテニスコーチ、綾丸良。
かん高い関西弁、転校したばかりの学校で「相手の人数が多いだけ」の喧嘩の最中の、口は悪いけれど根性のすわった小学生、村林優。
かつて悪役のプロ野球選手だったにもかかわらず、引退後解説者として働き始めるもひと目が気になり本来の大毒舌を欠片も発揮できずにくすぶる強面おっさん、湯河原太一。

おまけに教える側のはずの若手落語家三つ葉まで、自分らしい噺ができないことに焦り、あげくスランプにまで陥ってしまう始末なんだから困ったもの。

そのうえ他人の世話なんてただでさえ不器用なのにやきはじめ、黒猫十河にはひっかかれるわ、湯河原には殴られるわでもうたまったもんじゃない。
懸命になってもなっても、不器用だらけで何度やってもから回る。
そんな中でも、人はすっと通ってしまうような道を、転んでくじけてくたばって、
すったもんだしながら、三つ葉、綾丸、十河、村林そして、湯河原、それぞれが少しずつ通り過ぎようとしていく。

約一年。
こんな奇妙な人との関り方をしたことはないし、こんな奇妙な同情や腹立ちや責任を感じたことはなかった。今日で、ひとまず幕が下りた。


いやまったくだわ。
ドタバタな一年があっというまに終わっても、これだけ不器用なやつらだから
なにもそうそう変わるもんじゃない。
けれど一年通して通ってきた道は、おかしな5人で通った先へと続く一本道。

人間くさいったらないけれど、そのぶん親身に骨身にしみる。
もちろんいくらしゃべれどもしゃべれども、これから道はまだまだ続いていくのだけれど。

この5人なら、まだまだうんといけるんだろうし、
ついでに「負けてらんねーなあ」なんて、柄にもなく思ってしまう。
とてもとても粋のいい、不恰好なおすすめ本。

佐藤多佳子 『しゃべれども しゃべれども』 新潮文庫
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プロフィール

小津りゆ

Author:小津りゆ
3年ぶりぐらいですが、ログイン。夢だった資格をとってそれなりの仕事始まったはいいものの、現実にどっしん追突し、車体ボロボロ、エンジンぷすんぷすん状態です(なにそれ)。仕事の本ばっかりで、めっきり小説を読む時間が減。もしかしたら引っ越しして続編するかもです。

※since 2008.2.17

※オリジナル物語サイト、始めました。『ことあら』(リンク欄からどうぞ)

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