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山崎ナオコーラ 『人のセックスを笑うな 』

人のセックスを笑うな (河出文庫)人のセックスを笑うな (河出文庫)
(2006/10/05)
山崎 ナオコーラ

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「けど、楽しいっすよ。自由に描けるし、褒めてもらえるし。わからないとこは他の先生に聞けばいいし」
「うん。そうしなよ」
「先生、足速いですね」
「あのさあ」
「はい」
「私、君のこと好きなんだよ。知ってた?」


19歳のとき、オレはユリと出会った。
そのときオレは美術の専門学校生で、ユリはそのとき39歳の、デッサン講師だった。

かなり短くシンプルなのに、とても不思議で、いつまでも余韻の残る物語。
「虫歯の優しさ」と併せた、2話収録の短編集。

見た目も39歳で、これといって化粧気もない。長い黒髪で、パーマはかかってるけれどほったらかしのぼさぼさ頭。汚れたスモックを着て、いつもニコニコ笑ってた。
ユリは結婚していたのだけれど、ユリとオレはセックスをした。
少しずつ仲良くなりながら、春を迎え、夏を過ごした。

異質とまではいかなくても、オレとユリのような関係なんて、たぶんそうそうあるもんじゃない。
けれど初めて知ったその関係は、どうしても表しようのないような、不思議な気持ちを抱かせた。

恋だとも、愛だとも、名前の付かない、ユリへの愛しさがオレを駆り立てた。、訳もわからず情熱的だった。

ユリの不思議なダンナが現れるまで気づかなかったけれど、ユリとオレの関係は不倫なんだった。
そんな明らかな事柄に私が気づかなかったのは、オレ自身(そしてたぶんユリも)、自分に巣くう気持ちの名前が(もしかしたら最後の最後まで)わからなかったからなのかも。

そうしてやがて訪れる最後のセックスの瞬間も、彼女と最後に会うことになる場所も、過去になってしまってからそうと知れる。
しあわせな結末ではないのだろうけれど、読了後に感じたのは、たとえば後悔だとか、哀しみだとか、そんな後ろ向きの感情ではなく。
むしろそんな気持ちのほど遠い、まっすぐで爽やかな愛おしさがこみ上げてくる気がした。

「虫歯の優しさ」を読んでも思ったのだけれど、ナオコーラさんは別れを別れのまま、ただ哀しいだけで終わらせようとはしない。

「会えなければ終わるなんて、そんなものじゃないだろう」

それが正しいことなのかどうかはわからない。
けれどそれはたしかにまっすぐで温かな強さを持つ言葉で、けして幻想だと嗤ったり、そうと信じてはいけない言葉ではないはず。

「人のセックスを笑うな」というタイトルの真意は正直言って私にはわからないけれど、込められているのはたぶん直接的な感情でなく、何かもっとにじむような想いなんじゃないかって気がする。

それが何か。
そんな肝心なことを、2度目を読み終えた私はまだ見つけられないんだけれど。

山崎ナオコーラ 『人のセックスを笑うな 』 河出文庫
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非公開コメント

こんばんは

やまない雨はありませんから笑ってしまいましょう。
特に意味はありません(^^;)
おじゃましました。

スマイルさんへ

スマイルさjん、こんにちは。
お立ち寄りありがとうございます!

今更ですみませんが、コメントを残されるときはなるべく本関連の話題を振ってくださるようお願いします。

警戒しやすいやつなので(^^;)

お気に召しましたら、またいつでもいらしてください!

プロフィール

小津りゆ

Author:小津りゆ
3年ぶりぐらいですが、ログイン。夢だった資格をとってそれなりの仕事始まったはいいものの、現実にどっしん追突し、車体ボロボロ、エンジンぷすんぷすん状態です(なにそれ)。仕事の本ばっかりで、めっきり小説を読む時間が減。もしかしたら引っ越しして続編するかもです。

※since 2008.2.17

※オリジナル物語サイト、始めました。『ことあら』(リンク欄からどうぞ)

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