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ヤマシタトモコ 『HER』

HER (Feelコミックス)HER (Feelコミックス)
(2010/07/08)
ヤマシタ トモコ

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女は醜くて 
男は愚かだ

でもそんな醜さを
そんな愚かさを
――愛さずにいられるわけがないのだ
ぼくらは


「オンナたちの本音を描く 可憐で獰猛な全6編の連作オムニバス」

どこにでもありそうな宣伝文句に、
表紙から見ればなんだかポップでフランクな印象なんですが、
意外とえぐります。そういうのが、すごい巧いです。

特に白髪のレズビアンの写真家と女子高校生の話と、ワンナイトを繰り返す地味女の回は好きです。
とりあえず全話さらっといきますね。

ケース1・・・
あたしはそんな彼女たちをさしおいて世界中の男から愛されるような靴をはきたいのです

自分のほうが美しいし素敵な靴をはいている
けれどあなたがあたしを好きになったらあなたを選ぶ準備はできていた男子から選ばれなかったし、
後輩男子からはこわい靴をはいているとぬかされる
選ぶ準備はできているのに、あたしだけが選ばれない
そんなあたしに、最後のほうで近づいたのは・・・・・・

スマートなのに率直です。好かれたい、愛されたい。
モテルックには反吐が出るけど、実際問題選ばれないといううまくいかなさ。
そんなあたしに現実ってのは限りなくやさしくなくて、でも時々ちょっとおもしろいことをするんですね。

ケース2・・・
たとえばわたしが年をとって ひとりでどれぐらいさびしかろうと ひっかかるまいこの男(ひと)だけには

美容師である自分の客は、毎度モテ自慢を繰り返す、その性癖で、職場ではビョーキ扱いされるような男。
相槌を打ちながらも、ぜったいにこの男にはひっかからないと思う。けれど。

もしかしてこのままひたすら働いていずれ一人で死ぬんじゃないか
そう思うと、見え見えのジョーカーに手が伸びそうになる不穏の気持ち。
そんな中来店した女性客は、あの男が妻にプレゼントしたというペンダントを飾ってて・・・

いろんな意味で、いろんな邪推であー危ない・・・ぐらつくぐらつく、こんな橋渡りなんかしたくないしジョーカーだってひきたくない。
けれど・・・ってところから抜け出すラストシーンが好きです。
にしてもこの男、自慢がほんとに気持ち悪い・・・・・・美容師さん、お疲れ様です。。

ケース3・・・
・・・だから安心しなさい 
・・・あと何万年生きたって悩まない日はないし
誰が隣にいても孤独じゃなくなる日は来ないから

・・・・・・安心?

隣の白髪の写真家のキスシーンを目撃して以来、レズビアンであるその女性が気になって仕方ない高校生処女。
とにかくフツーの枠内でいなければ排除される世界の中で息をしてるのに、そのひとはあたしの決まりとはなにひとつ一致しなかった光景の中でフツーの顔して生きている
フツーじゃないのはこわいこと。そのフツーを逃した高校生に彼女が言った言葉の意味は・・・

「貧しい友だちだね」とだけ言うような大人がいるのは、すごくおもしろいことなんだろう。
「あまねく世界の呪い」の中で、それを体得しながら、息をすることを生きることに変えてゆけたらいいのですけどね。

ケース4・・・
噛み砕きも吐き出しもできない飴玉のように
秘密はもう19年も口の中を転がっている

あのときのお母さんみたいな女の匂いとか
だからおしゃれもお化粧も
でも性欲はあんのよ
くそったれ

目が覚めて、隣には見ず知らずの男が寝ている。またやっちまった。でも繰り返す。
飴玉が口の中でじゃりっとなるときもあるけれど、飲み込まないし吐き出さない。くだらない切り札。
職場関係の女子に誘われるも断って、実家暮らしなのに一人酒というルートをたどってたまたま行き着いたのは、
なんとついこのまえのワンナイトの男が切り盛りしている店で・・・・・・

少なくとも本人にはシリアスな話なのに、重苦しくなくつるっと読めました。
とりあえずそこに行き着くまで、変なのに遭遇しなかっただけでもよかったですね。
それにしても。「娘に訪れるすべての幸福も災厄も母親に由来する」と、
この台詞、さりげなーくヘビーパンチですね・・・。

ケース5・・・
はじめから
はじめからキライでした
・・・嘘
とてもすきでした

知り合った彼氏の女友達は、可愛い可愛いと言われる、そういってもらわなければ何もない自分になにひとつないものをたくさん持っていて、裏表も悪気もなく、育ちの良い顔をして笑っている。
ずるいずるいずるいずるいずるいずるい・・・・・・
その気持ちはキライですきなぶん、とめどもなく、崩壊して目の前の女を呑み込んでいく・・・・・・

「女なんて全員きらい」

(誤解曲解その他を承知で、同じく、と書いておきます)キライだけどすき、すきだからこそキライ。すきとキライは表裏一体を経由してたどり着いた同一なんでしょうね。人間がちがっていいところもあるけど、それしか見えないならそりゃ盲目です。さすがにこんなファイトを吹っかけられるのはごめんですけどね。この前先輩と深夜までしたケンカは、めちゃくちゃおもしろかったですけど。

ケース6・・・
・・・女のひとってずるい ・・・超ずるい!

などと言ってしどもどしてる男子と、ニヤッとしてる女子の居酒屋帰りの帰り道の歩き話(ケース5に遭遇したうえで)。〆にとってもいい話です。(オチも好きです)

ああほんと、女は醜く男は愚か。そういう自分は醜く愚か。
だけれどもそれを愛せるようには、(個人的には)ならないだろうけどなってもそんなに悪くないかも。
なんかそれぞれそんな許しポイントがあるようなお話じゃないでしょうか。

・・・さて。まとめます?まとめましょうかね。

タイトル、HERは、じつは「Hate or Envy somebody. Rude gilrs, who must be loved」の略だそうです。
(ハーとも読まず、ヘル(地獄)の当て字か?と思ってた自分は、やっぱしアホなんだなーと思う今日)

女子さんターゲットなんて狭いこと言わないで、男子さんにもひろく読んでほしい話ではあるけれど。
わからなくてもわかってもいいけど(でもわかんねーですよね、人様のことですから。そんなこと、そういえば前記事紹介本にもありました)、読めないなんてのがいたらまず友達になれないような気がする。

とは言いすぎですが、人間ってめんどい生き物だよね、めんどいけど時々おもしろいよねって笑いあうひとがほしくなります。
なかなか好きです。かなり売れてるみたいですし、この際書店で見つけたら即お求めをオススメします(笑)

ヤマシタトモコ 『HER』 祥伝社Feelコミックス
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プロフィール

小津りゆ

Author:小津りゆ
3年ぶりぐらいですが、ログイン。夢だった資格をとってそれなりの仕事始まったはいいものの、現実にどっしん追突し、車体ボロボロ、エンジンぷすんぷすん状態です(なにそれ)。仕事の本ばっかりで、めっきり小説を読む時間が減。もしかしたら引っ越しして続編するかもです。

※since 2008.2.17

※オリジナル物語サイト、始めました。『ことあら』(リンク欄からどうぞ)

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