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川上弘美 『おめでとう』

おめでとう (文春文庫 か 21-5)おめでとう (文春文庫 か 21-5)
(2007/12/06)
川上 弘美

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「朝に生まれた子供はしあわせになるっていう言い伝えを聞いたことがあるよ」竹雄は言った。
「竹雄は、朝に生まれたの」
「いや、夜遅く、らしい」
「それなら夜の子供もしあわせになると思うよ」
「そうだといいね」
 (「夜の子供」より)

束の間の逢瀬だとか、「うらめしい」ととりついた気弱な幽霊だとか、どこまでもゆっくりと流れてゆく川だとか、桜の樹のうろに住んでる恋人とか、「西暦三千年一月一日のわたしたちへ」だとか。
川上さんの書く、「いつか別れる私たちのこの一瞬をいとおしむ短篇集」(裏表紙より)。

12篇収録。今回は、中でもとくに好きだなーと思った5編をご紹介。

いまだ覚めず・・・
十年ぶりに、「あたし」はタマオさんに会いに三島へ行く。
いつしか接吻することをためらうようになり、タマヨさんからもうあなたと二人で会わないと言われた。
タマヨさんの家の庭には、大小の鳩の入った大きな籠があった。

どうにもこうにも・・・
去年の七月から、気弱な幽霊、モモイさんに憑りつかれている「私」。
モモイさんは「いのうえ うらめしい」といいながら出てきて、ちょうど井上と縁があった私に憑りついたのだった。
あるときモモイさんの「幽霊的能力の行使」(=強要)により、私とモモイさんは井上に(けっこーささやかな)復讐をすることになったのだけれど・・・。

ぽたん・・・
日曜日ごとに飼っているメンドリを公園に散歩させにくるミカミさんを、日曜日の夕刻、約束したわけでもないわたしは待っている。
週に一度、雨天中止。そういう逢瀬、ともいえなくもなく。

・・・
一郎がわたしの部屋に行くことなんてほとんどない。
くさむらで食料を広げていると、「酒忘れた、しまったなあ」といいながらさっさと一郎はコンビニに行ってしまう。わたしを残して。鴫が何羽か、浅瀬を歩いている。

ばか・・・
男が「このおまま死んでしまいたい」と、せつなげに言う。何故なのかはわからない。
藍生は久しぶりに、線路の上を歩くことにした。

いつもどおり、ぼわぼわとして、つかみようのない物語たちが集まってる。

物語だけでなく、登場する人間やそれ以外だってぼわぼわしててつかめない。
庭で籠に入った大小の鳩を好きでもないのに飼っているタマヨさんとか、わざわざ化けて出てきて「復讐する」と言いながらも、ちまちました嫌がらせしか思いつけない幽霊のモモイさんとか。
(そんな中で「天上大風」の「私」はとっても論理的で、あまつさえその論理的思考を実際に実生活に完璧に敷衍できている。けれどもやっぱりつかめない)

ぼわぼわぼわぼわしたまま、読み終えてみると不思議なまでにぼわぼわした、なんともいえないようないとおしみがあふれ出してくるような気がする。

なんか「ぼわぼわ」言ってるだけでちっともまともな感想にならない。
書こうとしても、この感覚を私の知ってる少ない言葉でどうあらわせばいいのか、見当もつかない。
とっても「ぼわぼわ」してて、私はこの本とっても好きなのだけれど。

どなたか上手い感想文があれば、教えてください。(白旗)

ちなみに12番目、最後の物語「おめでとう」は、とてもせつなく、物悲しくなる話。

(ところで文春文庫版の解説は栗田有起さんでした。なんて豪華。)

川上弘美 『おめでとう』 文春文庫 新潮文庫
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プロフィール

小津りゆ

Author:小津りゆ
3年ぶりぐらいですが、ログイン。夢だった資格をとってそれなりの仕事始まったはいいものの、現実にどっしん追突し、車体ボロボロ、エンジンぷすんぷすん状態です(なにそれ)。仕事の本ばっかりで、めっきり小説を読む時間が減。もしかしたら引っ越しして続編するかもです。

※since 2008.2.17

※オリジナル物語サイト、始めました。『ことあら』(リンク欄からどうぞ)

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