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野中柊 『参加型猫』

参加型猫 (角川文庫)参加型猫 (角川文庫)
(2006/09/22)
野中 柊

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のらくらとしているように見えて、いつも日向の真ん中にいようとする。
そんなチビコの姿を見るにつけ、勘吉は、猫ってやつは偉い動物だなあ、と感じ入る。
そして、自分も光の方向へ、温かな心地よい場所へ転がっていこう、と思うのだ。

(「ペンギン猫、もしくはバットマン」より)

勘吉と沙可奈。この若い夫婦は、奔放な妻、沙可奈の拾った捨て猫5匹がきっかけで知り合い、
結婚し、目下沙可奈の愛猫、チビコとともに、引っ越し作業の真っ最中。
できれば愛想がよくて体力のある好青年の引っ越し屋さんが来てほしい、という勘吉の願いに反し、
やってきたのは見るからにガラの悪そうな、バリバリヤンキー風の三人組で―――(「ペンギン猫、もしくはバットマン」)。

他、引っ越し作業にあたる数日間を過ごす夫婦の、ほんとーに平坦な日常の、
さらにそのひとコマずつを切り取った、のんびりゆったりな短編集。
暖かい日差しの指す部屋なんかでソファーに座って読もうものなら、
それこそものの5分で眠り込んでしまいそうなスローペース本。

勘吉、沙可奈、チビコ。
少しばかり小心者だけど心優しい夫と、奔放で軽やかで、変わった名前の妻と、
そんなふたりの生活に積極的に参加する猫。

住みやすい空間を目指して引っ越すのはいいけれど、なんともまあ、
引っ越しというのはどうにも大変で、お金もそうだけど手間だってうんとかかる(経験はないけど)。

住民に見つからないように(ペット禁止)チビコを連れて、6階の部屋までダッシュ(エレベーターなし)
したり、近所の変人シェフの店の、ヘンテコな名前のスパゲティーを食べたり、1階の焼肉屋の、気難しげな爺のもとへ挨拶にいったり、そして部屋につまれたダンボールの山を見て、うんざりしたり。

しごく平凡で雑多なことをするすると重ねて、そんな中で日常のさらにひとコマを生きてる2人と1匹。
この1冊の本に描かれてるのは、ほんとうに、ただ、それだけのこと。
シンプルで平凡で、そしてはてしないくらいスローリー。

でもスローな中に、印象的なのは、どっかで繰り返して、この日常の終わりを思ってること。
みんな当然知ってることだけど、この物語はそれをもう知ってる、というより、わかってる、気がする。

終わることと変わることが同義かどうかわからないけど、
いつまでもどこまでも続く生活、暮らし、時間なんて、ない。
だからこそ、日常の中のさらにひとコマ、ここでは引っ越しの数日間。

ささいな時間を、綴っておく。
そこからなにが言える、なんてこと、あいにく解説者さんみたくうまく考えられないけれど。

なんとなく、好きになってしまったらしい本。
そんなふうになんとなく、どうやら好きにさせてしまう可愛らしさを持った1冊。
購入する際には、できれば立ち読みしてみたほうがいいかもしんない。
相性が合うようなら、たぶんなんとなくでも、自分でそうとわかるだろうから。

雨の土曜は、のんびり読書にうってつけ。
さて、次は何を読もうか。

野中柊 『参加型猫』 角川文庫
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プロフィール

小津りゆ

Author:小津りゆ
3年ぶりぐらいですが、ログイン。夢だった資格をとってそれなりの仕事始まったはいいものの、現実にどっしん追突し、車体ボロボロ、エンジンぷすんぷすん状態です(なにそれ)。仕事の本ばっかりで、めっきり小説を読む時間が減。もしかしたら引っ越しして続編するかもです。

※since 2008.2.17

※オリジナル物語サイト、始めました。『ことあら』(リンク欄からどうぞ)

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