投稿日:2008-06-28 Sat
![]() | ココ・マッカリーナの机 (集英社文庫) (2006/04) 中島 京子 商品詳細を見る |
正直な話、行く先なんてどこでもよかった。
要するに私は、人生を変えたかったのだ。 (「はじめに」より)
雑誌編集者を途中退職し、32歳で渡米した、ミス・キョウコ。
お互いの国の文化を紹介する教師交換プログラムの教育実習生。
アメリカは、ワシントン州、ブレマートンの、ピース・ルテラン・スクール。
ニンジャ、折り紙、俳句、やきそば、ヒロシマ。
下は3歳、上は14歳までのコドモたち150人と過ごした時間が、ミス・キョウコの中の何かを変えてゆき・・・・・・・。
注目作家・中島京子の「作家以前の日々」。
前に読んだ小説「さようなら、コタツ」もそうだったけれど、中島さんの本は本当に隅から隅まで味わいがあって、なんだかとても好きになってしまう。
ティーン向け雑誌の編集者をしていたけれど、とある占い師さんの言葉に後押しされて退職を決意。
(←こう書くとドラマみたいだけど、ホントの話)
うーん、私にはできねーな、って思う。正直。
けれど中島さんは本当に渡米し、ココ・マッカリーナ(三歳児クラスの舌足らずな発音「ミス・キョウコ → ミス・ココ」と、四歳児クラスの不明瞭な発音「ミス・マカジナ → マッカジーナ → マッカリーナ」の混じってできたニックネーム)として、150人のコドモたちに日本の文化を伝える役割を担うことになる。
がちがちの英語で「ペリー提督と日本のサムライ」のエピソードを紹介し、一茶の俳句や、折り紙で折る手裏剣、ときにはみんなでやきそばをつくって食べたりして、「ココ・マッカリーナ」先生はだんだんとスクールに溶け込んでゆく。
そんな「あの頃」が、中島さんの丁寧で、あたたかな愛おしさと、親しみたっぷりのユーモアの詰まった文章から伝わってきて、やっぱりここでも極上の時間。
今してること、それは「これだ!」と思って始めたり、懸命に求めたりしているもの。
それでも自信がなかったり、本心でもないのに放り出したくなったときには、この本を思い出すんだろうなって予感がする。
読んで人生変わるようなことはないだろーけど、私的にはすごく読み心地のよい本。
すっきりしていて、さくさくとおかしくて、それでもところどころが上手くいかないときもあって、けれどもそこから生まれてくることは大きくてやさしくて、けれどそれを押し付けず、のんびりゆっくり味わえる。
「元気になれる」とは少しちがうけど、なんか力をくれそうな本。
オススメです。
中島京子 『ココ・マッカリーナの机』 集英社文庫
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