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乾くるみ 『リピート』

リピート (文春文庫 い 66-2)リピート (文春文庫 い 66-2)
(2007/11)
乾 くるみ

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「今から約一時間後の午後五時四十五分に、地震が起きます。三宅島で震度四、東京では震度一です。確認してください。もう一度言います。今から一時間後、五時四十五分です。ジシンがあります」 (一章より)

大学生の毛利圭介のもとへかかってきた電話。
風間と名乗る正体不明の男が電話口で地震を予言してみせ、自分は未来から来たという。
これではあまりにも馬鹿げた、荒唐無稽な話なのだけれど、風間の話はそれだけではない。
「リピート」
過去の自分に戻る。過去のある時点における自分自身の肉体の中への、意識のみの転移。
つまりそれは、未来の記憶を持ったまま、自分の人生をやりなおせる、時間旅行。
半信半疑のままに集まった、毛利を含む十人の男女は、けれどたしかに「リピート」した。
しかし転移した世界でひとり、またひとりと、次々と「リピーター」たちが不審な死を遂げていき・・・・・・。
あの「イニシエーション・ラブ」を超える驚きが待ち受ける、仰天の傑作。

とは書かれてるけれど、私的には「イニシエーション・ラブ」のほうが好きです。
だけどこっちもおもしろかった。全部で500項もある長めの話だけど、ほとんど一気読み。

「過去をやりなおせる」

戻れる過去はあらかじめ定められていて、戻れることにしても一時の限定的な期間しか与えられていないというのに、十人の男女はすすんでリピーターになることを選んだ。
そして待ち受けるのは、仲間たちの相次ぐ怪死。
もうひとつ、未来を知っているリピーター特有の、地獄のジレンマ。

なるべく今回と同じ生活をしなさい。極端な話、身近な人が事故に遭うことが事前にわかっていたとしても―――いや、それが身近な人であればこそ―――敢えてその人を助けない。見殺しにする。そういう選択肢もあるのだということを知っておいてもらいたい。 (六章より)

「カオス理論」という言葉がある。
どう見ても同じ状態からはじめても、完全に同じということはありえない。
予想もしないところからほんのわずかな誤差が生まれて、けれどその誤差があっというまに増幅していき、全体の破綻をきたすことになる。「カオス」とは、そういう<閉じた系>のことを指す。

未来を知るリピーターがどんな些細なことにでも、少しでも能力を発揮すれば、それはもう完全な繰り返しの環からの、完全な逸脱行為になる。そこから導かれる結末は、完全な未知で、これはリピーターでも予測はできない。
つまりリピーターの最大のメリットは、そのまま最大のデメリットでもあるということ。

そしてこの言葉が本当に意味をもつのは、むしろ終盤から。
カオスに潜んだ悪魔がその正体を現した瞬間から、この言葉は最大の「呪い」となってゆく。
そうと気づいたときには、もうとりかえしがつかないのだけれど。

それにしても。

「イニシエーション・ラブ」のときもそうだったけれど、乾さんの書く物語のラストには、毎回唖然とさせられる。
予想もできないというのがもちろん第一なのだけれど、そのあまりにもさりげない、そのくせあまりにもひどい、その結末に唖然とさせられる。

「リピート」にも、それはもちろん健在。
さりげなく地味で、けれど究極のラストシーン。
知りたければ、ぜひ一度読んでみてください。

乾くるみ 『リピート』 文春文庫
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非公開コメント

こんにちは。わたしもちょうど「リピート」読んでいました(^ω^)
最後、「えぇぇぇ!?」と思ったまま、ズルズルと終わってしまいました…。
乾さんの作品の人間は、油断ならないです。
なんだかある意味、残酷ですよね!

乾さんのほかの作品も読んでみる予定です(^ω^)

ゆこさんへ

こんにちは!
イニシエーション・ラブで受けた衝撃が忘れられなくて、また乾さんの本に手を出してしまいました(笑)

たしかに、乾さんの本読んでると、なんか人間不信になりそうです。
だからこそ、ええ!?って展開がおもしろいんですけどね~。(^^)

ではでは、コメントありがとうございました!
よかったらまたお立ち寄りくださいね(^^)
プロフィール

小津りゆ

Author:小津りゆ
3年ぶりぐらいですが、ログイン。夢だった資格をとってそれなりの仕事始まったはいいものの、現実にどっしん追突し、車体ボロボロ、エンジンぷすんぷすん状態です(なにそれ)。仕事の本ばっかりで、めっきり小説を読む時間が減。もしかしたら引っ越しして続編するかもです。

※since 2008.2.17

※オリジナル物語サイト、始めました。『ことあら』(リンク欄からどうぞ)

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