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奥田英朗 『イン・ザ・プール』

イン・ザ・プール (文春文庫)イン・ザ・プール (文春文庫)
(2006/03/10)
奥田 英朗

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「いらっしゃーい」
ドアをノックすると、やけに明るく甲高い声が響いた。
医師らしき、太った中年男が一人掛けソファにもたれかかっていた。


プール依存症、陰茎強直症、妄想癖・・・・・・訪れる人々も変だが、治療する医者のほうがもっと変。こいつは利口か、馬鹿か?名医か、ヤブ医者か?(裏表紙より)

超ヘンテコ精神科医、「伊良部先生シリーズ」第一弾。初めて読んだけど、これは大ヒットの予感。
なにしろホント、おもしろすぎる。

「イン・ザ・プール」(プール依存症)、「勃ちっ放し」(陰茎強直症)、「コンパニオン」(妄想癖)、「フレンズ」(ケータイ依存症)、「いてもたっても」(強迫神経症)の5話収録。

さまざまな悩みややっかいなヘンテコ病を抱えた人たちが訪れたのは、伊良部総合病院の、なぜか地下一階にある神経科。
ドアをノックすれば「いらっしゃーい」と甲高い声がし、超ヘンテコ精神科医、伊良部一郎と、無表情で妙に色っぽい謎の看護婦、マユミに遭遇することになる。

色白で肥満体。45くらいに見えるけど、じつは35歳(後に26歳青年医師と偽って、出会い系サイトでモテモテ状態になる)、患者の話もろくに聞かずに勝手に診断をくだし、何かと言えばやたらとマユミに注射を打たせる。おまけに極度のマザコン。

伊良部先生みてると、診察室に来てる患者さんがすんごいマトモな人に見える。よーするにこの世のどこを探しても滅多に見つからないような超ヘンテコな精神科医。

カウンセリングや療法なんてするだけムダと言い放ち、ひたすら自分の好きな話をするかとんでもない荒治療の提案をするか。
たとえば繁華街でヤクザを闇討ちしろ、そーすれば追われてるくらいだからつまらない悩み事なんか確実にふっとぶ、とか。患者さんが呆れると「たとえばの話だよーん」と大口開けて笑う。
呆れてものも言えないとはこのこと。

でもなんだろ。

けっきょく伊良部先生のところにきた患者さんって、なぜだかみんな治ったり、解決したりしてしまう。
多くは伊良部先生のあまりにヘンテコで破天荒な姿勢をショック療法にしたり反面教師にしてるわけなんだけど、伊良部先生のふざけてるとしか思えない言葉には、それでもところどころ的を射てたりもする。

伊良部一郎は、たぶん馬鹿で変人。だけどある意味、ヤブ医者ではない。(かといって名医?って聞かれても、けしてうなずけないのだけど)
私も心療内科って何度か受診したことがあるんですが、ろくにこちらの顔も見ず、話も聞かずにクスリだけ出して診察終了ってこともけっこーあったし。(もちろん、中には良い先生もいましたけど)

伊良部先生が実在のひとなら、必要になったら私はこの先生のところに行くんだろーなと思う。
たしかにめちゃくちゃなひとだけど、患者さんをちゃんとひとりの人間として見てる。それだけは絶対。

1番好きな話はケータイ依存症の男子高校生の登場する「フレンズ」という話。
最後はふっきれるんだけど、実際こういう子ってけっこういるんじゃないかなー。
それまで「謎の無表情看護婦」だったマユミさんですが、この話読んでからはちがってきました。

あーやばい、くせになりそう。
続編、「空中ブランコ」も購入決定。
文句なしにオススメです。

奥田英朗 『イン・ザ・プール』 文春文庫
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イン・ザ・プール 奥田英朗

伊良部総合病院地下にある神経科を訪ねた患者たちは、甲高い声に迎えられる。 色白で太ったその精神科医の名は伊良部一郎。そしてそこで待ち...
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プロフィール

小津りゆ

Author:小津りゆ
3年ぶりぐらいですが、ログイン。夢だった資格をとってそれなりの仕事始まったはいいものの、現実にどっしん追突し、車体ボロボロ、エンジンぷすんぷすん状態です(なにそれ)。仕事の本ばっかりで、めっきり小説を読む時間が減。もしかしたら引っ越しして続編するかもです。

※since 2008.2.17

※オリジナル物語サイト、始めました。『ことあら』(リンク欄からどうぞ)

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