投稿日:2008-04-02 Wed
![]() | つめたいよるに (新潮文庫) (1996/05) 江國 香織 商品詳細を見る |
デュークが死んだ。
私のデュークが死んでしまった。(『デューク』より)
飼い犬を失った女性が不思議な男の子と会う不思議な1日 『デューク』他、
デビュー作 『桃子』、はないちもんめ小さな童話賞大賞受賞作『草之丞の話』など、
初期の短編物語21作品を収録した短編集。
子供たちとか、恋人とか夫婦の話が多い。
たとえば、青屋根の窓の『鬼ばばあ』や、おかしくて少し不気味な『夜の子供たち』に、可愛く強かな『子供たちの晩餐』。
蠱惑的な幼女と修行僧の(一種猟奇的な)結末『桃子』、かつての家で口に入れる『さくらんぼパイ』、クリスマスのコンビニでの小さな物語『とくべつな早朝』。
守り続けてきた『草之丞の話』、遠いさよならを告げる『いつか、ずっと昔』、幸福なドアが閉まる『スイート・ラバーズ』や、素敵でおかしな奥さんの『朱塗りの三段重』。
江國香織というひとがひとり凝縮されてるような1冊。
読んでると、根拠もないのにそんなふうに感じる。
不思議でどこか曖昧で、いたずらっぽくて不気味で、時折孤独で温かく、けれど切なく愛おしいような。
そういいつつ、私がとくに大好きなのは『ねぎを刻む』と『コスモスの庭』と、それからもちろん『デューク』なんだけれど。
あと、『スイート・ラバーズ』は婚約者のいる友達に、ちょっと贈りたくなった。
最後に、解説よりこれは、と思った部分(というか最後の2文なのですが)を抜粋。
テーマなどという大仰なものはどうでもいい。江國さんは、ただ自分の好きな懐かしい風景を静かに描いていく。
だから「夏の少し前」の洋子の言葉が胸を打つのである。「私、ずっとながいこと、こんな光にあこがれていたような気がします」。
江國香織 『つめたいよるに』 新潮文庫
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