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北城真琴 『アンモナイトドリーム』

アンモナイトドリームアンモナイトドリーム
(2004/08)
北城 真琴

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自分が塵になってしまえばいいと、これまでに何万回願っただろう。

この前川上未映子さんの『ヘブン』を読んで、思い出して再会した本。

「教育」のためなら暴力をも厭わない厳格な両親、優等生の貌。左腕の無数の傷、思い通りにならない、消えてしまえばいい自分。夢であう、走る少年に問いかける主人公、アサコ。

裕福で完全放任の両親のもと、思い通りにならない邪魔者は、殺してでも排除。「当然」のその行為はいずれも表面化せず、今では陸上の才能を褒め称えられ、「弱い」アサコを見下し従わせる、幼なじみの少年カズノブ。

「なあ、アサコ、知ってるか。人間は光の速さで走ると、歳をとらなくなるんだ。アインシュタインの特殊相対性理論てやつだな。俺はいつかその領域までたどり着いてみせるんだ。俺なら絶対にそこまで行ける。これまで誰も到達できなかった世界に、俺だけが足を踏み入れるんだ」

本気でそう語るカズノブ。戯言だ。それは認識できるけれど、それをすごいと思うアサコ。
ある程度の力があれば、ある程度のことは巧くいく。けれどこの力では、そう巧くはいかない。
羽がもげればただのゴミ。カズノブのルールは、やがてカズノブ自身を呑み込んでゆく。そしてカズノブに近づきたいと願うアサコも・・・・・・。

理解できるならできるだろうし、そうでないならせいぜいがわかろうとするのが限度。
何も残さないし、何も生まれない。たどり着かない。追いつきもしない。寄り添う2匹のアンモナイトがいたとして、その目はもう潰れているんじゃないかとすら思う。
塵になりたいと願っていたアサコの想いだけ、身を置き去りにして報われたとはいえ。

人を選ぶ意図はないのだろうけれど、人には確実に選ばれる物語。
そう思いながらまたしてもこれを選んだけれど、カズノブには出会わなかったなと思う。

カズノブに出会ったとして、それが不幸か幸なのか。
未だにアサコを全否定できないのは、それがもっとわからないからだと気づいた。
注目も受賞もないだろうけれど、『ヘブン』と対峙したその影で、この物語に出会うひとももしや増えるかもしんない。

北城真琴 『アンモナイトドリーム』 文芸社
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小津りゆ

Author:小津りゆ
3年ぶりぐらいですが、ログイン。夢だった資格をとってそれなりの仕事始まったはいいものの、現実にどっしん追突し、車体ボロボロ、エンジンぷすんぷすん状態です(なにそれ)。仕事の本ばっかりで、めっきり小説を読む時間が減。もしかしたら引っ越しして続編するかもです。

※since 2008.2.17

※オリジナル物語サイト、始めました。『ことあら』(リンク欄からどうぞ)

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