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深沢かすみ 『軌道春秋(1)』(~続刊)

軌道春秋 1 (1) (YOUコミックス)軌道春秋 1 (1) (YOUコミックス)
(2000/07)
深沢 かすみ

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「ホント 何が楽しくて生きてるんだろう」 

父親の本棚から久々にあさって読んで、これ幸いと拝借。
全10章の物語の入った、短編集マンガ。
「軌道春秋」というタイトルからわかかるように、電車(鉄道?区別がわからない。。)がどの物語でも、
なくてはならない舞台。
そこで織り成す、人間ドラマとは言いすぎだけど、でも人間味たっぷりの10の物語。

父の願うこと・・・
レールのそばで、二度と触れることのできない娘の未来を気遣う父。
娘の傍らには父、父の傍らには娘がいつもいる。亡きものは、無い者ではけしてない。
だけどやっぱり、死んだらなににも触れない。そして、二度と会えない。

「弁当ふたつ」・・・
真面目なだけがとりえの夫が、リストラされていたことを知った妻。出社する夫の後をつけてみるけれど・・・。
いつ起きるともしれない話。支えることがどんなに救いになるかは、たぶんそのひとにしかわからない。

「祖母の待つもの」・・・
アルツハイマーの祖母の世話をするために一家で田舎に移ってきた。日中の祖母の世話をする浪人生女子は、けれど祖母のことがどうしても好きになれずに・・・。
鬱屈してるけど、すっと軽くなる瞬間。人の中で生きている思い出の力はときにとっておきなのだ。

「車窓家族」・・・
都心から郊外への急行電車。その信号待ちの場所。そこにある古びたアパートの、老夫婦。停車する電車の窓から丸見えのふたりのおだやかな生活は、電車に乗るひとたちのこころも和ませていたのだけれど・・・。
実際こんな場面に遭遇したい!と本気で思う。他人事なんだけど、幸せってのはおすそ分けされるものでもあるでしょう?

「途中下車」・・・
かつていじめにあっていた女の子が、今日新しい学校へ。ひとりで行きたいからと電車に乗ったけれど、抑えきれない記憶がどうしてもそれ以上進むことを拒んでしまい・・・。
似たような記憶があるからちょいと感情移入。途中下車なんて言葉知ったのは、つい最近のこと。

「お帰りなさい」・・・
昭和四十四年。出稼ぎに行っているお父さんがもうすぐ帰ってくる!父親の帰りをこころ待ちする小学生の兄妹が、ふたり留守番をする文具店。そこにずるがしこい大人の手が忍び寄り・・・。
いるいる!こんな最低人間。と憤慨しつつ、健気な小さな兄貴にちょいと感動。

「駅の名は夜明け」・・・
介護保険、介護サービス。「年よりは 死んでください 国のため」 
最後まで質素に生きることすら困難になった老夫婦。夫は難病と、痴呆の進んだ妻といっしょに、人生最後の駅を目指し・・・。
現実ではこういかなかったひとだってたくさんいるのだろう。なにもこの老夫婦に限らず、ひとりでも、こんな道を辿ってくれたら。

「ふるさと銀河線」・・・
北海道ちほく高原鉄道、通称「ふるさと銀河線」。
ここから離れようとする友人と、ふるさとを愛する運転手の兄。中学生の星子は、演劇という自分の夢を持ちながらも、ふるさとから遠く離れた高校に進むことをためらって・・・。
遠くのふるさとが、そのまま遠くに行ってしまうわけじゃない。離れてても、ずっと自分に寄り添ってくれる、そんな存在だと気づければ。

「手つかずの季節」・・・
晴菜・響子・知沙。38歳の仲良し三人組は、晴菜の引っ越しの最中に偶然見つけた中学三年生の修学旅行の栞をもとに、「修学旅行のやり直し」を計画。目的地は、萩・津和野!

元気な3人組だけど、3人今までいろいろ抱えてきて、今でもたぶん荷軽!ってっわけじゃない。
手付かずのものはときを思うとげんなりともするけど、しっかり手をつけて先に、
見えない先へとつなげていきたい。そうすれば、たぶんだけど、何か。何かあるような気がする。
楽観論でもなんでもいい。そう信じれるのは、たぶん強さ。

「ひとり咲き」・・・
かつて村の中心で、人々とともに過ごしていた一本の桜。村はダム建設を理由に廃村となり、けれど工事は行われず。それでもけっきょく、だれもあの村には戻れなかった。
かつて村の子だった女性が目指すのは、もうだれも、けして愛でてくれることのない花。
愛でてくれるからこそ花も咲く。だれも愛でてくれないのなら、もういっそ・・・。

だれも見てくれるひとなどいない。けれど花は咲く。
当たり前のことなのだけど、最後にぐっとくるようなラストシーン。
人間と花ではちがうけど、こんなラストがいけないなんて、いったいだれがいえるものか。

たしか高校のころに初めて読んだ本。
生きることなんてたいそうなテーマだとか教訓だとか。
んなもん一切押し付けないし、そんなものがどっかに存在するようでしない、ようなこの物語たちが好きで、何度か読み返した記憶がある。

まあ、たしかに地味本。けど、隠れた名作。オススメです。

深沢かすみ 『軌道春秋(1)』 YOUコミックス
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プロフィール

小津りゆ

Author:小津りゆ
3年ぶりぐらいですが、ログイン。夢だった資格をとってそれなりの仕事始まったはいいものの、現実にどっしん追突し、車体ボロボロ、エンジンぷすんぷすん状態です(なにそれ)。仕事の本ばっかりで、めっきり小説を読む時間が減。もしかしたら引っ越しして続編するかもです。

※since 2008.2.17

※オリジナル物語サイト、始めました。『ことあら』(リンク欄からどうぞ)

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