投稿日:2008-04-08 Tue
![]() | 古道具中野商店 (新潮文庫 か 35-7) (2008/02) 川上 弘美 商品詳細を見る |
こうやって死ぬまでの一生、不安になったり茫然としたりして過ごしてゆくのかと思うと、今すぐ地面に寝そべってぐうぐう眠ってしまいたいくらい、気が重くなった。でもそれでもタケオが好きだった。好きをつきつめるとからっぽな世界に行ってしまうんだな。わたしはぼんやり思った。
今までのところ、私の中の「川上さんベスト作品!」はセンセイの鞄だったのです。
けども、こちらもすんごくよかった。骨董品じゃなくて古道具、なところが川上さんっぽい。
とにかくものすごく好きだな、こんな話。
東京の西の近郊のどこかの町にある古道具屋「中野商店」。
「だからさあ」を連発する中年店主の中野さん、その姉貴でゲージュツカ(どうやら人形作家さんのよう)のマサヨさん、無味(←解説より。すんげー良い表現なので引用)なバイト店員、タケオ。そして同じくバイト店員の「わたし」。
基本このメンバーが主要で、メインはたぶん無味で人間不信なタケオと「わたし」の冷戦じみた不穏を含めたたゆたうよーな気持ちのやりとりなんだけど、そのうち中野さんの「銀行」(←なぜかここでは「愛人」の意)サキ子さんがところどころ加わったり、よくわからないお客の田所とかマサヨさんの恋人丸山がちょこちょこ出てきて、ときどき一悶着あったりもする。
中身を出さないタケオとそんなタケオにいらつく「わたし」とか、中野さんとサキ子さんの不穏だとか、ときどきどきっとするよーな緊張を孕んだりしながらも、基本はけっこうだらだらした物語。
売る、買う(引き取る)、市に行く、食べる、ひとが来る。
ものすごく端折ってしまうと、この一文で説明できるくらいだらだらと単調。
でもこの単調ていうかだらだら感がくせになる。ずっと浸っていたいって心底思ってしまう。
夏場なんかにだらだらしながら読んだりするといいかもしれない。
あと、終わりのほうの展開っていうか構成っていうか。とにかく終わりのほうが好き。
あははわかったから、どーかどーか不滅でいてくれよって思う。
そーいえば解説でちらりと触れられてましたけど、川上さんの弟さんは骨董品屋さんだそうです。
ついでに「たゆたう」って言葉はたぶん川上さんの本のどれかを読んでて見知った言葉なんですが、これってそのまま川上さんの本の代名詞にだってなれるけっこー地味だけど素敵な言葉だと思う。
いろんなところで、私はどんどん川上さんの本を好きになってゆく気がする。
川上弘美 『古道具中野商店』 新潮文庫
△ PAGE UP


