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加納朋子 『ななつのこ』

ななつのこ (創元推理文庫)ななつのこ (創元推理文庫)
(1999/08)
加納 朋子

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いったい、いつから疑問に思うことをやめてしまったのでしょうか?
いつから、与えられたものに納得し、状況に納得し、色々なことすべてに納得してしまうようになったのでしょうか?
いつだって、どこでだって、謎はすぐ近くにあったのです。


短大生の入江駒子は偶然本屋で見つけた絵本、『ななつのこ』に一目惚れし、読後、著者の佐伯綾乃さんにファンレターを書こうと思いつく。
初めて書いたファンレター。駒子がそこに記したのは絵本についてのこころからの感想文と、最近駒子が体験した、なんてことないけれどちょっと不思議な出来事、『スイカジュース事件』。
そのときはまさか、返事がくるなんて思いもしなかった。けれど少し遅れてやってきた返事には、なんと綾乃さんが推理した、『スイカジュース事件の真相』までが記されていて―――!

それ以来、主人公駒子と、謎の絵本作家、佐伯綾乃さんとの手紙のやり取りが始まる。
駒子は身の回りで起こった「なんてこともない、けれどどうしても不思議な出来事」を手紙に記し、綾乃さんからの返信(推理編)で、小さな謎の真相に気づく!というもの。

ほんとーに、なんてことない。「事件」というより、単なる「出来事」としかいえないような、見落としてしまいそうな小さな謎。
冒頭の「スイカジュース事件」に始まり、どこかおかしな展覧会、気づけばアルバムからなくなっていた1枚の写真、花壇の裏側で歩きまわる上品な老婦人、etc・・・。
どれもこれも、何も駒子みたく物語の主人公じゃない私たちでも、その辺を歩いてれば遭遇しそうな小さな出来事ばかり。
だっていうのに、そんな小さな出来事のひとつひとつに、じつは思いもしない理由があって、綾乃さんからの返信で駒子といっしょになってびっくり仰天、あー謎解きって何もミステリー小説や血だらけの殺人現場だけじゃなくて、こんななんでもない日常にもたくさん転がってるんだなって、うれしくなります。(もちろん、「ななつのこ」もれっきとしたミステリー小説なのですが)

ところで「ななつのこ」はその名のとおり、全7話収録の短編集なのですが、1番好きな話は6話目の「白いタンポポ」。

心配する大人の気持ちも、まるっきりわからなくもないけれど。
それでも私も駒子と同じく、自分の定規でしか測らない彼らには、けして共感はできません。

「本当に、明日咲く花の色は、きっと誰にもわからない」。

私はこの言葉に会いたくて、「ななつのこ」を何度も読み返しているような気すらします。

そして何より、主人公の駒子の存在。佐伯綾乃さんは、返信の中でこんなことを言っています。

あなたは白いタンポポの花に似ていますね。ありふれているようで、本当は滅多に出会うことが出来ない、つまらない既成概念や価値観や常識をその存在だけで控えめに、けれどあっさりと否定してしまう。白い花の傷つきやすさと、そして何よりたんぽぽの逞しさとを持っている・・・・・・。

本当にそう。そして駒子の存在は、そのまま著者の加納朋子さんのまなざしを伝えてくれます。
ありふれた日常に転がる小さな謎、そして何より、なんてことない日常のいとおしさ。

出会いたければ、頁をめくればいいだけ。
だから私は、この先も何度もこの本を読み返すんだろうなって思います。

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プロフィール

小津りゆ

Author:小津りゆ
3年ぶりぐらいですが、ログイン。夢だった資格をとってそれなりの仕事始まったはいいものの、現実にどっしん追突し、車体ボロボロ、エンジンぷすんぷすん状態です(なにそれ)。仕事の本ばっかりで、めっきり小説を読む時間が減。もしかしたら引っ越しして続編するかもです。

※since 2008.2.17

※オリジナル物語サイト、始めました。『ことあら』(リンク欄からどうぞ)

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